「eco-peopleメールマガジン」━ 2025年4月30日号
4月22日のアースデーに合わせて、気候変動への意識に関する興味深い報告書
が発表されました。仏世論調査会社のイプソスが、2024―25年にわたり、
32カ国約2万4000人に調査を行い、「人類と気候変動レポート2025」
としてまとめたものです。
同報告書によると、「自国で発生している気候変動の影響を心配している」
と回答した人の割合は、世界平均で74%に上りました。日本は81%
(32カ国中9位)と、前回(2022年)の69%から大きく上昇しています。
さらに、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された論文
によると、世界13万人を対象とした調査のうち89%が「自国政府は気候変動
対策を強化すべき」と回答しました。
国別で見ると、中国は97%、日本は85%、インドは80%、米国は74%で
高排出の国では、いずれも意識が高い結果となりました。
こうした結果から、世界中で多くの人々が、気候変動を深刻な問題と捉え、
具体的な行動の必要性を感じていることが分かります。
温室効果ガス(GHG)排出削減のための国際的な枠組みである「パリ協定」は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて「1.5℃に抑える努力を追求すること」(1.5℃目標)を掲げています。そのためにも、今世紀後半までにカーボンニュートラルの実現が目指されています。
しかし、1990年以降、世界の排出量は増加の一途をたどり、このままでは今世紀中に平均気温が最大4℃上昇する可能性があると警告されています。国連環境計画(UNEP)の「排出量ギャップ報告書2024」によると、2023年のGHG排出量は過去最多の571億トン(二酸化炭素換算)を記録しました。
また、2024年の世界の平均気温は、観測史上最高を記録し、最も暑い年となりました。気温や海面水位の上昇に加え、大雨の増加、干ばつの深刻化、海洋酸性化など、地球規模で気候変動の影響が出ています。
日本の気象庁と文部科学省は2025年3月、報告書「日本の気候変動2025」を公表しました。同報告書では、世界の平均気温が4℃上昇すると、100年に1回の極端な高温が年間で99回、同レベルの極端な大雨が年5.3回、日本で発生する可能性があると予測しています。
※こちらの記事は東京商工会議所検定センター のeco検定合格者メールマガジン2025年4月30日号の情報を抜粋、及び東京商工会議所サイトECO検定インタビュー・コラムのページを引用、掲載しております。
「eco-peopleメールマガジン」━ 2025年2月25日号
2024年の世界平均気温は産業革命前に比べて1.55℃上昇し、観測史上
最も暑い年の記録を更新しました。2015年から2024年の10年間は
「史上最も暑い10年」となり、このまま温室効果ガス(GHG)の排出が
続けば、今世紀末には3.1℃上昇すると予測されています。
こうしたなか、日本政府は2月18日、「地球温暖化対策計画」
「第7次エネルギー基本計画」「GX2040ビジョン」を閣議決定しました。
これらは日本の気候変動対策を方向付ける重要な枠組みです。
「地球温暖化対策計画」では、2050年カーボンニュートラルに向けた
中間目標として、2035年度までに温室効果ガス(GHG)を2013年度比
60%削減することを定めました。この目標は、日本のNDC(国別削減目標)
として国連に提出されます。
第7次エネルギー基本計画では、2040年度までにGHG排出量を2013年度比
73%削減することを掲げました。これを達成するため、2040年度の
電源構成目標を次のように設定しました。
・再生可能エネルギー:40~50%(太陽光22~29%、風力4~8%、
水力8~10%、地熱1~2%、バイオマス5~6%)
・火力発電:30~40%
・原子力発電:20%
現在の科学的知見からは、「1.5℃目標」は厳しい状況にありますが、
事態を回避するためには、今後10年が重要です。
※こちらの記事は東京商工会議所検定センター のeco検定合格者メールマガジン2025年2月25日号の情報を抜粋し掲載しております。
「eco-peopleメールマガジン」━ 2024年12月24日号
次期NDC(温室効果ガスの国別削減目標)案の策定が大詰めを迎えています。
NDCとは、パリ協定に基づき、各国が5年ごとに提出することが義務付け
されている「温室効果ガスの排出量削減目標」です。次期NDCは、2035年
までの削減目標で、2025年2月までに国連に提出することになっています。
日本政府は11月25日、2035年度の削減目標案として「2013年度比で60%
削減」を示しました。世界の基準年である2019年で換算すると、「2035年
までに66%減」が、1.5度目標達成のための最低ラインとなります。
この日本の目標設定に対し、200以上の企業・団体からなる「気候変動イニ
シアティブ(JCI)」や「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」、
そして若者有志団体などが、政府に1.5℃目標に整合したNDC策定を
要望しています。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のサイモン・スティル事務局長は、
今回のNDCを「今世紀、各国が作成する最重要文書」と位置付け、
「良いNDC」とは「1.5℃目標に足並みを揃えること」だと明言しています。
日本をはじめ各国はどこまで野心的な目標設定を行うのでしょうか。
今後の動向に注目が集まります。
※こちらの記事は東京商工会議所検定センター のeco検定合格者メールマガジン2024年12月24日号の情報を抜粋し掲載しております。