下水管・ガス管・電線管・換気ダクトといった配管は生活や産業を支える重要なインフラですが、老朽化や腐食により事故が多発しており、その維持管理が大きな課題となっています。特に下水管の破損は道路陥没の原因となり、平成18年度には約4,000件の事故が報告されています。これらを防ぐためには配管内部の検査や清掃が不可欠ですが、従来の工業用内視鏡や清掃ロボットは細径・長距離・屈曲の多い管路では十分に機能せず、電線施工でも作業者に大きな負担と危険が伴っていました。そこで注目されるのがミミズの蠕動運動です。蠕動運動は体節を収縮・伸長させる縦波を伝播させて前進する運動で、狭い空間でも移動可能であり、大きな牽引力と内部空洞の利用が可能です。本研究では、この運動様式を模倣したロボットに空気圧ゴム人工筋肉を組み合わせることで、細管検査・ダクト清掃・電線施工を可能にし、社会インフラ維持や安全性向上に貢献することを目的とします。
住宅や飲食店の換気ダクト内部には、埃や油汚れが堆積し、アレルギーや喘息などの健康被害や、油塵による火災の原因となることが知られています。従来の清掃方法では、自走式ロボットや空気圧駆動の清掃器具が用いられていますが、大径かつ直線的なダクトには有効でも、住宅用の小径かつ屈曲の多いダクトや、厨房ダクトに固着した油塵の除去には十分ではありませんでした。そこで当研究では、狭小かつ複雑なダクト内部を自走可能なロボットを開発し、従来困難であった埃や油塵の除去を効率的かつ安全に行うことを目指しています。
下水管やガス管、電線管などの配管は都市インフラを支える重要な設備ですが、老朽化や腐食により破損や道路陥没などの事故が発生しています。これらを未然に防ぐためには配管内部の点検が不可欠です。しかし従来の工業用内視鏡や検査ロボットは、細径かつ長距離で曲がりの多い配管を十分に調査することが困難でした。そこで当研究では、ミミズの蠕動運動を模倣したロボットに空気圧人工筋肉を組み合わせ、狭小かつ複雑な管路内でも自走可能な点検ロボットの開発を進めています。これにより、従来困難であった管内の奥深くまで高精度に検査を行い、社会インフラの安全性と持続的維持管理に貢献することを目指します。
工場や建物で使用される配管は、腐食や破損により事故や供給停止を引き起こす恐れがあるため、内部検査が不可欠です。広く用いられる工業用内視鏡は、大径で直線的な配管の検査には有効ですが、内径16mm(15A)や28mm(25A)といった細径配管や、長距離・屈曲の多い管路では押し込み力が伝わらず、奥深くまで到達できないという課題があります。そこで本研究では、ミミズの蠕動運動を模倣した自走機構に空気圧人工筋肉を組み合わせ、細管内部を自律的に進むロボットを開発しています。これにより、従来困難であった細管の奥部まで精密に検査することが可能となり、配管事故の未然防止とインフラの安全性向上に寄与することを目指しています。
建物内の電線管に電線を通す施工作業は、多大な力を必要とし、作業者の身体的負担が大きい作業です。特に天井裏や壁内部などの暗所・高所・狭所における作業は危険を伴い、施工効率の低下や安全性の問題が指摘されています。従来は人力で通線作業を行ってきましたが、管内の摩擦や屈曲により作業が難航し、熟練者でも大きな労力を要する状況でした。そこで本研究では、ミミズの蠕動運動を模倣した機構と空気圧人工筋肉を用いた電線施工ロボットを開発しています。このロボットは細径かつ屈曲した電線管内を自走し、電線を効率的かつ安全に配管内へ導入することが可能です。これにより、作業者の負担軽減と安全性の向上を実現し、施工現場の省力化に貢献することを目指しています。
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