2016年 ハワイ島にて

甘田 岳 / Gaku Amada  PhD CV

国立研究開発法人森林研究・整備機構立地環境研究領域養分動態研究室 JSPS特別研究員PD

専門分野  Field of expertise

キーワード  Keywords

高山や乾燥地、極域などといった厳しい環境に対し、動けない植物がどのような戦略で生き抜いているかに興味があります。これまでの主な研究対象地はハワイ島とアラスカ。

I'm interested in the strategies of plants living in harsh environmental conditions, such as dryland, alpine areas, and circumpolar regions. My study sites have mainly been on Hawaii Island and Alaska. 

News

2024年4月

3月末でJAMSTECを退職し、4月から国立研究開発法人森林研究・整備機構(FFPRI)にJSPS特別研究員PDとして着任しました。受入研究者は、アラスカ研究の縁で繋がった野口享太郎さんにお願いしました。アラスカのテーマで受理されたので、引き続きアラスカでの研究を継続していきます。

2023年12月

American Geophysical Union (AGU)のFall meetingにて、アラスカにおいて行っている永久凍土融解実験とCO2放出に関する発表「Field soil warming effects on soil greenhouse gas fluxes in a sparse conifer forest underlain by permafrost in interior Alaska」を行いました。

初めての地球物理学系の学会でしたが、非常に規模が大きく、大変刺激的でした。凍土融解実験の昇温システムの参考にしたSPRUCE実験のボスPaul Hansonと直接話せたのも貴重でした。いくつかの国際カンファレンスにも誘われ、新しい人脈を広げることができ、実のある経験となったかと思います。

2023年4月

Tree Physiologyにて「葉裏の葉毛による拡散抵抗増大が葉温やガス交換に与える影響」に関する論文が出版されました。葉毛の機能として「拡散抵抗増大による水分ロス低減効果」がよく考察などで述べられていますが、(少なくともハワイフトモモという樹木では)その効果はあまり大きくなく、むしろ「葉温上昇を介して水分ロスを促進してしまう効果」が大きいことが示されました。一方で、「低温下では葉温上昇による光合成促進効果」が示唆されました。

私の研究の理想である「実測と理論の両立」を、部分的には実践できた研究かと思います。

Gaku Amada, Kosugi Yoshiko, Kanehiro Kitayama, Yusuke Onoda. (2023). "Roles of lower-side leaf trichomes in diffusion resistance and gas-exchange characteristics across environmental gradients in Metrosideros polymorpha" Tree Physiology (in press), https://doi.org/10.1093/treephys/tpad053

2023年3月

 Seventh International Symposium on Arctic Research (ISAR7) @極地研にて、低木種Labrador teaの生態に関する発表を行いました。極域に関連していればなんでもありの学会で、全体的に環境問題を意識した発表が多い中で、ゴリゴリ生態学発表は浮いていた気がします。印象的だったのは文化人類学系の発表で、定性的な議論だけの発表というのは新鮮でした。

浮いていた発表だったおかげか、Early career Scientist poster award of Excellenceを受賞いたしました。対象種や調査地の選定からデータ取得や解析まで、資金調達以外を全て一人で行った研究に対する初めての受賞だったので、(選定理由はどうあれ)嬉しい受賞でした。

2022年12月1日

初めてのアラスカ滞在から帰国しました。これまで経験してきた温帯や熱帯の生態系とは全く異なる機序に基づいている北方生態系に興奮してばかりでした。

滞在中は主に昇温実験区の設営、土壌呼吸速度の測定、低木種の永久凍土環境への適応メカニズムの評価、などを行いました。低木種の研究に関しては、久しぶりの種生物学会(残念ながらオンライン)にて発表しました。

2021年4月1日

本日から、国立研究開発法人海洋研究開発機構(Jamstec)の地球環境部門北極環境変動センターにて、ポストドクトラル研究員として着任いたしました。最大3年、アラスカの温室効果ガス関係のプロジェクトに従事することになります。色々と吸収してレベルアップしていきたいと思います。

2021年3月23日

京都大学にて農学博士の学位を取得しました。学位論文のタイトルは「Ecological significances of leaf trichomes in Metrosideros polymorpha」になります。

大変多くの方々との交流のおかげでなんとかここまでくることができました。心から感謝申し上げます。

2019年11月30日

やっとこの論文が通りました。投稿開始から一年以上掛かってしまい情けない限りですが、何度も何度も修正したので結果的に完成度は高まった、と思いたい・・・

「水ストレスを与える虫こぶに対して葉毛が防衛効果をもつことで乾燥適応に貢献する」という、被食防衛を介した乾燥適応に関する仮説を検証した研究です。ざっくりとした統計学的関係しかみれていない部分も多いので、昆虫の生理生態や行動の専門家と一緒に、より詳細な実験ができたら嬉しいです。

Amada G, Kobayashi K, Izuno A, Mukai M, Ostertag R, Kitayama K, & Onoda Y (2019) Leaf trichomes in Metrosideros polymorpha can contribute to avoiding extra water stress by impeding gall formations. Annals of Botany (in press) [LINK]

2019年9月9日‐11日

先端数理科学インスティテュート(MIMS)共同研究集会「自然界の多様な形態およびパターン形成—その統合的理解に向けて」@明治大学中野キャンパス(LINK)において口頭発表を行いました。

