読んで字のごとく、平たく言えば「馬の靴屋さん」です。一般の方が装蹄師の仕事を見ると、「床屋(散髪屋)」と同じのような印象を持つかもしれません。1ヶ月もたてば蹄も伸びてきて、格好悪いから切ってもらおう、と。また、「職人」だと思う人もいるでしょう。
でも実際は、単純に蹄(ひづめ)を切って蹄鉄を付ければいいというわけではなく、馬ごとの蹄に合わせて細かい調整を行わなくてはいけない。純粋に技術的な面や、場合によってはやはり、技術職として「職人」的な要素も必要ではあるけれど、「経験やカン(=職人)」だけではなく、解剖学、生理学、運動学など、「現代科学に基づいた知識」を元に、獣医には出来ない治療(装蹄療法)を行い、馬の足(学術的に言うと「肢」)の疾患を治すことや症状を緩和を補助したりもする。 (獣医ではないの治すとは言えないので微妙な表現ですが…)
そんな凄いことをしていながら、端から見ている限りではとても簡単な作業のようにやって見えるのが凄い。実際やってみると一つ一つの工程がめちゃくちゃ難しいんだけどね。
つまり、この仕事の本質的な部分は「歯科医」にとてもよく似ているのだ。しかし、日本では装蹄師の地位はあまり高くない。学歴社会的な考え方として、獣医は大学出てないとなれないのに対して、装蹄師は大卒の人間が少ないからじゃないかな、って気はするけどね。
競馬なんかは特に、装蹄師の腕の善し悪しがレースの結果につながってしまいかねないという、重要な職業なのだ(なのにダビスタなんかに出てこないのは何故だろう?)。
ちまたでは、親近感を込めて「鉄屋(さん)」などと呼ぶ人もいるようですが、一種の差別用語です。これを見た貴方は、今日からこの言葉を使わないようにしましょう。(左利きの人に対して「ぎっ○ょさん」なんて言っても、言われた人はいい感じしないでしょ?)