【ライブラリ】王城美術館

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各国の様子

業火の国

  東から来る湿った空気が直接流れるので高温多湿の地域。熱帯雨林の肉食植物に炎で打ち勝って人界を広げたので、炎を崇拝する。年中熱い。

 熱帯雨林なので動植物が豊富だが、つまりは生存競争がより激化しているということ。獰猛な動物や自ら動いて捕食してくる肉食植物なんかもいる。だが果物が豊富で、それらを輸出することで利益を得ている。

 家屋は木製で扉はない、屋根と床があるだけのもの。代わりに柵が家の外壁のように設置されている。家財道具などは床下収納に仕舞うので、家を守る妻が常にいる台所の収納には家宝がしまわれる。

 炎帝は生まれてすぐに親から引き離され、子を産んだ炎帝とその伴侶はすぐ殺されてしまう。そして炎帝は飾りだけの王として存在させられ、子供を成せば殺される。ただ炎を灯すだけの存在。こうなった理由は2代目以降の炎帝の暴虐っぷりが酷すぎた為と言われる。そのため、現在の炎帝が何代目かは不明で、炎帝の平均年齢は20歳である。

民間人

 巨人族の末裔。髪は赤っぽいのが特徴で、歳を取るほど茶色くなっていく。なので子供は明るい赤やピンク色。日差しが強いので肌は小麦色がほとんど。巨人族の血を引くので平均身長が180cmとかなり大きいが、純粋な巨人に比べたら子供のような大きさ。純粋な巨人は2m半が平均だった。

 裁縫はあまりせず、布を体に巻きつける服装が多い。男性はほぼ腰布だけ。女性は輸入品の帯布を胸に巻きつけて緩いコルセットのように装着。あとは腰布。下着は女性だけ。

 模様はスタンプで、野菜の断面、葉っぱなどを使ってポンポン押していく。各家庭で系統も違ってくるので、模様が苗字にもなっている。染色に使う植物も豊富なので奇抜な色が多い。

貴族(王族)

 ガラス製品が盛ん。腐の黒土ほど繊細なものではないが、粘土のように扱えるので、大ぶりで無骨な質感が特徴。やや大粒のガラスビーズのネックレスが主流で、その次にウッドビーズ。力技で金属加工をするので、これもまた無骨でかっこいい。

 王はお腹にまじないの模様の金属板と肩パッド、ネックレスをつける。

 妃は布を大きく使えるので首から足まで一枚の服装になる。腰から足首にかけて長い布を流すのが伝統で、模様は民が作り上げて献上するのが習わし。

 下着は男女ともに着るが、ショーツのみ。ブラジャーの概念はない。

 赤は血と炎の色で、この国の活力の象徴。貴族ほど濃い赤を使う。

水帝國

 水が豊富で農作も潤沢に行われていて、人口密度も高く領土面積も最大の国。東からの湿った空気が中央高原手前の山脈にぶつかって雨を落としていくので、西側の山から流れる川の水が豊富。だが日当たりもいいので湿度はそこまで高くない。四季が穏やかに存在するが、夏でも割と涼しく、全体的に気温は低め。

 その豊かさからさまざまな食材が入手でき、交易も盛んになり、料理も開発され、城下町では料理屋がたくさん並ぶ。

 強大な国ほど攻撃を受けやすいので、国境には城壁が設けられている。家屋は主に石と漆喰でできており、鉄紺色の瓦屋根と白い漆喰が特徴。

民間人

 水が豊富なので染物が盛ん。特に蓼藍の生産量世界一。全体的に豊かな国なのでケチ臭いことはせず、反物から円形に布を取り、襟を強化させるための厚手の布を縫い付けて作る。腰で縛って着る。

 袴は2枚の反物を前後につけたもので、切り込みを入れて縫えばズボン型になる。

 寒暖差はそこそこあるので裏に毛皮を貼り付けたものもある。

←図はおおよそ年中通した服装

 模様は草木や自然の形状をあしらったもの。襟の模様飾りは編んで作った模様紐を縫い付けてある。

 靴は木と皮でできている。破水力の強い素材で、なおかつ乾きやすい。女性は家事で水に足を浸けることが多いので丈が短め。男性は力仕事で足の怪我防止と裾をまとめるため、帯よりは柔らかい布を巻いている。

 プリーツで布の幅を足して、その上で見た目の布量を抑えつつ、差し色としてのオシャレにもなっている。

 眉が短いほど美しいと見るので、女性は眉を抜いて描いている。

 赤は縁起(豊かさの表れ)がいいので下着に使われる。

貴族

 下女含め白粉で白く化粧をする。位が高いほど額を出して赤で模様を描く。耳は隠す。

 下女の服装は仕える主人がルールを決めて揃えるので、下女それぞれで格好があるが、基本色は同じ納戸色。

 女性のベースになる色は暖色、主に赤が多い。男性は寒色、主に白と黒。金を装飾色に使う。靴下は履かない、足が寒いなら暖房すればいい。(過去の節約皇帝は靴下履いてた)