銀河の形成過程から貝類形態の進化まで、多岐にわたる発表は聴き応えがありました。いろんな知見を自身に組み込みながら頑張っていきたいと思います。

2019年7月1日‐2日

Hawaii Ecosystem Meeting@Hiloにて、口頭発表「Associations between psyllid galls and leaf traits or environmental conditions ― Ideal model system to understand the evolution of interaction between gall makers and host plants ―」を行いました。

虫こぶ形成者とホスト植物の相互作用の進化の理解にとても有用なモデル系(と思われる)ハワイキジラミとハワイフトモモの紹介(詳しくはPercy 2017を参照)とざっくりした研究結果の発表でした。

ハワイキジラミ(Pariaconus)は単系統から少なくとも36種にも種分化してきており、種毎に様々な形態の虫こぶをつくる一方で、中には虫こぶを形成しない種(free living)もいます。しかし、いまだにハワイフトモモ一種をホストとしており、これはハワイフトモモの顕著な多型に応答して進化してきた可能性があります。こうした特徴から「虫こぶ形成虫が植物形質や環境に対してどのように適応放散するのか(虫こぶ形成有無、虫こぶ形態、生活史、生理活性がどのように適応するのか)」を理解するのに非常に有用な系だと考えられます。

しかし、現段階ではキジラミの生活史や生態などがほとんど分かっておらず、野外調査するにしろ実験系を組むにしろ、基礎生物学的情報の充実が必須となります。キジラミの進化研究をいっしょにやってくれる昆虫に詳しい共同研究者をいろいろと募集しているのですが、なかなか見つからないですね。

2019年3月15日‐19日

第66回日本生態学会@神戸にて、自由集会「植物のかたち―実証的アプローチ―」(要旨:LINK) を開催しました。立ち見が出るほどに多くの方々に来ていただき、思っていた以上に盛況でした。共に企画してくださった方々、講演者の方々、そして集会に参加してくださった方々、ありがとうございました!皆様の研究の視野を少しでも広げるきっかけとなる集会であったならば幸いです。

また、同学会にて、ポスター発表「ハワイフトモモにおける葉トライコームの適応的意義Part5―葉面吸水と光合成生産―」も行いました。

2018年12月7日‐12月9日

第50回種生物学シンポジウム@八王子にて、ポスター発表「ハワイフトモモにおける葉トライコームの適応的意義―環境によって異なる機能―」を行いました。

この学会に来るたびに、若手研究者の方々の素晴らしい研究発表に刺激を受けつつも、自分の研究の未熟さをまざまざと実感させられ、興奮と惨めさにまみれます。頑張って張り合えるようになりたいです。

また、今回は念願の種生物学会ポスター賞をいただきました。研究者としてはまだまだですが、たくさんの方々に「面白い!」と激励していただき、とても嬉しかったです。

2018年11月16日

京都府立大学応用昆虫学研究室の第8回進化多様性生物学オープンセミナーにて、「ハワイフトモモにおける葉トライコームの適応的意義―虫こぶ形成キジラミに対する被食防衛―」というタイトルで講演しました。

リーフマイナ―の進化の専門家である大島一正准教授に虫視点の意見を聞きたいと押しかけた結果、講演の機会をいただきました。全く異なる視野での新鮮な議論をすることができ、分野をまたいだ広い視点の重要性を再確認することができました。

2018年10月2日‐10月5日

The 46th Naito Conference "Mechanisms of Evolution and Biodiversity"@札幌にて、ポスター発表「Ecological significances of leaf trihcomes in Metrosideros polymorpha」を行いました。

全ての発表レベルが高く、とても刺激的でした。ガラパゴスフィンチの偉大な研究をされたGrant夫妻に直接プレゼンできたのは本当に貴重でした。また、おそれ多いことにPoster Award for Excellenceを受賞致しました。

2018年7月10日‐9月29日

ハワイにて現地調査を行います。今回は初めて他の島々(Maui, O'ahu, Kaua'i)にも訪れる予定です。遷移の進んだ森林や、ハワイ島にはいない変種を観察するのが楽しみです。

2018年3月

第65回日本生態学会大会でポスター発表「ハワイフトモモにおける葉トライコームの適応的意義Part4―光合成における葉面保水効果―」を行いました。

生態学会では、毎年葉毛の異なる機能について発表しており、4つ目の機能発表なので“Part4”です。(Part1: 蒸散抑制と光合成特性、Part2: 熱とガス交換に対する境界層抵抗、Part3: 虫こぶに対する被食防衛)

2017年12月

念願の第49回種生物学シンポジウム@福井に参加し、ポスター発表「ハワイフトモモにおける葉トライコームの適応的意義―キジラミからの被食防衛―」を行いました。参加者の発表レベルがとても高く、また全力で研究を楽しんでいる方々と毎晩語り合うことができ、最高でした。

2017年11月

光合成モデルで世界的に有名なFarquhar教授が京都賞を受賞され、その受賞記念ワークショップ:Modelling Plant Responses to Environmental Factors@東大でポスター発表「Influences of leaf trichomes on heat fluxes and gas-exchange characteristics in Metrosideros polymorpha 」を行いました。

久しぶりに自分好みの分野の学会で、いろいろな方々から応援コメントを頂けたのは嬉しかったです。

2017年6月-9月

ハワイ島で野外調査を行いました。葉温・葉の濡れ・被食防衛といろいろなデータがとれました。頑張って論文書きます・・・

2017年4月

博士後期課程に進学しました。