地に潜むもの――地上・第一部(嶋田清次郎)
幼くして父を亡くし、貧しい母子二人きりの家庭で育った少年、大河平一郎。彼は近所に住む和歌子との恋愛や、美少年深井との交友を通じて、将来はきっと偉い政治家になり、貧しい人々を救おうという決意を固めるが、一方で家庭は逼迫の度を増し、親しい芸妓冬子を介して遊廓の春風楼に住み着くこととなる。そんな中、彼らの元に富豪の天野栄介が現れるが、彼は思いもかけない大河一家の過去に繋がっていた……。
弱冠二十歳の新人、島田清次郎によって書き下ろされ、大正時代の大ベストセラーとなった小説『地上』。熱情的な少年の友情、恋愛と共に早熟な視点で貧しい者、虐げられる芸妓たちの生活を描き出しつつも、強烈な上昇志向を持ったこの小説は、若者たちの圧倒的な支持を集め、販売高は三万部に達した。
地に叛くもの――地上・第二部(嶋田清次郎)
幼くして父を亡くした天才少年、赤倉清造の心に深く刻まれていたものは「芸術」だった。金沢から再婚した母の元へと上京した彼は、悪智慧の働く洋品店の小僧、新平民の新聞記者、資本家との戦争を目論む男といった、様々な種類の人間と遭遇する。そんな社会の最底辺で辛酸を舐めながらも、小説を書くことに対する熱情を失わない清造であったが、待ち構えていたのは挫折、追放、失職、絶望の連続だった。やがて心身共に疲弊しきった彼が出した結論は、自身を苦しめ続けた全世界、全人類への叛逆を決行することだったが、それは……。
弱冠二十歳の新人、島田清次郎によって書き下ろされ、大正時代の大ベストセラーとなった小説『地上』。久しく入手困難となっていた、第一部よりも自伝的要素の強い第二部『地に叛くもの』を初の電子書籍化。結果として累計五十万部を越えた『地上』の第二部となる本書は、初版一万部が二日間で売れ尽すほどの人気だった。
靜かなる暴風――地上・第三部(嶋田清次郎)
天野の邸を脱出し、数年間の戦いの生活ののちに、母の危篤の報を聞いて金沢へと帰ってきた大河平一郎。彼は母を看病しながら、新聞社の発送部で労働者として働き始める。一方その頃、金沢の街では浅野、高村、桐原の三人を中心とする、異端宗教が勢力を拡大していた。そんな宗教家たちに探りを入れてゆく過程で、平一郎は金沢へと一時戻ってきたあの和歌子が、自分を訪ねてきたことを知る……。
弱冠二十歳の新人、島田清次郎によって書き下ろされ、大正時代の大ベストセラーとなった小説『地上』。久しく入手困難となっていた、第一部の直接的続篇である第三部『靜かなる暴風』を初の電子書籍化。本書は当時、初版二万部が即日売り切れ、更に追加で一万部が刷られるほどの人気だった。
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