キャリア教育は、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育ていることを通してキャリア発達を促す教育」と定義されています。職業について学ぶ時間ではありません。未来は予測不可能なもの。そんな中で自らの人生を切り拓いていくためのチカラを手にいれるための学びの場づくりをすることが必要です。
私たちが日本版ベンチマークの開発に取り組もうと考えた背景にあるキャリア教育の現状は、以下のようなものです。「キャリア教育」という言葉が初めて登場した1999年から月日がたち、その言葉は浸透してきたものの、形骸化してしまっている部分も否めません。これから必要なのは、ひとりひとりが人生を切り拓いていくために何が必要なのか、その「質」が問われているのだと考えています。
中学校では、99.3%の学校で職場体験活動がキャリア教育の活動として年間計画に位置付けられており、「上級学校見学(訪問・体験)」(63.4%)や「ボランティア活動」(39.2%)と比べて、中学校におけるキャリア教育にかかわる体験活動の中でも中核的な位置付けとなっている。職場体験活動を経験した生徒の90.9%が「有意義な活動だと思う」と回答している。加えて、生徒の92.5%が自分の将来の生き方や進路を考える上で職場体験活動が役立ったと回答している。
【高等学校では「キャリア教育の全体計画がある」学校は79.9%であり、全体計画の中に「キャリア教育の全体目標(学校全体で身につけさせたい資質・能力)」を記している学校は79.6%であると調査結果が出ている。
小学校ではキャリア教育の年間指導計画を作成している学校が全体の50.5%。
さらに、キャリア教育に関わる体験活動が含まれている学校は全体の26%とどまるとの調査報告が出ている。また、体験学習における事前事後指導を企画実施している学校も全体の19.7%にすぎない。
高等学校では、キャリア教育の取組に対して評価を行っている」に「あてはまる」と答えたのが、学校調査で32%、担任調査で10.7%、さらに、「キャリア教育の評価結果に基づいて取組の改善を行っている」に「そのとおりである」と答えたのは、学校調査で28.8%、担任調査で7.9%という低い数字にとどまっている。
国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターの『キャリア教育に関する総合的研究第二次報告書(令和3年10月)』より
「小学校では、キャリア教育の取組に対して評価を行っている」学校は、全体の18.3%、「キャリア教育の評価結果に基づいて取組の改善を行っている」学校は15.4%にすぎない。