JISを踏まえた本研究室オリジナルスタンダードです。
事件装置等の制作、改修には、これらの寸法を意識して採用してください。
標準板厚
扱う座相室や業者によっても取り扱いが変わることがあるので、逐次確認を取るほうが無難。
鋼板(SPH 黒皮)
1.6 / 2.3 / 3.2 / 4.5 / 6.0 / 9.0 / 12.0
冷間圧延鋼板(SPCC ミガキ)
0.4~.1刻み~1.0/ 1.2ー 0.2ー2.0 / 2.3 /2.5 /2.8 /3.2
冷間SUS304,430
0.3 ~.1刻み~ 1.0 / 1.2 / 1.5 / 2.0 / 2.5 / 3.0 ~ 10.0↑
アルミ
0.8
アルミ5052
0.3-0.1-0.8 / 1.0 / 1.5/ 1.6/ 2.0/ 2.5/ 3.0 / 3.2 / 3.5 / 4.0-10.0 / 12 / 15 / 20
軽量角パイプ
矩形
長方形
ファスナー(ボルト頭部形状)
標準ピッチ
六角頭
h / s / e
六角穴付き
dk / k / S
鍋
皿
下穴
概ね 呼びーピッチ
M2
0.4
3.8/2 /1.5
1.6
実用上下限
M2.2
0.45
1.8
電気部品用
M2.3
0.4
1.9
電気部品用
M2.5
0.45
2.1
電気部品用
M2.6
0.45
2.2
電気部品用
M3
0.5
2 /5.5/6.4
5.5/ 3 /2.5
2.5
M4
0.7
2.8/7 /8.1
3.3
M5
0.8
3.5/8 /9.2
4.2
M6
1.0
4 /10/11.5
5.0
M8
1.25
5.5/13/15
6.8
M10
1.5
7 /17/19.6
8.5
M12
1.75
8 /19/21.9
10.3
※ 風洞実験タービン模型では M6L12全ねじ (六角穴付きまたは低頭フランジ付)を標準で使用。
ハンドタップ
タップは、下穴にねじを切るツールです。先端形状によって3種類あります。
・先タップ 一番タップ : 先端9山分カットされているので下穴軸に平行に入りやすい。先端まで山があるのではなくって、先に使用するから先タップ。
・中タップ 二番タップ : 先端5山がカット。
・上げタップ 三番タップ: 仕上げの上げ。カットは1.5山分。
作業上の注意
タップは折損すると後が大変面倒です。折損しないように、古いタップは使わない、潤滑油を使う、穴に平行に挿入、1/4~1/3をめどに切り込む、切り込んだら少し戻す、穴に切粉をためない、手ごたえを感じながら無理しない、などです。
折損した場合は、タップ抜きの工具などが市販されてますので、そういうものを利用するか、細く硬いピンで回転方向に気を付けて、少しずつねじが緩む方向にハンマーでコンコン、と優しくたたきながら回して抜く、などです。基本は折らないこと、です。
Oリング Type P 溝寸法
呼び(内径)
軸
平面内圧
平面外圧
P2
P3
P4
P5
P6
P7
P5
P6
P7
P8
P9
P10
P10A
P11
風車の実験をするにも、翼の実験をするにも、実験装置は自分で考えなければ成りません。重量と剛性に折り合いをつけながら、作業性にも配慮しなければ、その実験装置はすぐに使われなくなります。その理由は簡単です。
めんどくさい
だいたい、設計した本人が面倒で使わないような装置は、装置としての有用性は限りなくゼロです。何よりも、嫌々行なわれる実験のデーターほど信憑性が低く、実験実施から得られる情報が少ないものはありません。
機械系の実験とは、古来は上記のような要素が含まれていたものです。最先端の物理を扱いノーベル賞を目指す本課程の他の研究室とはそのレベルに隔世の感がある本研究室では、この古来のプロシジャーを今なを継続しています。おかげで最近は卒論、修論履修学生さんはゼロです。
でも、製造業の基本を学ぶのには必要なことという自負はありますので、在職中にひょっとしたら変人の履修学生が来たときのための備忘録です。
さて、今回はベアリングです。一般産業の方にはレベルが低すぎるので参考にはなりませんのであしからず。
ベアリングには長い歴史があるため、その規格は充実しています。それにも加えて、専業メーカーは特注サイズにも対応できる体制を保持していますので、(値段がはりますが)どんなものでもくるくる回せる時代になっています。
