有田・越水研は、2025 NAIST STELLA プログラムに参加しています https://sites.google.com/view/naist-stella/
STELLAでは高校生が取り組める「日本人は桜が大好きプロジェクト」を支援しているので桜関係の資料を集めておきます。
遺伝研が中心になって実施するサクラ100ゲノムデータベース https://sakura.nig.ac.jp/
遺伝研のさくらギャラリー https://www.nig.ac.jp/koho/mitemite/gallery.html
公益財団法人日本花の会「桜図鑑」https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/
多摩森林科学園サクラデータベース https://db.ffpri.go.jp/sakura/home.php
このはなさくや図鑑ー美しい日本の桜ー https://www7b.biglobe.ne.jp/~cerasus/index2.html (このサイトのデータは書籍化もされており転載等できないので注意)
日本に自生する桜の原種は11種類(カンヒザクラを除く10種とする場合もあり)。古くから栽培種の作出に用いられたのは太字の4種。学名 Cerasus はサクラ属の意味で、1992年まではより幅広い Prunus (スモモ属)の学名も用いられた。学名はイタリック体で記すのが正式。
ヤマザクラ C. jamasakura (= P. pseudocerasus) いわゆる「吉野の桜」で古くから歌に詠まれた。様々な変異種がある。赤茶色の若葉が花と同時に出る。
エドヒガン C. itosakura (= P. pendula = P. spachiana) 葉より先に多くの花を咲かせる。ヒガンザクラ、ウバザクラ(「歯がない」の駄洒落で姥桜)。長命で樹高は15m以上。各地の古い一本櫻はこの品種。
オオシマザクラ C. speciosa (= P. speciosa = P. lannesiana) 伊豆大島原産。樹高は15m。若葉は緑色で花も葉も香り高い。鎌倉に渡ったものが室町時代頃に京都に持ち込まれた。
カスミザクラ C. leveilleana (= P. verecunda = P. serrulata) 山地に(冷温帯)に分布。樹高は20mを超え盃状。花期が遅く花柄に毛がある。ケヤマザクラ。
マメザクラ C. incisa 富士山周辺や箱根が原産。花が小さく樹高も5m前後(伊豆半島では大型化)。
カンヒザクラ C. campanulata 花は釣鐘型で樹高は5mほど。主に沖縄に自生。
チョウジザクラ C. apetala 花が下向きで小さく萼筒が長い。山地に多い。
オオヤマザクラ C. sargentii ヤマザクラより花が大きく色が濃く、山地(冷温帯)に分布。ベニヤマザクラとも。
タカネザクラ(ミネザクラ)C. nipponica 山岳地帯(高嶺)に分布、最も寒さに強い。
ミヤマザクラ C. maximowiczii 山岳地帯(深山)に分布。
クマノザクラ C. kumanoensis 紀伊半島南部で見つかり2018年に新種と判断された。早咲き。
起源について
農水省「日本の桜の歴史」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2303/spe1_02.html
白鹿記念酒造博物館「平安時代の天皇と花見」https://sake-museum.jp/sakura/931/
DiscoverJapan「日本の桜の歴史を6つのキーワードでたどる」https://discoverjapan-web.com/article/124856
ソメイヨシノ(作出されたのは江戸中期徳川吉宗の 1720年前後、今の駒込あたりにある染井村)
中村郁郎(千葉大学)「日本の桜ーソメイヨシノの起源を解明」https://www.tokyo-shoyaku.com/v_files/docs/yk2016_04.pdf この文章には地錦抄の二代目伊藤伊兵衛政武が吉宗の沙汰を恐れて桜の育種を秘匿したとありますが、桜は増補地錦抄(品種名一覧)にも公益地錦抄(ふだん桜、吉野しだれ桜)にも記述されています。
枝垂れ桜
枝垂れる桜は平安時代から知られ、その様子から糸桜などと記載される(エドヒガン学名の由来)
「もろともに月も忘るな糸桜年の緒ながき契りと思わば」(1568年に足利義昭が一乗谷南陽寺、今の福井市で詠んだ歌)
「君が代の時にあひあふ糸桜いともかしこき今日の言の葉」(朝倉義景による返歌)
八重桜
八重は自然に生じうる。小ぶりなナラノヤエザクラはカスミザクラの変種で寿命が短い。奈良の県花および市花。https://urano.org/kankou/topics/yae/index.html
「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬる哉」(百人一首61番 伊勢大輔 989-1060)
旗桜
雄しべの中に小さい花びらが交じるものを旗弁(きべん)、そうした花が多いサクラを旗桜とよぶ。武家が戦勝祈願に重用し、旗弁のあるオオシマザクラが鎌倉・室町にかけて京都に持ち込まれた。
「櫻花概説」(おうかがいせつ)(三好学 1921年)大正時代の第一人者による解説書。112種を木版多色刷で作成した「櫻花図譜」とセットの解説書。https://dl.ndl.go.jp/pid/1885045/1/38 過去の桜文献や図譜への解説も詳しい。
「花壇綱目」(かだんこうもく)(水野元勝 1681年)「 桜珍花異名の事」として40品種を記載。品種リストとしてはおそらく最古。https://dl.ndl.go.jp/pid/2536268/1/54
「怡顔斎桜品」(いがんさいおうひん)(松岡恕庵 1758年)(早稲田 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni14/ni14_00716/index.html 国会図書館 https://dl.ndl.go.jp/pid/9893261/1/61 ) 桜69品種の解説書。
地錦抄(じきんしょう)江戸染井村の植木屋伊藤伊兵衛三之丞(?-1719)および子の政武(1667-1739?)が記した花壇地錦抄 (1695)、増補地錦抄 (1710; 国会図書館 https://dl.ndl.go.jp/pid/2569460/1/25 京大 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012328?page=88 )、公益地錦抄 (1719; 京大 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00012329?page=12) 、地錦抄付録 (1733) の総称。園芸植物の総覧。
「古今要覧稿 第4巻 草木部 上」(屋代弘賢 著; 国書刊行会 明39=1906)https://dl.ndl.go.jp/pid/897549/1/61 日本書紀や古事記にまで遡って桜の記述を解説。禁秘抄など宮内庁の書籍も多々引用。
さくら50品種の開花時期、花の形状データ https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/7497.pdf
SSRマーカによるさくら起源の解析論文(英語) https://link.springer.com/article/10.1007/s11295-014-0697-1