私たちは生きるためにさまざまな食品を食べています。毎日の食事を楽しむためには、おいしくて健康に良い食品をつくることが何よりも重要です。そのためには「おいしい」ということや「健康によい」ということを科学的に理解する必要があります。
当研究室では、食品をつくる物質の状態変化や、物理化学的性質、食品と体の相互作用を調査することで、「おいしい」、そして「健康によい」食品を開発するための基礎的知見を得ることを目的とした研究を進めています。
私たちがいつまでも健康に生きていくためには、ヒトの生命現象を理解することが大切です。ヒトの生命現象を研究するために、ヒト由来の細胞を用いた培養実験や、動物実験が行われています。ところが、ヒトの生命現象を理解することは、培養容器のなかで培養された細胞を使った研究だけでは不十分です。ヒトの細胞の多くは複雑で立体的な組織の部品となって機能を果たしているし、単一の種類の細胞だけで組織ができているわけではありません。また、動物実験も倫理的な問題などから削減する傾向にあります。何よりも、ヒトとモデル動物には埋めることのできない違いがあります。
では、どうやったらヒトの生命現象を調べることができるのでしょうか?私たちはこの課題を解決するために、ヒトの生体内の環境を培養容器内に再現するための研究を進めています。もし、この技術が確立できれば、ヒトの生命現象を再現性良く調べることができる夢のモデル実験系を作ることができます。このようにしてつくられたモデル実験系を利用することで、私たちはいつまでも健康に生きることができる社会の実現を目指した研究を進めています。