指標種

ガン類・ハクチョウ類・トキ

指標種の設定

生態系ネットワークの形成にあたっては、地域の生物多様性の現況や、社会や経済への効果も見据えながら、地域を特徴づけ、取組のシンボルとなる生きものを「指標種」として位置づけることが効果的です。指標種を選定することで、取組の道筋や目指すべきゴールが関係者間で共有しやすくなります。

指標種の選定にあたっては、対象となる範囲の広がりと地域の特性に応じた観点に着目して、ふさわしい生きものを選ぶことが重要です。

越後平野においては、次のような視点により、多様で豊かな生息環境の保全・再生の取組を推進する指標種となり、かつ賑わいのある地域振興・経済活性化の取組を推進するシンボルとなる生きものとして、ガン類・ハクチョウ類・トキを選定しました。

①多様で豊かな生きものと自然環境のシンボル

潟や河川を中心とした平野部に暮らすガン類とハクチョウ類は、ねぐらとなる安全な水辺空間と、採食するための広大な水田や水辺が必要です。里地・里山に暮らすトキは、森林をねぐらや営巣場所とし、湿地や水田を利用して、幅広い生物を採食します。そのため、これらの指標種がその地域に生息することは、その食物である多くの生き物が育まれている豊かな自然環境がある証となります。

②自然と共生する社会のシンボル

ガン類・ハクチョウ類・トキは大型の鳥類で、よく目立つことから、取組の効果を実感してもらいやすい生きものです。また、いずれも馴染みのある生きものであることから、地域の人々の関心や支持を集めやすく、行動を引き出すことにつながります。

ヒシクイ

ガン類

国の天然記念物であるヒシクイ、マガンなどのガン類が飛来します。竿になったり、鉤になったりして飛ぶ姿は遠い昔から歌にも詠まれ日本人に親しまれてきました。ガンの仲間の中で一番大きな鳥であるヒシクイの亜種であるオオヒシクイは、福島潟(新潟市北区)が日本一の越冬地となっています。

コハクチョウ

ハクチョウ類

越後平野には、毎年10,000羽を超えるハクチョウ類が飛来します。そのほとんどがコハクチョウで、日本屈指の飛来数です。国内に生息する野生の鳥類では最大級の大きさで、かつ白く美しく、身近で観察できることからハクチョウ類の群れは冬の風物詩になっています。

トキ

トキ

国の特別天然記念物、新潟県の「県の鳥」、同県佐渡市の「市の鳥」として親しまれています。

佐渡島では、現在も共生を目指して野生復帰の取組が続けられています。現時点では、越後平野には定着していませんが、佐渡島から飛来する個体が不定期に確認されています。