プレハブの欠点として、夏がひどく暑くて、冬寒いことが挙げられます。有松学童保育所の父母会がリースで建てた指導員室用のプレハブは、本格的な冬の時期になると、壁の鋼板が非常に冷たく、壁に触れると、まるで氷を触っているよう。エアコンはいつまでたってもガーガー音を立てて暖房しています。建築から5年経った今は、床のクロスが浮いてはがれてきています。まさしく仮設品質。長期で使うものではありません。
ただ、保育室に利用している市貸与のプレハブの床は、5年建った今でも綺麗です。建築の際、父母会が費用を出してちょっといい床材を選定したこともありますが、多くの児童がドタドタやっているわりには、傷は多くあってもめくれてはいません。また、市の助成によってエアコンは換気ができる最新式を購入することができたため、通常の名古屋の夏なら35度以下に冷やすことができ、冬もそこそこ暖かく過ごせます。それに、令和元年(2020年)の記録的な夏の暑さから、令和2年度には市提供のプレハブは断熱材が増強され、窓はペアガラスになりました。更に、令和3年度からはコロナウイルス対策として標準提供される手洗い設備が増えました。また、同時期に室内木質化の予算が通ったことで、保育室の床はクッションフロアから木質系フローリングに変更、壁も板張りになるので、鋼板の冷たい感じがなくなるでしょう。更に、市は鉄が錆びないようメンテナンススケジュールを組んでおり、建物が償却期限まで使えるよう計画されています。学童を運営する父母が建物本体のメンテナンス計画を立てて実行をする手間がありません。
この新しい仕様の専用プレハブは、市が組んだ建替スケジュールによって提供されます。建替は約20年ごとですが、私達は移転による建替を理由に、たった6年で最新仕様のプレハブに切り替える権利を得る予定でした。土地を確保し、仕様レベルがあがったプレハブを設置、さらに外構を自分達で整備していけば、現在の場所にある学童保育所を超えて、いい施設に育てていけると考えていました。
今回の移転では、プレハブではなく自力建築を選択することになりましたが、そうすると施設管理を父母が行うことになります。建物は無垢の木を多く利用するので定期的なワックスがけが必要ですし、水周りや建物本体を定期的に点検し、メンテナンスや設備更新する必要もあるでしょう。ただ、市から貸与されるプレハブと違い、児童がいない時間帯は、施設所有者である有松つなぐ会が学童保育以外へ貸し出しすることが可能です。地域に対しても、この施設を通して有松つなぐ会ができることがあるかもしれません。なにより、今後は移転がないので、継続してずっと施設を育てることができるのです。
土地も建物も、今の有松学童保育所を超えて、子ども達の豊かな放課後に貢献できる施設を目指します。