ベアリングの形式の種類
ベアリングは軸受けの一種です。すべり軸受けも bearing と称され、ブッシュ、ジャーナル軸受、スリーブ軸受、複合軸受(滑り面のみテフロン等を用いる)などがあります。他にも、流体軸受けは流体工学に近い空気軸受で本研究室に関係するエアクッションを用いたものです。でも、高圧空気潤滑は扱っていませんのであしからず。
軸受けでは、軸荷重方向が設計時の評価項目ですので、玉、ころ軸受であるベアリングの形状も、それぞれの力にどのように対処するか、の工夫が形になって現れます。その意味で、形を決定する機械工学の典型的機械要素とも言えそうです。もっとも、形状はほぼ慣熟していますので、今はもっぱら素材の機械的特性開発に注力されているのかもしれません。機械的性質、は必ずしも機械工学の領域ではなく、はっきりいって物質系の領域です。画期的な形状の新しいベアリングを考えれば、機械系の成果です。
# なお、鉄鋼関連業種ですので地味な割に製造業としては給料は よい です。
ベアリングは基本的に軸を回転させますので、荷重は半径方向と軸方向の二つに分けることができます。前者はラジアル荷重、後者はアキシャル(アキシアル、スラスト)荷重です。実際の使用時は、対象形状が軸対称であるために、ラジアル荷重については方向を気にせず、アキシアル荷重についてはその方向を確認した構造にする必要があります。
また、狭義のベアリング(Rolling-element bearing)のイメージの元になる “まるいモノ(転動体)” には、球と、円筒あるいは円錐の一部(ころ)が使用されていますので、荷重方向ところの形状で 2×2 の4種に大別できます。
すなわち、
荷重\転動体
玉
ころ
ラジアル
ラジアルボール
ラジアルローラー
スラスト
スラストボール
スラストローラー
です。もちろんハイブリッドのようなものもあります。
あと、オプションによってそれぞれ形状にバリエーションがあります。
シール(密封,ZZ)型:転動体の制度は滑らかさ、ひいては寿命に直結します。そのために、開放型に対して、異物侵入を低減させるドーナツ形状のシールがついている型をシール型と言います。金属板でできたものと樹脂でできたもの、などがあります。接触型は機密性が高いが摩擦が大きく、非接触型は抵抗が少ないが機密性がよくない。
フランジ付:円筒の穴に円筒のベアリングをはめ込めると直接的な工作は楽ですが、実際には止めが必要です。ベアリングにつば状のフランジをつけて、単純な穴にはめ込んで使用できます。つばを面一にするために、フランジ分の厚さの座刳りを入れることも多いですが、部品点数は減少できます。もちろん、軸受機構全体を工夫すれば、軸を段付き軸にするなどの工夫によって、フランジの必要がない設計も可能です。
以下、羅列します。
ミニチュアベアリング
本研究室最多御用達。小径用のベアリングでその実態は深溝ベアリングです。小径は荷重も小さいので基本的にはこれのみです。
軸直径が 1mm から 10mm まで。
深溝玉軸受
ラジアルボールベアリング。
溝が深いのでたいていのスラスト荷重にも耐えられるオールマイティな軸受け。本研究室は本タイプのミニチュアベアリングで事が済むのはそういうことです。径が10mmを超えればこれです。
アンギュラー玉軸受
スラストボールベアリング。
スラスト荷重(片方向)を受けられるように、転動体接地面に角度(接触角)がつけられている(angular)タイプ。基本的に以下同様ですが、両スラストを受ける場合には、ベアリングを複数組み合わせるか、最初からコンビネーションになったものを選定します。
円筒ころ軸受(シリンドリカルローラーベアリング)
ラジアルローラーベアリング
点状接触のボールの代わりに接触が線状になる円筒が使用されています。したがって、超大きなラジアル荷重を受けることができます。衝撃荷重にも強いですがスラスト(アキシアル)には弱そうです。
針状ころ軸受
ラジアルローラーベアリング
円筒ころよりもころ直径が小さいため、ころの回転数が多くなって摩耗負担は大きい。外径内径差を小さくできるので、装置の小型化、軽量化を優先する場合に適しています。直径の大きな軸の場合には、結構必要性が増しそうです。
スラスト玉軸受
スラストボールベアリング
