テッポウエビは、ハサミを高速で閉じることで水中に強力な衝撃波とキャビテーション気泡を発生させ、獲物を気絶させるという独自の捕食手法を持つ生物です。本研究では、この生物の驚異的な衝撃生成メカニズムに着目し、筋肉に蓄積された弾性エネルギーとその瞬間的な解放によって水中で衝撃波を発生させるテッポウエビ規範型ロボットの開発を進めています。
キーワード:外骨格の弾性要素、高速打撃、キャビテーション
水中環境における作業や探査では、遠隔操作や複雑な機構によらず、高速かつ高出力で対象に働きかけることのできる新たな手法が求められています。特に、非接触で対象に衝撃を与えたり、微細な構造を破壊・操作したりする技術は、これまでの水中ロボットでは実現が困難でした。
一方、自然界には、テッポウエビのように鋏を高速で閉じることで水中に衝撃波とキャビテーションを発生させ、獲物を瞬時に無力化する生物が存在します。この生物は、単純な構造ながら極めて高速な運動とエネルギー集中を実現しており、生物としても工学的にも非常にユニークな存在です。
本研究では、この自然の知恵を工学的に再現・応用することで、従来にない水中衝撃発生ロボットの実現を目指し、テッポウエビの運動機構や動作特性を模倣したロボットシステムの構築に取り組んでいます。
本研究では、その独自の衝撃発生メカニズムに着目し、テッポウエビの動作を模倣するロボットの開発を進めています。
蓄積された弾性エネルギーと急速解放によって水中で衝撃波を発生させる本ロボットは、将来的に水中における外来生物を追い払う装置、水中作業支援や微小対象の非接触操作などへの応用が期待されます。
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