リアルさだけではない!目指しているのは、対戦して楽しいプロレスゲーム!『AEW: Fight Forever』

by 馬波レイ ライター

🕓 2022/11/02 15:00 更新

ケニー・オメガこだわりのタイトル

東京ゲームショウ2022のTHQ Nordic ブースを訪れた人なら確実に目に止まったであろう、ド真ん中に設置されたプロレスのリング。これが何を意味するかといえば、2023年発売予定の『AEW:Fight Forever』のプロモーションのため。ゲームの試遊はもちろんのこと、リング上でのプレゼンテーション、そして実際のプロレスの試合でひときわ注目を集めていた、その模様を振り返ってみよう。

AEWとはなにかをざっくり説明すると、アメリカで2番目に大きなプロレス団体のこと。正式名称をAll Elite Wrestlingといい、日本でも大活躍したプロレスラーのケニー・オメガらを中心に2019年に旗揚げをするや、コアなプロレスファンを中心に大きな話題に。以後は毎週2回のレギュラーテレビ放送を行っているなど、破竹の勢いで人気を獲得している。

アメリカ人やメキシコ人だけではなく日本人レスラーの活躍も顕著で、AEW世界女子王者には里歩や志田光が名を連ね、DDT所属の竹下幸之介はAEW世界王者のタイトルマッチに挑戦。今年6月には「禁断の扉」と銘打たれた新日本プロレスとの合同興行も行われるなど、日本のプロレスファンへの浸透度も上がってきている。

▲リングが設営されたTGS2022でのTHQ Nordic ブース。来場者がリングに上がっての記念撮影も行えた

前置きが長くなったが、そんなAEWの世界観を対戦アクションゲームとして楽しめるのが『AEW:Fight Forever』というわけだ。ジャンルは見た目のとおり、レスラーを操作して相手に勝利することが目的の対戦アクションゲーム。AEWのリングで見られる実在のレスラーたちを操作して、豪快にして爽快な戦いが楽しめるのが特徴だ。TGSでは20分のシングルマッチが楽しめる試遊バージョンを用意。多数の来場者がコントローラーを手に試合を楽しんでいた。

▲AEWの会場を模したブースでは試遊機を設置。新作タイトルの体験プレイが行えた

▲TGSバージョンのスクリーンショット。レスラーの姿はもちろん、会場のセットやレフェリーのオーブリーの姿までそっくりに再現。リングアナのコールも本人によるものだし、演出もテレビ番組を模したものとなっている

「プロレスゲームって操作が複雑そうで……」と心配する人もいるだろうが、本作はさにあらず。パンチやキックといった攻撃はボタンひとつで繰り出せ、また掴みボタンで相手をつかむことで投げ技を繰り出すことができる。打撃や掴みの強弱はボタンを押す長さで変化するというわかりやすい操作体系なので、アクションゲーム初心者でもすぐに操作に慣れることができるだろう。ダッシュやリング/コーナーへの上り下りといったプロレスならではのアクションも可能だ。

▲基本操作の説明。攻撃に対応する防御ボタンを押すことでガードや反撃もできる。スティーブン・リーガルが教えてくれる(しかも日本語で!)のがありがたい

プロレスの見どころと言えばド派手かつ強力なフィニッシャー(決め技)だが、本作でももちろん使用可能。レスラーの行動で増加するモメンタムゲージが満タンな状態で相手をつかんでから右スティックを倒すと、各選手固有のスペシャル・フィニッシャーを繰り出すことが可能。3カウントを奪える威力であるのはもちろん、テレビ中継を思わせるリプレイ映像が流れるので、ズバリ決まれば爽快この上ない。

▲レスラーの顔の横にあるのがモメンタムゲージ。相手に攻撃を与えるなどで増加して満タンになればフィニッシャーのチャンス!

▲モクスリーのフィニッシャーであるデスライダー(パラダイムシフト)が炸裂。相手から3カウントを奪えば勝利が決まる

TGSバージョンではシングルマッチのみの試遊であったが、製品版ではタッグや3ウェイ、ラダーマッチやエニウェア戦、そして(ジョン・モクスリーvsケニー・オメガが戦った)電流爆破マッチまで用意されるとのこと。さらに、レスラーとなって団体内での成長を体験していくキャリアモードやレスラークリエイト機能、AEWを題材としたミニゲームも収録されるというから楽しみだ。

▲ラダーマッチなどの特殊ルールもプレイ可能。どんなルールが採用されるのかが楽しみ!

▲数種類のミニゲームも用意されるとのこと。AEWファンなら見覚えのあるスタジアムで、竹刀でバッティングをする志田光。ホームラン競争!?

