三重県尾鷲市の早田浦においてガンガゼ類除去に伴う海藻植生変化を明らかにした下記論文の紹介です。
石川達也・戸瀨太貴・阿部真比古・岩尾豊紀・森田晃央・前川行幸・倉島彰(2017)三重県早田浦におけるガンガゼ除去に伴う海藻植生の変化.日本水産学会誌 DOI: 10.2331/suisan.16 00085
この論文では早田浦でガンガゼ除去を行う前の1999年と2004年に加え、除去後の2014年に早田浦全域の海藻植生調査を行いました。
早田浦の主な藻場構成種であるホンダワラ類だけでなく、小型海藻についても調査しました。
確認された海藻は採集し、種を同定しました。
採集した海藻の押し葉標本を作成して、年ごとの種や種数を過去の調査と比較しました。
このような調査の結果、早田浦の湾口部では1999年から2014年まで安定して藻場が維持されていました。
対して、湾奥部では1999年と2004ではガンガゼ類が優占する磯焼け状態でガンガゼ除去後の2014年では磯焼けから藻場が再生し、それに伴ってホンダワラ類や多様な小型海藻が増加していました。
ガンガゼ類の摂食圧が持続要因となった磯焼け海域ではガンガゼ除去を行うことでホンダワラ類などの大型褐藻に加え、多様な小型海藻も増加することが明らかとなりました。
本ページは表題論文の一部を改変、要約して作成しました。