 男性は帯の間に半円型のポケットを差し込む。女性は下女や侍女がカバンみたいなもの。

 下着は民間人とほぼ同じ。

水帝國の色による階級

色による階級

紺>縹>納戸>浅葱>甕覗

紺…宮仕の特に偉い官僚

縹…宮仕のその他

納戸…宮仕の下女や下男、職人

浅葱…地方官僚

甕覗…地方公務員

藍色は皇族のみ

ナロウィア

 大陸の東側の山脈と中央高原ですっかり乾いた風が流れてくる地域。背の高い植物は少ないが、少ない水でも育つ麦を多く育てる。小国の集まりでもあるので、昔から抗争が絶えない。各領主たちが争って王を決めるので、下剋上もまぁまぁ多い。だが戦火がそこまで広がらないのは、この地域の民族の半分以上が魔法を使えない人種であるため、棍棒で戦うことがほとんどだったから。なので魔法による開発物は少ないが、人間の知恵の結晶は多いと言える。その代表例が、風帝テルヴァーが得意とする手品である。

 北にある山には呪いを扱うバーヤー族がいたとされるが、今では絶滅している。その隠された呪いが時々流れてくるが……。

民間人

 言うまでもない見たままのもの。魔法が使えない人種が多い地域なため、労働効率で結果を出さなければならなかった。よって衣服は体にフィットするようになり、布を無駄にせず、かつ動きやすいものとして進化を遂げた。

 だが、その進化の仕方にどうしても既視感が拭えなかったナァルは、異旅人による入れ知恵があるんじゃないかと睨んでいる。

 小国の集まりで民族も多いので、下着の形状も地域差がある。

貴族

 民間人より布の質も良く多く使っている。高価な鮮やかな布も惜しみなく使う。女性はあえて美しさをレースや薄い布でぼやかすように隠すのが、より美しいとされている。

 各領主によってファッション性など様々なので、一概にナロウィアの貴族の格好とは言えない。

腐の黒土

 異質な土の特質か、一番近い業火の国すらも近づこうとしなかった暗黒大陸を、流罪の地として各国が罪人を送るにつれ、罪人たちがコミュニティを構成し、そこに初代職人がやってきて整備したことで生まれたのが涅。人種の坩堝とも呼ばれる。その涅が初代職人の蒸発により繁栄を失い、他国との貿易も減らし、名前を忘れられて腐の黒土と呼ばれるようになった。

 北や東からなどのさまざまな風の合流地点で、非常に湿度が高く寒暖差も激しい湿地。雨が多く、夏は暑いし冬は雪が降って寒い。その上、南の方にある霊峰ギ山には魔物が多く住む。だがその過酷な環境だからか、職人にとって価値の高い素材が豊富に採れる。独自の進化をした動物も多い。

 初代職人の影響で職人の大国と言われるほど国民のほとんどが職人で、何故か酪農と農作ができない異質な土地でも、漁業と生産物で利益を出していた。またその環境に合わせて生まれた月女神信仰は土着の宗教として広がっており、初代職人が持ち込んだ聖女教も相性が良かったので国教として親しまれている。

国旗:黒土で染めた布に聖女教の紋章の刺繍、月女神のシンボル、唯一家畜化できたヤギ

民間人

 資源が豊かとはいえない土地柄なので、なんでも余す事なく使う。反物をそのまま切り出して胸の前部分に使う形状が特徴。いくつかの布を組み合わせてオシャレを出す。色無地が大抵で、飾り程度に模様紐の縫い付けや刺繍、アップリケをつけたりする。

 裾の長さは人それぞれだが、鍛治を多くする男性は長い傾向がある。ズボンの裾はゴムを入れて窄めて、靴はつま先に金属板が入れてある。湿気がすごいのでサンダルが多い。

 とにかく湿気なので通気性を取った形状が多い。髪は素材になるので長い人が多い。

 汚れた手で商品を扱うわけにいかないので、衛生に気を使っていて、石鹸だけでなく香水もよく作られる。職人の共通技法で、白さの基準に己の歯を使うので、歯磨きも欠かせない。それによりこの過酷な環境でも疫病の蔓延が少なかった。

 下着は通気性が良い形状で、汗を吸う必要のある部分にだけ布がくるようになっている。

貴族(ナァルとチィラの正装)

 ナァルが千光の髪を使って作った礼服、正装。それまでは普段着でも仕事着でもある職人の制服をそのまま運用していた。

 わかりやすいように図ではオーロラカラーをはっきりさせてある。裏地に千光の髪を使ったシルク、表側は灯石羽衣を50%使った丈夫な布で腐の黒土の黒土で染めてある。錦糸蚕の糸で聖女教の刺繍。納戸色のリボンでナァルの納戸色を残している。ズボンの裾のレースは縫い付け。

