「円空和歌 選十首」(カッコ内は出典と歌意、『円空歌集』の番号)
・幾度モ タエテモタツル ミエノテラ 九十六オク スエノヨマテモ (音楽寺 護法神像背銘)
・是也此之 クサレルウキキ トリアケテ 子守ノ神ト 我盤成奈里 (荒子観音寺 千面菩薩厨子)
これやこの 腐れる浮き木 取り上げて 子守の神と 我は成すなり
・於志南辺天 春仁安宇身乃 草木末天 誠仁成留 山桜賀南 (観音堂 十一面観音像背銘)
ヲシナベテ ハルノアウミノ クサキマデ マコトニナルル ヤマサクラカナ
・イクタヒモ タヘテモタルル 法ノミチ 九十六ヲク 末ノ世マテモ (立神観音堂 『大般若経』奥書)
・いくたびも めくれる法ノ 車にワ 一代蔵も 軽クトドロケ (貫前神社旧蔵 『大般若経』奥書)
・予母の 命に代る 袈裟なれや 法の形ハ 万代へん (円空歌集 880)
わが母の のりのみかげは よろずよ (母を亡くして出家したことを詠んだ歌)
・あさことに 鏡の箱に かげ見えて 是ハふた世の 忘れ形見に (円空歌集 445)
(母の形見である鏡を詠んだ歌)
・楽ん 心と共 法の道 月京の 花遊賀 (円空歌集 1256)
楽しまん 心と共に のりの道 月のみやこの 花の遊びか
・もろともに 浮世の中は 神なれや 思心に 身渡りつつ (円空歌集 749)
・ほそき世の ミの一はモ 冨ならて 十ト云へと 六ハへにけり (円空歌集 474)
(円空が還暦を迎えて、自らを祝して詠んだ歌)
選にあたっては、長谷川公茂先生のアドバイスをいただきました。