2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、東日本の広い範囲に放射性物質が拡散し、放射線被ばくの問題が一気に話題となった。半減期が約30年もある放射性セシウム137(137Cs )は、10年以上経過した今でも問題になっている。この事故を契機に、除染用のガンマカメラの開発がさかんになった。我々、γI(ガンマアイ)グループは宇宙ガンマ線観測を行ってきた人を中心に2011年12月に発足し、宇宙観測技術を利用した高感度で安価な装置の実現を目指し、タリウム添加ヨウ化セシウムの結晶シンチレータを用いたコンプトンカメラというガンマ線可視化装置の開発を開始した。様々な形状のプロトタイプによる測定試験を経て、最終的に全天測定型のコンプトンカメラを製品化することに成功した。この装置を利用して、福島県や茨城県など、様々な場所での測定を行い、除染基準を下回る低レベル放射能汚染地域でもホットスポットを特定できる高性能の装置であることを実証した。