それぞれのエッセー[02]
摂食障害を選んでいた私の話
それぞれのエッセー[02]
摂食障害を選んでいた私の話
私は18才から16年間、過食嘔吐を続けていました。
時間とお金と体力の多くをそのために使っていました。
特に人に話したい体験ではなかったのに、私の話を興味深く聞いて、とても参考になる、と言ってくれる友人ができました。なかったことにしたいようなマイナスの経験が、今苦しんでいる方のお役に立つのなら、という気持ちで、その友人と摂食障害の自助グループを立ち上げました。
これが、私の人生の大きな転機となりました。
4年半の活動の後、更なる転機を経て、現在はカウンセリングを仕事にしています。
その学びの過程でわかったことは
「人は生まれながらに持っている欲求を満たすために自分で選んで行動する」
ということでした。
周りから見てどんなに不健全な行動だとしても、人の行動には必ず意味があり、目的があるということです。
つまり、私が過食嘔吐を選んだのも、それによって得られるものがあったからなのです。
「やめたい」と口では言いながら、確実に過食嘔吐によって、満足感や達成感、快感や安心感を得ていたのです。
過食嘔吐でしか満たせなかったその頃を思うと、私にとってはなくてはならない必要な行動であり、大事な時間だったのだなと思います。
誰でも、自分にとって大事な行動をやめるのは難しいものです。
あることを意識しないようにと、抑制をかければかけるほど、より一層そのことを考えてしまう思考の傾向のことを「抑制の逆説的効果」と言いますが、やめようと思えば思うほどかえってやめられなくなるものなのです。
ではどうすればいいのでしょう?
効果的なのは「何かをやめる」のではなく「違うことを始める」ことです。
99%食べ物のことに没頭していても良いから、残りの1%の部分で、今までと違うことを始めるのです。そうしたらいつの間にか1%の部分が少しずつ増えていき、食への執着がほんの少しずつ減ってきます。この「ほんの少しの積み重ね」と「いつの間にか」が、最も無理のない回復のパターンであると思います。
渦中にいると、終わりの見えない状況に、焦りを感じます。
しかし、焦れば焦るほど、やめようとすればするほど、長引くケースが多いようです。
自分でコントロールできないことではなく、自分でできる新しい行動、新しい考え方を、少しずつ積み重ねて、ゆっくりと生きやすい自分に変わっていけたら幸せですね。
●profil●201201
「以前は人と目が合わないように、下を向いて歩いていました。」と言うと、「またまた、ご冗談を」と言われるようになりました(笑)