第1回 (2024年1月31日)
京都市立芸術大学「問題の一部を認めつつも謝罪せず、ほぼ全ての要求を拒否」
団体交渉冒頭、きょうとユニオンが「団体交渉の申入書」にて事前に提示していた5つの要求に対し、京都市立芸術大学からの返答があったが、京都市芸側の担当職員(以下、京都市芸職員)は持参した書面を読み上げるのみで、同書面の提出は拒否した。
「申入書の1、2、3」について、京都市芸職員は「ハラスメント防止対策委員会が下した結論に関わる要求のため、団体交渉を担当する職員である私たちは、この場で内容について言及することができない」 と説明し、京都市立芸術大学の「キャンパス・ハラスメント申立書A・Bに対する結論」に不服があるのなら、京都市芸の制度に則り「不服申立て」の手続きを行ってほしいと述べた。これに対しユニオンは、京都市立芸術大学がA氏の提出した「申立書」を受理した後、A氏に結論送付までの期限を伝えず、途中経過の報告も行わなかった事実を指摘。制度上の「不服申立て」を申請しても再び京都市芸が不誠実な対応を継続するのではないかとの懸念を示し、「団体交渉」において本問題を解決するよう求めた。これらの訴えに対し京都市芸職員からのコメントはなかった。
次に、「申入書の4」について京都市芸職員は、A氏がハラスメントを申立てたことを理由にA氏の勤務時間を減らすなどの不利益変更を行ったのではなく、あくまでも大学移転に係る人員整理および、A氏の雇用が紐づいていた担当教員の退任が理由となった勤務時間の減少であり、雇用契約の終了も他の非常勤職員と同様の通常対応であると説明しつつ、勤務時間の減少や一部契約を更新しないことについては、毎年A氏に承諾を得ていたはずであると主張した。京都市芸職員は「契約内容の回復とか、来年度の更新には、応じることができません」とも発言し、京都市立芸術大学が「申入書の4」の要求を拒否する形となった。
途中、A氏が 「次年度の勤務時間が減ることについて前年度に承諾を求められたり、実際に承諾をしたことは一度もなく、非常勤講師の契約が更新されなくなる前年度にはその理由について何の説明も受けていない」 と指摘したが、京都市芸職員は直接の回答を避け、A氏に当時のやりとりの内容を尋ねるなど、事実関係を把握していない様子だった。
A氏の労働状況について、ユニオンは「本年度の労働条件通知書に記載されている勤務時間よりも実際の勤務時間が大幅に少ないのはなぜなのか」と質問し、通知書に記載されている時間分は賃金保証をするよう要求した。京都市芸職員は勤務条件の齟齬については持ち帰って調べると約束したが、賃金保証については言及しなかった。
「申入書の5」の京都市立芸術大学が安全配慮義務を果たしていないとの指摘について、京都市芸職員は、ハラスメントガイドラインを点検するなどこれから改善点を探していくとの方針を述べるにとどまり、具体的な改善策については言及しなかった。これに対しユニオンはA氏の現在の労働環境について早急な改善を要求。京都市芸職員はA氏が勤務している専攻の教員から「A氏にリモートでの勤務を提案した」と報告を受けているので問題はないのではないかという趣旨の意見を述べた。ユニオンは「通常勤務かリモート勤務かをA氏が選択できる状況にあれば適切な対応と言えるが、現状は元々の働き方であった現場での勤務がハラスメント問題の未解決によって不可能な状況であり、京都市立芸術大学が安全配慮義務を果たすために本来取り組むべきは、A氏が元来の働き方で勤務ができるよう現場での安全を確保することではないか」と指摘したが、京都市芸職員からの返答はなかった。
終盤、ユニオンは本件ハラスメント問題の具体的な中身に触れ、A氏が最初にハラスメント被害(申立書Aの内容)を相談した際、当時の総務広報課課長(以下X氏)から非公式かつ個人的な呼び出しを受け、「(申立書Aの内容は)ハラスメントには当たらない、大学としては対応しないので個人的に裁判を起こしてください」などと言われた出来事(申立書Bにおいて訴えている主要な被害)について京都市芸職員の見解を求めた。
京都市芸職員は「パワハラの要件とかもX氏は大変よく知っていると思いますので、多分直感的に(ハラスメントに)あたらないなと思ったんだと思うんですけれどもね」と発言。ユニオンは「京都市立芸術大学のハラスメント・ガイドラインに記された対応プロセスから大きく逸脱したX氏の行為を肯定的に捉えるような発言を担当職員がしてしまう現状を踏まえると、京都市立芸術大学は、申立書BでA氏が指摘している二次加害行為の問題性そのものを理解していないのではないか」と指摘し、本件における京都市立芸術大学のハラスメント対応が正当なものであったどうかを確認するため、ハラスメント防止対策委員会の議事録や調査委員会の調査報告書などの関係資料の提出を要求した。ユニオンは「団体交渉の申入書」及び、本交渉の中盤でも、A氏に送付された「本件をハラスメントとして認定することができませんでした」と結論した京都市芸の文書に、結論の根拠となるような調査結果の提示や具体的な説明が欠如していることを指摘していた。前述の要求は京都市立芸術大学が説明責任を果たす上で欠くことのできない重要事項である。京都市芸職員は自身の発言の問題性を指摘されたことについては言及せず、関係資料の提出については持ち帰って検討するとした。
最後にユニオンは、京都市立芸術大学が2年もの間、本件ハラスメント対応を放置していたのではないかと指摘。京都市芸職員は確かに京都市立芸術大学が結論を出すまでに2年もかけたことについては反省すべき点があったとコメントしたが、謝罪を口にすることはなかった。