滋賀県民の皆さん、県内諸団体の皆さん!
安倍内閣は2015年10月1日に防衛装備庁を発足させ、2015年度には3億円、2016年度には6億円の予算規模であった「安全保障技術研究推進制度」を2017年度には110億円へと急増させました。
これまで戦後72年間、全国の大学や研究機関は先の戦争への協力に対する反省を原点として研究活動を行ってきました。しかし、一方で国立大学の法人化後、国庫からの運営費交付金はこの12年間で約1470億円も削減されてきました。さらに、少なくなった大学予算の一部を「改革」を名目として競争的資金に組み替え、それらの獲得へと大学を競わせ、こうして政府の言いなりになる大学改革を押し付けてきました。安倍政権は日米同盟優先の立場から、大学予算や研究費を通じて自由な研究を圧迫し、他方で軍事目的の研究資金を増額し、研究者を軍事目的の研究にひきずり込もうとしています。
こうした強引なやり方は学問の自由と独立を脅かすものであるばかりでなく、日本の学術や基礎的研究の未来を阻害し、軍需産業との癒着、批判的学問の抹殺、ひいては武器輸出や軍備増強によって世界の軍事的緊張を一層高めるものだと断じざるを得ません。
さらに深刻なことはこれまで戦争を目的としないという原則を貫いてきた日本学術会議が「デュアルユース(軍民両用)」や「自衛」を名目として軍事研究を容認する姿勢に転換する兆候が見られることです。研究者を取り巻く劣悪な研究環境の現状の中で日本学術会議が軍事目的の研究を容認することになれば、多くの研究者や大学が雪崩を打って軍事研究にのめりこんで行く危険性が大いに高まります。滋賀県では滋賀県立大学において、2015年度に「安全保障技術研究推進制度」への応募の是非が検討されましたが、見送った上で、大学の研究活動におけるあり方を検討し、2017年1月には「戦争や軍事への寄与を目的とするなどの人類の平和を脅かす研究を行うことがないよう」とする「基本理念」を公表しました。現状では、広島大、琉球大、新潟大、関西大など明確に軍事研究を拒否する大学がある一方で、すでにいくつかの大学では防衛省の研究資金を受け入れています。
私たちは学問の自由と独立を守り、県内のすべての大学・研究機関が軍事目的の研究資金を受け取らず、戦争を目的としない研究を貫くこと、そして大学・研究機関の研究条件の改善を求めて次の取り組みを進めたいと考えています。
私たちは上記の目標を達成し、必要な活動を展開するため、2016年10月に結成された軍学共同反対連絡会(全国)や県内の個人・諸団体と連携し、軍学共同反対滋賀連絡会を結成します。多くの研究者、市民の皆さん、県内諸団体の皆さんのご参加を心から呼びかけるものです。