第3回(2024年4月18日)
先延ばしにされる返答、責任者は団交に参加できない
第1回の団体交渉からきょうとユニオンが京都市立芸術大学に対して要求している「ハラスメントとして認定できなかった」との判断を下す根拠となった資料の提示について、第2回の団交において「会議録だったり聞き取りだったり(の日付と名目)、ということぐらいは出せるということ?」とのユニオンからの問いかけに対して京都市立芸術大学側の担当職員(以下、京都市芸職員)は「はい」と返答し、後日、関係資料を探すことを約束した。しかし、3月末日、京都市芸職員はユニオンへの電話連絡で「書類がない、大学が移転したこともあり資料が探しきれていない」と説明した。この通話の際、ユニオンの担当者は「資料が揃わないといっても、委員の方々に聞き取りをしてスケジュールを明らかにすることは可能なはずである」と対応過程を早急に明らかにするよう要求した。
第3回の団体交渉の場に京都市芸は開示を約束したはずの資料を何一つ持参せずに出席した。ユニオンからの「故意に資料提出を遅らせているのではないか」との指摘に対し、京都市芸は、本件ハラスメントの対応について具体的な経過がわかる資料がないと説明した。ユニオンが再度具体的な説明を求めると、何もないというわけではないが校舎の移転や一部担当者が変わったこともあり、現時点では探し出せていない資料があると推察されるとの不明瞭な返答があった。ユニオンは、全ての情報が揃ってから開示するように要求した事実はないと指摘。京都市芸職員は、「それは私の思い込みかもしれませんね、全記録を出してくれっていうふうに言われているっていうようなところは」と発言し、部分的な資料すら持参しなかった理由を自分がユニオンからの要求を誤認していたためであると弁明した。
問答を続ける中で、大学からの説明は二転三転し、「今回のハラスメント対応の全体のスケジュールを確認できる資料が、そもそも欠けなく存在するとは私(京都市芸職員A)には思えない」という旨の論拠不明の主張がなされた。京都市芸職員は「もちろん調査の中でヒアリングしたところですら残ってないのと、調査プロセスのヒアリングのところと、調査委員会が調査委員会として協議をしたところと、必ずしも全部が残っているとは言えないっていうことを言っているんです」と発言。これに対し、ユニオンが「調査委員会は、開催日程を記録したり議事録を必ず取らなければいけないという風にはなってないということですか?」と問うと、「はい。ただ常に残さないことはないんです、もちろん調査委員会が立ち上げて調査をしているので、ヒアリングの日時等は記載されたものが残っているので」と曖昧かつ矛盾した返答を繰り返した。最終的にユニオンから、今回のやりとりの中で京都市芸職員がその存在を認めた調査委員会作成の「調査報告書」や、各会議の議事録を元に対応過程のスケジュールが確認できる資料を提出するように再度要求することとなり、京都市芸職員はこれを承諾、合わせてユニオンが要求した各調査委員の所属や名前については持ち帰って審議すると回答した。
続いてユニオンから、キャンパス・ハラスメント防止対策委員会がA氏に送付した結論の文書の正当性について質問がなされた。「ハラスメント認定についての最終決定には学長の決裁が必要であるにも関わらず、文書に学長のサインがないのはどうしてなのか」との問いかけである。京都市芸職員は「学長印の通知ではなくて防止対策委員会からの通知なので」と返答したが、京都市立芸術大学の「キャンパス・ハラスメント防止のためのガイドライン」の18ページに記載された「キャンパス・ハラスメント対応図」においては決定内容を通知する主体が学長となっている。このことを指摘すると、京都市芸職員は「この図ちょっとおかしい、図はおかしいですけど、ここに申立書の任務は議事会で速やかに学長に報告するものとするって書いてますので」と発言し、対応図に誤りがあると主張した。「ガイドライン」掲載の対応図には通知主体が学長であると具体的に記述されているにもかかわらず、「京都市立芸術大学におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関する規程」の第6条の11には「委員長は,防止対策委員会の議事が決した場合,速やかに学長に報告するものとする」と記述されているのみで、通知主体についての具体的な記述はない。このため、この条文の内容を「申立人への通知をハラスメント防止対策委員会が行う」と読むことはできないと思われる。また、京都市芸職員は「今回整理としては、まず申し立てが防止対策委員会に出されています。なので回答も基本的には防止対策委員会から通知が出されます。で、防止対策委員会は学長に対してどうしているかというと、防止対策委員会としてこれを出しますということに対してOKというような確認を取っているはずです」との論拠不明の説明を行なった。ユニオンが「その確認をとっているということを確認するためにはどうしたらいいですか?」と決裁書の確認を要求すると、「ちょっと探させてもらうという形になります。ただ基本的にはそのプロセスが取られている」と応答したため、次回までに京都市芸職員が決裁書を確認する流れとなった。
