ケージ実験を用いてガンガゼの個体密度が海藻植生に与える影響を明らかにした下記論文についての紹介です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pbr/11/4/11_B110401/_article
Ishikawa, T., Maegawa, M., Kurashima, A. (2016) Effect of sea urchin (Diadema setosum) density on algal composition and biomass in cage experiments. Plankton and Benthos Research 11(4): 112-119.
ガンガゼ類による食害が主原因の磯焼け海域では、ガンガゼ類の密度を低下させることで藻場が回復できます。
そこで、異なるガンガゼ密度が海藻植生に与える影響を調べることを目的に実験を行いました。
三重県尾鷲市の早田浦に1 m×1 m×1 mの実験用ケージを5つ設置しました。
ケージ内に入れるガンガゼの数を変えて、海藻被度などを測定しました。(ガンガゼ個体密度 0, 1, 2, 4, 8個体/m²)
上の写真は実験終了時のケージ内の様子で、白文字はケージ内のガンガゼ個体数を示しています。
写真にないガンガゼを8個体入れたケージでは海藻は全く生えませんでした。
ガンガゼ無ケージと比較して、1, 2個体のケージでは海藻の量は減りましたが、種数に大きな差はありませんでした。
このことから、早田浦ではガンガゼの密度が2個体/m²以下であれば、藻場が回復することがわかりました。
本ページは表題論文の一部を改変、要約して作成しました。