migrating books
— 移動・移行・移民する本 —
Vandrende Bøker
2015, OSLO
CAPPELENS FORSLAG
一年後、船の本棚と移民する本たちは
ノルウェーのオスロに到着しました。
— 移動・移行・移民する本 —
Vandrende Bøker
一年後、船の本棚と移民する本たちは
ノルウェーのオスロに到着しました。
CAPPELENS FORSLAG 店内 (2015)
同年8/12日から "Vandrende Bøker OLSO" (移民する本 ・オスロ)の配布が、現地のアーティスト Veronica Bruce の協力のもとオスロで行われた。
その様子は、こちらの動画で見ることができる。
この事前の配布や店内での紹介などを通して、オスロでは50冊の移民する本が配られた。
「CAPPELENS FORSLAG」は、オスロ中心部にある独立系書店。
通りに面した大きな窓からは光がよく入る。
店内は、レコードがかけられ、古本と新刊本が売られている。
心地よいソファーがあり、訪れる人は必ずしも本を読んで買うだけが目的というわけでもなさそうだ。
コーヒーを飲みながら、ノートパソコンを開いてしばし自分の作業をして帰っていく人もいる。
音楽ライブやトークなど、様々なイベントも開催している。(私が滞在している間にも週末になると音楽ライブが開催されて店は人でいっぱいになっていた。)
店内のどこをとっても、楽しくもゆったりした空気がある。なによりも、オーナーの意思が隅々に行き届いている店だ。彼らはユニークな手製本の制作と出版も手がけていて、書籍に関わるすべての行為をあますところなく楽しんでいるのがこちらにも伝染するのだろう、その空間にいることがうれしくなる。
(ぜひサイトにアクセスして、ノルウェー語ながら店の雰囲気を覗いて見て欲しい)。
periscopeによる配信
期間中にはなるべく私も店内にいて、入ってくる人とおしゃべりをしながらプロジェクトの話をして過ごし、その様子を当時ライブ配信できるアプリとしてあったperiscopeで配信した。(残念ながらperiscopeの終了に伴って、その記録を今は見ることができない。)
人の出入りの量の兼ね合いもちょうどよく、天井が高いからなのか、人のちょっとしたおしゃべりの声が気にならない空間だからこそできたことだったと思う。
日本とノルウェー、それぞれの「移民する本」
「CAPPELENS FORSLAG」では、「移民する本・東京」の展示と販売、そして「移民する本・OSLO」の配布とその乗船が行われた。
2014年に日本円で2,000円と決められた「移民する本・東京」は、125NOK(2015年のレート)での販売となった。
基本的に書店というものは、(何かの専門分野や言語に特化しない限りは)「現地で流通している言葉」の本を取り扱うことが多いだろうと思う。そのため、その地域に足を踏み入れた外部からの存在が訪れるチャンスが少ない場所でもある。
スーパーマーケットとは違う。
その意味においても、ここで日本語で紙に書かれた、つまり簡単にその場で翻訳できない「移民する本・東京」が紹介されることはとても稀なることで、また素直に楽しい経験になった。
日本語を理解しない人々は、写真で本を選ぶ。もしくは、居合わせた私の説明を聞いて本を選んでいった。
そして集まったオスロ版を見て驚いたのは、一冊もノルウェー語で書かれた本がなかったことだ。英語、アイスランド語、イタリア語、日本語の本が集まった。
ノルウェーでは英語でのコミュニケーションが難なく行われるので英語は不思議ではないし、移民してくる人種も多様なのだろうと思う。
「移民する本・OSLO」
「移民する本・東京」と同じく、オーナーのAndreas Cappelen氏がオスロ版の価格 100 NOK を決めた。
価格決定の理由は、こちらの動画で氏が語ってくれている。
最終日にはトークイベントを開催し、著者となってくれたみなさんと交流できた。
オスロでの実施にかかる費用の一部は、ALLOTMENT の助成金で賄われました。
この TRAVEL AWARD(制作旅行助成金)は、「移民する本 オスロ」の開催が決定する前、つまり行き先不明の段階から企画を提案することができるもので、こういった曖昧な状況でも賞をいただけるチャンスは多くはありません。
アーティストの自由な発想を後押ししてくださるアワードの姿勢には、深い尊敬と感謝の気持ちを抱いています。
8/24 最初の一冊が届きました
最終日には、12冊が乗船