中盤、京都市芸職員が「キャンパス・ハラスメントの防止のためのガイドライン」の第6条第11項が令和5年6月に改定され、従前では申立書が提出されてから大学が結論を出すまでの期間を定めていなかった条文が「4ヶ月をめどに」と期限を設ける形に変更されたと報告した。ユニオンの人間は、誰もこの改訂に気づいておらず、これはWeb検索画面に表示されるリンクが未だに旧版のガイドラインに紐付けられているためだと分かった。ユニオンは「一度も謝罪をせずに改定だけを行うというのは順序がおかしいのではないか」と指摘しつつ、改訂自体は良いことだと思うと率直な感想が伝えられたが、今回の改訂だけではハラスメント対応として不十分だとする意見も付け加えた。今回も京都市立芸術大学から正式な謝罪はなかった。
また、A氏の雇い止め問題に関して改めてユニオンから言及を行なった。京都市芸の現状の職場環境は安全配慮義務が果たされているとは言い難く、A氏に限らず同様のハラスメント被害が発生した際に当事者だけが損害を被ることになる状況は改善されていない。A氏は本件ハラスメント問題が原因となって体調を崩し、問題解決の見通しがつかない状態で健康状態が悪化し、転職活動もままならなかった。A氏はこのような状況の中で大学での職を失い生活基盤を失ったのだ。この問題は極めて深刻であり、京都市芸は本年度においてもA氏が大学で働き続けることができるような提案をするべきであり、その前提として安心して働ける環境を作ってほしいとの要求がなされた。
最後に、団体交渉に臨む京都市立芸術大学の姿勢そのものについてユニオンから問題提起が行われた。まず、団体交渉を担当する部署が規程において定められていることは理解できるが、防止対策委員会の決定に関して権限がなく発言を許されていない京都市芸職員のみが団体交渉の場に着くのではなく、権限を有し発言が可能であろうハラスメント防止対策委員会の「委員」や「委員長」、もしくは「学長」が団交に出席することを京都市芸職員から依頼することは可能なのではないか、と質問した。これに対し京都市芸職員は「私の仕事ですから、私が私以外の誰かにお願いするってことは、私の職務放棄みたいな話じゃないですか」と主張した。ユニオンが、自分に権限がない仕事を同組織の権限がある人物に依頼するのは通常の業務として当然ではないかと指摘すると、京都市芸職員は「いや権限じゃなくて、ここの窓口対応が私の仕事なんで」と反論した。これを受けてユニオンが、担当職員であるあなたたちが窓口としてユニオンからの要望を大学に持ち帰ったあと最終的に判断を決定しているのは誰なのかを問うと、京都市芸職員は「ハラスメント防止対策委員長に相談をします」と返答した。ここから、防止対策委員長の権限についての問答に移り、そもそも防止対策委員長が団体交渉においてユニオンから出された要望について独断で判断を下すことが可能であるとする規程はあるのかと尋ねると、京都市芸職員は「委員長なので、今のこの規程上も、詳細なところまでそんな細かいことまでは決めてないですけれども、一定の権限がハラスメント防止対策委員会に関してはあります」と不明確な説明をした。再度、委員長が独断で判断するのではなく、委員会を開いて判断を決定すべきではないか、との指摘をすると、京都市芸職員は「ハラスメント防止対策委員会の委員長が、ハラスメント防止対策委員会を開催して決めるのか、委員長のどういう決め方をするのかは、ハラスメント防止対策委員長にはかります」と再び委員長に権限があるかのような発言を行なったため、ユニオンは規程を示すように再度要求。京都市芸職員は最終的に、そのように記載している規程はないと認めるに至った。
結論としては、ユニオンの要求の内、ハラスメント防止対策委員会に関するものについて防止対策委員長に判断を仰ぎ、実際に委員長が判断を下していた過程そのものが大学の規程に沿った正規のプロセスではなかったことが判明し、京都市芸職員は「本来どうあるべきかも含めて持ち帰らせてもらって、検討が必要なのかなっていうふうに捉えています」と発言し、この問題については後日大学内部で検討されることとなった。また、団交の場に責任者を出席させることができないとの京都市芸職員からの説明を受け、ユニオンは防止対策委員長に対して個別の面会を申し込むこととなった。