The Future of Audit

概要

 本書は、英国議会下院の省別特別委員会であるビジネス・エネルギー・産業戦略委員会(Business, Energy and Industrial Strategy Committee:以下、BEIS 委員会)によって公表された「監査の将来(The Future of Audit)」の邦訳書です。

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*原文はココから

■本書の背景と位置づけ

本報告書公表時においてBEIS委員会は、Rachel Reeves下院議員(労働党)を議長とする超党派の下院議員11名で構成され、同委員会によって本報告書は作成されました。このような議会下院の省別特別委員会から報告書が公表され、議会主導による監査制度改革の議論が進められた背景には、2018年1月に生じた大手建設会社Carillion社(ロンドン証券取引所上場)の経営破綻があります。

この事件は、単に同社の財務報告および監査の信頼性に対する疑問にとどまらず、英国における法定監査への危機感の高まりにつながりました。 これを受けて、英国議会下院、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy and Industrial Strategy:以下、BEIS省)および競争・市場庁(Competition and Markets Authority:以下、CMA)が主体となり、同事件が発生した背景、明らかとなった課題、将来に向けての改善策などについての議論が行われ、複数の報告書が公表されました。これらの報告書と並行して、BEIS委員会による調査が2018 年11月から開始され、その調査結果が2019年4月2日に「監査の将来」として公表されました。

本書の主張と付録

本報告書は、「法定監査サービス市場の調査:最終報告書」や「Kingmanレビュー」などで言及されている改革案を基本的に支持しつつ、全体として監査の質向上と改革を強いトーンで求める報告書となっています。本報告書の勧告に対する政府からの回答は付録として収録しています。