 チィラ妃の方も同様、裏地のシルクで納戸色を残している。背中のリボンは無し。

 双方靴底は金属。

 立派に見えるが見えない部分は相変わらずケチってどうにかしている。

王城役職

 ナロウィアの服を取り入れて、初代職人が自前の知識で作り上げたもの。かなり動きやすい。

 騎士と王城職員は同じ格好だが、騎士はループタイ、職員はメイドと同じプローチタイプのリボンタイとなっている。

 メイドは右側女性の制服。担当する作業に合わせてエプロンを追加したり、ウエストポーチをつけていたりする。

 両者共通で、背中はコルセットでエプロンのような形状。

 女性のスカートは切れ込みがあり、補強の縫い目。

 敬虔な聖女教徒だと紋章入りの風呂敷をマントにしていたりする。

 腐の黒土の城に従事する役職は騎士とメイド、城の職員くらい。簡単に言うと公務員で、学校はほぼ私立なので教師は公務員ではない。ナァルの世話をするメイドは数えるほどで、ほとんど現世三振りがするので、多くのメイドは城の整備とチィラの世話。

【コラム】腐の黒土の紙幣

ウェイベル

 大大陸の北部に広がる雪で覆われた針葉樹林に生息するウェイベル人の国家。年中雪で覆われ、短い夏で雪が溶けて短い草が大地を覆う程度。雷帝が治めていたが、風雷戦争により雷帝一族は消え、ウェイベルは地方に散らばった。

 ウェイベル人は妖精と人間が混ざった人種なので、やや尖った耳が特徴。そして針葉樹の色の髪に澄んだ湖の色の目。半妖の血筋なので魔術に優れていて、魔力保有量も多い。雷帝は医療にも関心が強かったとされる。

 牧羊が盛んで、羊は貴重な交易資源。夏の間に農耕や収穫を行い、長い冬の間は出稼ぎに行ったり、伝統工芸品を作る。

民間人

 毛色が茶色い羊を使い、それをちょっと脱色させて作った毛織物の上着を着ている。下に着るシャツやコルセットはナロウィアからの輸入。ブーツは竜種の皮を使って作る。冬でも採れる果実の皮を使って染色した、紫と水色が特徴。寒くてネックレスなど貴金属が装着できないので、襟周りを囲む模様で着飾る。

 この上にブランケットを羽織ったり、エプロンがついたりと様々。

 ズボンは男女共通。下着はナロウィアに倣っており、毛糸を編んだショーツを履いている。

 中のスカートが見えるのがおしゃれとされる。

貴族

 茶色い羊の毛をとても脱色した白いものを使う。脱色ってお金かかるのでやはり貴族限定。水色と金の模様が多い。ボタンに使うツノは氷鹿(ウォルツヴァン)で、ツノが氷のように美しいので人気だが、非常に獰猛で狼を放り投げるくらいなので、その獰猛さにあやかって価値が高い。

 女性はあんまり外を出歩いたりしないのでデザイン重視のコート。男性は出歩くので民間人と同じ具合で丈が長い。中に着るものは民間人とあまり変わりないので、コートや装飾品で区別をつけている。

アルメルツ

 大大陸の北にある細長い島。妖精の島と言われていたところに人間が少し流れて、小さいながら妖精と人間が共存する街がある。これと言った民族衣装はなく、ウェイベルの延長なのでウェイベルと変わらない。妖精たちは寒暖差にあまり影響されないので、雪が降ってても薄着でいるし真夏でもセーターを着る。

 妖精王アインシルが治める妖精と人の国。妖精王と言われるがアインシルの外見は雌型。

 氷に覆われているが、降雪量は水帝国と変わらないので少ない方。魔法石など結晶物がそこかしこに生えるファンタジーな土地で、街並みもパステルカラーが多い。

フェルティリターティエンパトラ

 中央高原の南西にある、砂漠地帯の手前の小国。ナロウィアから分離した小国なので、服装や生活はナロウィアとほぼ同じ。ここに大昔にあった砂漠の国の文化も少し入っている。

 魔法学校もこの国の中にあった。

太古の砂漠の国

 玉虫色に輝く髪を持った民族が住む国があったと言われている。その髪の美しさから奴隷狩りなどに目をつけられやすく、耐えかねた王は暴虐の人と化し、国民に移動制限をかけて守ろうとしたが、国民からは反感を食らう事となった。それにより激化した王は歯向かう国民を片っ端から処刑し、追われた家族は心中も兼ねて腐の黒土へ逃げた。

 その後、暴虐の王は腐の黒土への不信感から侵攻をおこなったが、一人の少女がこの国の教団に手酷い扱いを受けたために、その少女を寵愛していた腐王は激怒して、国を一夜にして海に沈めた。

 だが不思議なのは、丸く開いた砂漠の海の底に、その国の痕跡は何一つ残っていなかった。

 砂漠の宝石はどこへ飲み込まれてしまったのか。

異旅人

 どこの国かわからない、どの民族とも一致しない、謎の人種の集まりで構成された集団。その多くが職人で何かの研究をおこなっている。

 人種もわからない上に、海の向こうとか空の彼方から来たと言われるため、異質な旅人と呼ばれ、異旅人と名付けられた。旅人なのは定住をせず、龍のように長く連結させた浮遊船で世界中を移動することから。

 初代職人はこの異旅人で、その師匠も異旅人だが、初代職人とは違う人種に見えた。

 今やすっかり数を減らした異旅人だが、現在や世界最大のギルド船の運営を行なっている。