『AEW: Fight Forever』インタビュー(1)<開発者編>AEWとTHQ Nordic、そしてユークスによる強力タッグチーム!本作の魅力をキーマンに聞いた!!

by 馬波レイ ライター

🕓 2022/11/04 18:00 更新

アメリカの大手プロレス団体AEW (All Elite Wrestling)と、オーストリアにある大手パブリッシャーTHQ Nordic。この両者はどのように出会い、そして『AEW: Fight Forever』を開発するにいたったのか。東京ゲームショウ2022にあわせて来日した、両社のキーマンに話を聞くことで、そのヒミツを紐解いてみた。

▲AEWのSVP(上級副社長)であるNik Sovic氏(写真右)と、THQ Nordicでプロデューサーを務めるDavid Knudsen氏(写真左)

――『AEW: Fight Forever』を開発するにあたっての、お二人の役割を教えてください。

Nik:AEWのCEOであるTony Khanとともに、AEWを立ち上げた創業メンバーのひとりで、上級副社長をしています。このゲームを作った理由のひとつは、プロレスファンがもっとも興味を持っていることがテレビゲームであることがリサーチを通じてわかったからです。ですから、このプロジェクトがAEWにとって非常に高い優先順位になることはすぐにわかりました。このゲームは当初、私とケニー・オメガ(AEW所属レスラー兼AEW副社長)、そして(クリエイティブディレクターを務める)岩下英幸さんの3人で2年半以上を費やしてきたけど、クリエイティブな観点からはケニーの存在が一番大きいですね。

――Nikさんの仕事は、本作をビジネスとして成功させるということですね。ではDavidさんは!?

David:私のこれまでの経歴は、主にライセンス管理を伴うプロデューサーとしてゲーム製作に関わってきました。その中には『WWE SmackDown! vs. Raw』シリーズや『WWE Legends of WrestleMania』といったレスリングを題材としたゲームもあります。ですので、開発をする中で、実際にレスラーたちとの交流も多数行ってきました。2019年からはTHQ Nordicと契約を結んで、再びレスリングゲームの開発に戻ってきました。今回のタイトルでも、プロデューサーを務めています。

――本作を日本で発売することは最初から考えていたのでしょうか?

Nik:はい。我々AEWは、日本はプロレスにとって非常に重要な市場であると考えています。AEWの主要選手の多くは日本でよく知られていますし、そもそもこのゲームを開発しているのは日本の会社であるユークスです。そのことからも、我々が日本のプロレスとゲーム市場を重要と思っていることはおわかりいただけると思います。ですから、東京ゲームショウという場所でファンの皆さんにゲームをプレイして意見を聞かせてもらえること、そしてリングを使ってのライブショーを行えることに非常に興奮しいています。集まってくださったファンの皆さんには感謝を伝えたいです。

――『AEW: Fight Forever』の魅力はどこにありますか?

Nik:このゲームは『WWF No Mercy』(※2000年に北米・欧州で発売されたNINTENDO64用のプロレスゲーム。日本のゲーム会社AKI(現シンソフィア)が開発し、『バーチャルプロレスリング』シリーズと同様のゲームシステムを採用している)の精神的後継作だと言ってもいいと思うんです。なにしろ本作を作るために最初に行ったのが、『WWF No mercy』クリエイティブディレクターである岩下さんを探して契約することでした。彼の(レスリングゲームに対する)ビジョンにはとても敬意を払っています。『WWF No mercy』は20年以上も前のゲームですが、『AEW: Fight Forever』を触ってもらえればいくつかの類似点に気づいてもらえると思います。そうしたコアなゲームシステムは受け継いだうえで、グラフィックスや(キャリアモードでの)ストーリーテリングといった部分を大きく進化させています。近年だと人物の動きはモーションキャプチャーすることがほとんどですが、本作では熟練したユークスのメンバーが手作業でアニメーションを制作しているんです。当然たいへんな作業ですが、その動きの素晴らしさを見てもらえれば多くのファンがその価値を認めてくれると思います。

David:Nikが言ってくれたように、このゲームの遊び心地は、私が若い頃に楽しんだゲームを思い出させてくれます。最新のゲームエンジンによるルック(見た目)と、クラシックなゲームのフィール(手触り)。まるでクラシックカーに最新のエンジンや装備を搭載したかのような、見た目もいいし運転するのも楽しいし、それでいて快適というように、その両方の長所を備えているんです。

――どの選手がゲームに登場するのかが気になるところですが。

Nik:まだ最終的な登場メンバーは発表していないのでまだお話はできませんが、近い将来それを行う予定です。AEWにはとても多種多様なロースター(所属選手)がいるので、きっとプレイヤーが気に入ってくれる選手がいると思います。また、容姿や技を設定して自分だけのレスラーをクリエイティブすることも可能です。ゲーム本編の発売後もダウンロードコンテンツが用意されています。私達はこのゲームを長くサポートしていくつもりです。

David:AEWにはさまざまなレスラーがいます。レストランに例えるなら、ステーキハウスやタコス屋台もあれば、イギリスやインド料理、日本食のレストランもあるようなものといったらおわかりいただけるでしょうか。ひとつ日本のファンの方々にお知らせしておきたいのは、今回東京ゲームショウに出展したのはニヶ月前の開発バージョンだということで、そこからすでに多くの改善と拡張を行っています。このゲームが成功すれば、きっとより多くのアップデートやDLCなど長期に渡っての展開が続けらることでしょう。今後の発表を楽しみにしていてください。

▲THQ Nordic ブースに設置されたリング上での記念撮影。左からNik氏、AEW初代女子王者の里歩選手、クリエイティブディレクターの岩下英幸氏