第5回研究会

講演者1:永井 秀稔 氏(新日鉄住金ソリューションズ株式会社)

題目: 現実のスケジューリング問題における最適化適用の現状

新日鉄住金ソリューションズは、製鉄業における鉄鋼生産計画を出発点として、製造業にとどまらず輸送業やサービス業など幅広い領域に最適化システムをご提供しております。近年はSWやHWの進歩によって一昔前より格段に最適化問題を解きやすくなりましたが、一方で、どのようなスケジューリング問題においても「コスト・能力・納期のトレードオフ」や「業務ルール順守不能時の対応」を適切に最適化問題へモデリングすることは難しく、最適化問題を解くこと以上に頭を悩ませています。 本講演の前半では、スケジューリングの代表的な最適化問題をいくつか俯瞰した後、実問題をシステム化するにあたっての実践的な最適化モデリングの方法論や技法をご紹介します。後半では、これまでの最適化システムにおける課題感を提示し、実務者による最適化結果の利活用を促進する新たな最適化システム形態に向けた研究取組についてご紹介します。

講演者2: 池上 敦子 氏(成蹊大学)

題目: ナーススケジューリング ― 解修正のための情報づくり ―

求解が難しいといわれてきたナーススケジューリングもインスタンスによっては 最適化ソルバー等で最適解を得られるようになってきた.残された大きな課題は, 解の評価,目的関数の設定などである.人間が抱える暗黙的な評価尺度をすべて 陽に表すことは難しく,現実的には,暫定的に設定した目的関数の下で得られた 最適解(勤務表)を修正し,人間が最適と思えるものして利用することになる. 本発表では,修正のための情報づくりとして,与えた目的関数における最適解を 非常に多数生成する実験を行った結果を紹介する.数年前には最適解を得ること が難しかったインスタンスについて7000万を超す最適解を得ている.