深溝玉軸受が円筒状に分割されているのとは異なり、幅方向を二分割した形状。接触面が軸に垂直な平面なので、圧縮方向のみのアキシアル荷重を十分に支えられる。
円すいころ軸受(テーパードローラーベアリング)
スラストテーパー(ローラー)ベアリング
接触角があり、ローラー接触面に角度がついたころ軸受け。ローラーベアリングでスラスト荷重の心配がないので、産業界ではころ軸受としてもっともポピュラーだそうです。
スラスト円筒ころ軸受
スラストローラーベアリング
スラスト玉軸受けのローラー版。身近のところでは、テレビ台のような回転台によく使用されているかも。
自動調心(球面すべり)ころ軸受(スフェリカルローラーベアリング)
スラストローラーベアリング
本研究室では風車模型の取付時に利用することのあるベアリング。円筒形のころの表面と外輪(ケーシング)の接触面を、接触面の直径の球表面の形状に合わせることによって、球面内を自由に変位することができるよう工夫したもの。ケース(外輪)から内輪が飛び出して違和感を感じますが、実際にはそんなに飛び出すような使い方をすることは少ないです。軸のズレによる曲げ荷重やひずみをある程度吸収してくれます。ベアリングのないすべりタイプもあり、それは丈夫です。
ロッドエンド
自動調心ころ軸受を先端に装備したロッド。自由度を意識して支持する場合に使用します。本研究室では3分力風洞天秤装置に利用されています。
軸受ユニット
これは使用状況に配慮された工業製品。ベアリングを組み込んだ軸受箱を2本のボルトで組み付けられるようにしたもの。規格品なので、うまく利用すれば保守も簡単になります。モノタロウやミスミで調達しますが、小型軽量化命!の本研究室では嵩高いのであまり使いません。
ベアリングのサイズ
ベアリングの大きさを選定するには、まず軸径を決定します。軸径は、使用するモーターやトルク計など、それらの軸径を参考に決定します。基本的には、同等か少し小さめを選択すればよいでしょう。理由は、軸径には強度計算が関係しているからです。規格によってトルク強度が径に繁栄されています。特に計測器に接続する場合は、計測器保護の観点から出先は強度を落としておく方がよいでしょう。たとえばカップリングの径が十分小さければ、計測器許容荷重の範囲内でカップリングが破断してくれます。もちろん、本来、回転数の変更は優しく操作する必要がありますが、それは計測器のことを考えれば当然ですので、破断しやすいことはよいフールセーフになります。
内径が決定されたら、外径と幅は自由に選定すればよいでしょう。一般に、一つの内径に複数の外径と幅が選択可能な場合が多いです。小型化したければ外径の小さいもの、既存の穴があるならそれに合わせる、といった感じです。軸をぶれないようにするためには、軸長にスパンを取って二つのベアリングをセットしてください。模型の回転支持やモーターやトルク計に接続する軸などは、スラスト荷重をベアリングで受けた上で、ラジアル変位(荷重)もベアリングでうけるようにしてください。
以上のように考えて選定すれば、規格にたくさんあるベアリングも選択対象はそれほど多くないことがわかるでしょう。
安全で脱着転換もラクチンなよい装置を設計してください。
本学の設計製図演習では基本的には設計は行いません。それは授業で行っているはずです。でも、そこで何を教えられているかを考えると、結局設計なんて本課程では教えていないような気もしますがいかがでしょうか。本学類全体でも同じ状況のようです。
ま、私の授業を受けたことのある学生さんならば、そんなことは問題ではなく、何をすべきかはわかっていることでしょう。もちろん実行しているかどうかは、自由民主主義国家なので各個人の判断ですね。
というわけで、材料選定。
普通は、何か製品を作る際に、設計者はそれが使われる状況を把握しているものです、上流設計では。したがって、その装置に求められる機能の一つひとつを吟味しなくても、おおよその素材は絞り込まれてくるものです。
しかし、、、
そもそも素材の知識がない学生さんたちは、とてもじゃないですがそんなお題目医だけでは全く意味を成さないことも周知の事実です。ではどうすればよいか。手っ取り早くよく使い材料だけ説明して、あとは OJT です。
