時は命帝5(西暦1915)年、大和大帝国。西洋の文化を受け、大きな文明開化が巻き起こっていた。そんな大和大帝国の北部。荒れ狂う波に面した土地に、その学園はあった。
「天ノ海学園(旧天ノ海女学園)」は鬱蒼とした木々と、ごうごうと人を簡単に飲み込む海に囲まれている。多くの人間はまずその存在に気付かない。
なぜなら、この学園は地図にすら存在していないのだから。
そんな学園に、今年から男児の編入が許可された。
すべては、彼女たちの恋を果たすため。
知ってはいけない。知ってはならない――。
かさかさ、かさかさ、枯れることを忘れた白椿たちが噂をする。
どうか、どうか、素敵な学園生活を。あなたたちには、もう帰る場所などないのだから。
天ノ海学園(旧天ノ海女学校)は、国から隔離された地図上にすら存在しない秘匿の学園である。
ここに通うのは、人魚の少女たち。
彼女たちは純粋だ。恋に憧れ、恋を望んだ。
故にいつしかできた抜け穴をくぐり、外の男を攫うようになった。
人魚を怒らせてはならない。
国と学園は未然の防止策として、行き場もあらず、何も知らない男児たちを彼女らと共にこの学園に置くことで閉じ込めることとした。
人の上半身と魚の下半身を持つ者たち――とされているが、各国に様々な人魚の逸話があるように、その容姿は様々。
古来よりこの国では、災いの象徴とされ神として崇拝されてきた。
彼女たちが怒り狂えば海が荒れ、大きな災いが起きるものとされている。
人と交わったものが増えたこともあり、人の足は自由に生やせるらしい。
尚、人間の足で歩くことで痛みを覚える少女たちもいる。
人に触れると火傷をしてしまうため、学園側で不純行為を禁止する名目で異性同士の触れ合いは禁じられている。
生涯で一度しか恋ができない。
普通の人間。まれに人魚の血が混ざっている人間もいるようだ。しかし、人間の形を成した時点で、人魚の力を持つことはない。
大衆は、人魚の存在は知らない。
東洋の島国。西洋の文化が流れてきたこともあり、時代の変化が目まぐるしくなっている。
天ノ海学園と結託して人魚の情報を秘匿としている。人魚の情報を持っているのは政府の一部の上役のみである。
不老不死の力を持つとされる人魚の血だが、実際のところ人魚によっての血の効果は異なる。
例えば、病を治すものもあれば、逆に病に侵すものもある。
或いは自らに魅了させることもあれば、激しい憎悪をもたせることもある。
何も起きなかった……ということもあった。
人魚の意志ではなく、先天性的なもの。効果は人魚である本人たちも知らないが、一部「この能力」とほとんどが固定されている種族もいる。ただ、確約されたものではない。
女子生徒の血を男子生徒の口に含むことで完了とする。
契約した二人には同じ模様の痣が出現する。古来より、人魚の婚姻の儀式とされてきた。
また、契約してから初めて人魚であることを契約者のみに明かすことができる。
契約は一度きり。(※)契約破棄は不可能。
何故なら破棄をすれば、二人は透明となって消えてしまうためである。
契約した人魚に人間が触れても火傷をしなくなる。
(※)参加者同士の兼ね合いでの契約関係解消は可能です。
契約を結んだ後に出現する痣。契約した二人に同じ形の痣が出現する。花や鱗、形、出現場所は様々。
消えることはない。
校内について詳細
【白椿寮・赤椿寮】
1階には共有スペース、浴場が完備されている。
朝は7時に起床の鐘が鳴り、夜の22時に消灯となる。
異性の侵入・22時以降の外出は禁止。破った場合、1ヵ月の反省文提出となる。
【学び舎】
授業は下記の通り。
(朝の部)9:00~12:00
(昼の部)13:00~16:30
その他、音楽室、美術室、家庭科室などもある。
出入りは7時~18時まで可能。
【食堂】
学び舎の一階に食堂がある。
食堂の時間は下記の通り。
(朝の部)7:10~8:50
(昼の部)12:00~12:50
(夜の部)17:00~20:00
メニューによっては外で食事をすることもできる。
5銭でこの当時は珍しいコーヒーを飲むことができる。
【温室】
学園町の趣味の温室。
芳香で気高い薔薇たちがいる。海外の品種もある。
くれぐれも折らないように。
【中庭】
白椿たちがいる。
【図書室】
元々聖堂だったが女学園から学園に変更になる際、本館にあった図書室が移動することになった。
聖堂だったこともあり、天井には当時はかなり珍しいステンドグラスがあり、壁一面が本棚となっている。
寮の間取りについて
天ノ海学園の生徒たちは寮で生活しています。
白椿寮が女子寮、赤椿寮が男子寮とされています。
間取りに差異はありません。
二名ずつで部屋が割り振られています。
天ノ海学園には、下記の部活が存在しています。
手芸部
茶道部
文芸部
弦楽器部
落語部
かるた部
新聞部
弓道部
剣道部
妖怪研究会(非公認)
学年問わず交流できることから、部活を通して仲を深める生徒も多いようです。
学園から毎月個人に2円(現代換算では8000円)のお小遣いが支給されており、学園に購入申請書を出すと翌月1日には申請を出した物品が届くようになっています。
無論、自分たちの手元にある金額の範囲での申請が可能で、道徳や倫理観に反するものは購入できません。
「人面魚も人魚? セイレーンは?」
「男子生徒ってどうやってこの学園に来るの?」
かさかさ話は、世界観補足や時代背景による補足を行うことを目的としています。