ガンガゼ類除去に伴う長期的な海藻被度、ウニ類相、有用貝類の変化を明らかにした下記論文についての紹介です。
https://doi.org/10.2331/suisan.20-00075
石川達也・竹内大介・玉山(加藤)葉・倉島彰 (2021) 三重県早田浦のガンガゼ類除去区における海藻被度,ウニ類相および有用貝類個体密度の変化.日本水産学会誌 DOI: 10.2331/suisan.20 00075
三重県尾鷲市の早田浦では2010年から継続的にガンガゼ類除去が行われています。
この論文では早田浦のガンガゼ類除去区内のウニ類相とサザエ、アワビ類等の変化を調査しました。
これにより、長期的なガンガゼ類除去がウニ類相や有用貝類に与える影響を評価しました。
図1は早田浦のガンガゼ類除去区におけるガンガゼ類の密度と海藻被度の変化を示しています。
2010年2月から長期的にガンガゼ類を除去した結果、ガンガゼ類は少なく保たれています。
ガンガゼ類が減少した後、海藻被度が増加し、藻場が再生・維持されています。
図2は除去区におけるウニ類相の変化を示しています。
ガンガゼ類を除去する前ではガンガゼ類が多く見られました。
除去によってガンガゼ類が減少すると、ムラサキウニやナガウニ類等のウニ類が増加しました。
この除去区では除去前はガンガゼとアラサキガンガゼのみが確認されていました。
調査期間を通して10種のウニ類が見られ、ウニ類の種数の増加が確認されました。
図3は除去区内のサザエとアワビ類密度の変化を示しています。
除去前では有用貝類であるサザエ、アワビ類は確認できませんでした。
除去後、貝類の餌となる海藻が増加すると、サザエとアワビ類が確認されるようになりました。
これらの結果から、長期的なガンガゼ類除去によって、ウニ類の多様性、有用貝類の密度が増加すると考えられました。
一方、本論文で増加が確認されたムラサキウニやナガウニ類も磯焼けが持続する原因となる場合があります。
そのため、ウニ類除去による藻場再生を行う際にはモニタリングを同時に行い、除去対象となるウニ類の種類を追加・変更することが重要であると考えられます。
本ページは表題論文の一部を改変、要約して作成しました。