アルミ、といっても持っても重量感もわからない、説明したことを翌日にはすべて忘れてしまうにゃんこ脳な学生差には、習うより慣れろ、から始めるしかないです。にゃんこでも、経験したことは結構からだが覚えているものですから。
材料
材料にはいくつか種類があります。多様化した現在は、樹脂材量まで含めると結構たいへんです。
金属
古典機械工学ではこれがわかっていれば事は済みました。でも、その扱う種類模型金属系で種類が増えましたが、まずは鉄系とアルミ系を押さえておくのが順当です。よっぽど高熱を扱う場合には、ステンレス系以外にもチタン系も押さえないといけないかもしれません。かつて圧力配管に銅系を使用するのは、曲げやすいからですが、今は樹脂全盛です。水道管もそうですよね。
樹脂
いまは身近になった樹脂材料。はっきり言っていろいろありすぎてとてもではないですが把握できません。本研究室では部材としては、まぁまぁ強度メンバーで使えるアクリル、高価になってしまった塩化ビニール、小物作りの俗称プラ板、スチロール版、発泡塩ビ板。さらに成型にも用いるエポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、などなど。さらにはゴム系まであるのっでたいへんです。
つづく
本研究室では、流れの可視化では回流水槽を中心に利用しています。
それ以外でも、流体工学実験では、エア漏れ、水漏れ、の対策は必須です。
一般に、機械的な漏れについては、そもそもの装置のシール面をきれいに仕上げ、それらの面接触でシールを達成できるように、ボルトの配置、本数、などを考慮して実験装置を作ります。
回転軸周りでも、トルク抵抗が大きくなることが問題ではありますが、Oリングの適切な使用は有効です。規格を参考に、状況に応じた規格外適用も検討してください。
通常はこれでなんとかなりますが、面-面間シールではさらに念を入れて、ゴムシートを利用します。しかし、現実には、ゴムシートは結構切るのが難しく、そもそも無思慮に作業を始める学生さんは自分ではきちんと作業しているつもりでも、作業や作業結果である仕上がりに不安が残ることが多いようです。
設計時の配慮
ゴムシートを使用する場合は、通常のブチレンゴムでよい。充分な安定した面がある場合は、厚さは 1mm 以下の薄いシートてよい。特に、ボルト穴周りをシールする場合は、締め付けによる変形が漏れの原因となることを防ぐため、厚さ/幅の比を十分小さくすること。ボルト頭でのシールについては、本来機械設計的根本対応が理想ですが、ゴムの使用以前に、接触面をどのように実現するかという設計段階での考慮が重要です。生産技術センターでの一般機械向けの指導を鵜呑みにするのではなく、きちんと状況を説明し、設計意図を伝えた上で、穴径の検討、少し大きめの座付きボルトの選択等も検討してください。
運用時の対処
上述にある原因以外にも、様々な理由で、装置運用中には漏れが生じます。根本解決を図るのが筋ですが、現実的には、学生さんによる全力の考察による、現場でのやっつけ仕事、と呼ばれる対処になることが多いようです。もちろん、予防的措置としても有効です。
漏れ部分にシール材
最も多いのは、バスコーク(セメンダイン社)などシール材を漏れた場所に塗布。
そもそもシリコン接着剤であるこの類いのシール材を、運用中に水漏れした部分に何の考慮もなく塗布した場合の結果は概ね知れています。
通常は、接着面の接着性が悪く、微細なすきまに圧がかかって、ぽたぽたと老衰します。この場合、さらに上塗りをしても、接触面の状況は変わらないため、想像がつくように、大きく成長したガン組織のようにこぶとなって成長していきます。
運がよければ、流出損失の拡大によって漏れは収まりますが、こぶが大きくなるほどに流出する線長も長くなるため、観察水槽としてはあまりよい結果を得られません。
シール材を使用する場合には、塗布面の前処理が肝要です。しかし、それよりも、シール部位の選択が大切です。可能であれば、引張(引きはがし)圧力を受けるのではなく、圧縮(押しつけ)圧力が作用する綿を洗濯してください。
シール材の他には、最近は様々な資材が市販されていますので、フィルム状のシールも有効です。とりわけ、スポーツ、家庭医療用の防水フィルムは、工業用に比べて少量の安価で入手できて便利かもしれません。
いずれにしても、
シールは高圧側から。
を基本に対処してください。