分科会➀地域の視点で考える

~北海道の環境問題とその取り組み~

<開催レポート>

北海道におけるいくつかの環境問題と取り組みを共有し、対策を考えました。

コーディネーター・司会:愛甲哲也(北海道大学大学院農学研究院)

1.サケによる生態系サービスという視点からみた北海道の河川生態系

帰山雅秀(北海道大学北極域研究センター)

2.災害跡地の「いきもの」からよみがえる自然━生物多様性保全と気候変動対策の両立

森本淳子(北海道大学大学院農学研究院)

3.野生動物との向き合い方から北海道の生物多様性保全を考える

遠藤優(北海道大学大学院理学院 / 2021年度CoSTEP研修科)

4.アイヌ文化の伝承に必要な自然素材等に関するウポポイの取り組み

堀江純子(公益財団法人アイヌ民族文化財団)

5.湿地減少の現状と市民による取り組み

鈴木玲(石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワーク)

パネルディスカッション・グループワーク

◆講演者からの質問・感想など

帰山雅秀氏

みなさんのお話大変面白かったです。鈴木さんの話が特に面白く、石狩川流域の変遷に興味を持ちました。市民ネットワークで湿地の保全に取り組んでいるという内容に感銘を受けました。

 

森本淳子氏

森本さんから各講演者の方へご質問されました。

(帰山氏)サケが利用できない河川は50パーセントとのことですが、これは北海道のみでしょうか?

 ⇒北海道のみの数値です。本州の河川も含むと増えると思います。中国、ロシア、韓国などはもっと自然河川が多いです。 

(遠藤氏)ヒグマの対策を考えるにあたって、”ヒグマがどういう動物なのか(生態など)という基礎的なこと”知るべきであると感じました。

 ⇒私もそう思います。

(堀江氏)ウポポイの施設を建設した際、元の植生を活かしたデザインをされましたか?それとも一度更地にしてから再建したのでしょうか?

 ⇒敷地内で、特に残してほしいエリアや木をリクエストしたのですが、デザイン会社の構想として、その要望を100%汲んでもらうのは難しかったのが現状です。結果、残念ながら木だけ残してもらっても枯れてしまったりということもありました。

(鈴木氏)課題に対して、多くのアプローチをされているのは、様々な人とネットワークがあることが大きいと思いますが、どのようにネットワークをかれたのをお伺いしたいです。

 ⇒気が多くてあちこちに相談すると、皆さんが意図を汲んで進めてくれます

 

遠藤優氏

北海道および各地域特有の自然環境や、生物間の相互作用を踏まえて対策を考えていくべきだと思った。それぞれ、精力的に活動されていることが分かったが、今回のフォーラムのように講演を聞く機会、ディスカッションをする場を設けることで、分野を越えた意見交換をすることができ、解決策を導くことができるのではと思いました。

 

堀江純子氏

他の講演者の方の講演を聞いていて、分野が違うように感じましたが、アイヌ文化と関連する内容が多いと思いました。今回のフォーラム参加の機会をいただいて、様々な情報をインプットすることができました。アイヌと自然はつながっている部分が多いので、保全に活かしていきたいと思います。

 

鈴木玲氏

愛甲氏が「知識が認識、そして行動変容に」とおっしゃっていたことに関連して、まったく関心のない方々に興味を持ってもらい、行動に移していただけるのか、ということを考えていきたいです。



◆グループワーク

会場の参加者および講演者の方で1組3人程度のグループをつくり、「講演を聞いて感じた、私たちの社会がもっとも取り組むべき課題」などを話し合いました。