プロレスファン的には出場選手が気になるところだが、TGSバージョンではケニー・オメガ、CMパンク、ポール・ワイト、アダム・コール、サンダー・ロサ、志田光を使ってのシングルマッチが楽しめた。すでに公開されたスクリーンショットでは、クリス・ジェリコやジョン・モクスリーといった人気選手の姿も確認できるので、主要選手の多くは登場すると思ってよさそうだ。ていうか、登場して!(願望)

▲TGSバージョンでのレスラー選択画面。TGSバージョンでは男女6選手から選択可能となっていた

▲プロレス興行の華とも言える入場シーンも再現されている。テロップもテレビ中継そのまま!

と、シンプルにして熱い戦いが楽しめるのが最大の特徴となる本作。そうなっているのは、開発陣が「プロレスゲームとしてのプレイフィールがもっとも重要」だとしているから(公式リリースより)。

本作でクリエイティブ面の陣頭指揮を取るケニー・オメガは、それを実現するために『バーチャルプロレス』シリーズや『WWE No  Mercy』といったプロレスゲーム開発でディレクターを務めた岩下“ゲタさん”英幸氏を招聘。さらに『エキサイティングプロレス』や『闘魂列伝』シリーズといったプロレスゲーム開発で高い実績を持つユークスとタッグを組むことで、理想のプロレスゲームを生み出さんとしている。そうした顔ぶれがそろっただけに(かつて大手プロレスゲームを販売していた)THQ Nordicがパブリッシングを行うのは、もはや必然ともいえるだろう。

▲ゲームに造詣が深いケニーによって最強のスタッフが集結。TGS会場にてインタビュー取材を行ったので別稿にてお届けする予定だ

リング上ではゲームのプレゼン、そしてエキシビションマッチが!

TGS開催初日の9月15日には、AEWでレスラー兼選手のマネジメントを担当するクリストファー・ダニエルズが登場してのプレゼンテーションを実施。要職にある人物が登場していることからも、本作へのAEWの力の入れ具合が伝わってくるというものだ。

▲AEWで要職にあるクリストファー・ダニエルズによるプレゼンテーション。AEWの中澤マイケルを通訳、フリーアナウンサーの村田晴郎をMCに本作の魅力が伝えられていった

クリストファーはAEWの魅力を「ジョン・モクスリーやジェリコ、ブライアン・ダニエルソンといった既存のビッグスターだけでなく、ジャングルボーイやダービー・アリンといった若き新勢力との対戦がエキサイティングだ」と語り、アメリカのプロレス市場に新たな競争が産まれたのではないかと説明。設立から4年でゲームになるほどの勢いがある団体だ、とも付け加えた。

▲日本での活躍時期の長いクリストファーだけに、時折日本語を交えてのプレゼンとなった

開発にはゲーマーであるケニーが情熱を持って取り組んでいるとしたうえで、「とっつきやすくて奥深いのが理想。レスリングファンだけでなく、格闘ゲームが好きな人でも楽しんでもらえると思う」とゲーム性を説明。また、「レスラーたちの技は経験豊富なユークスのスタッフたちが(モーションキャプチャーではなく)手付けで行っていて、それがダイナミックさを生み出している」と裏話を披露。リアルさだけを追求したシミュレーションではなく、対戦ゲームとしての楽しさとプロレス再現の両立を目指す本作ならではの逸話だろう。

▲後半にはゲームを実演する様子も。時間切れになってもコントローラーをはなさないあたり勝負にこだわるレスラー気質!?

そこにリングがある以上、プロレスでの戦いが起きるのは必然! 9月16、17、18日の3日間では、1日2回のエキシビションマッチが行われた。試合にはクリストファー・ダニエルズをはじめ、竹下幸之介や坂崎ユカ、水波綾といったAEWで活躍している選手が出場。いつもの試合と変わらぬ迫力のファイトで(時にはリングを飛び出して)来場者たちにプロレスの魅力を伝えていった。

▲職人クリストファー・ダニエルズとアメリカで評価爆上がり中な竹下幸之介が対戦。AEWでも実現したことのない一戦にファンは熱狂した

▲試合後にはサイン会も行われた。AEWレスラーから直接サイン入りポートレートがもらえる貴重な機会とあって大勢のファンが列を作っていた。

▲AEWのビッグマッチの出場経験のある水波綾。AEWと協力関係にある東京女子プロレスの乃蒼ヒカリと対戦。熱いパフォーマンスを爆発させた

■対応機種:PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch、PC(Steam)

■開発元:ユークス

■発売日:未定

■価格:未定

(写真提供:DDTプロレスリング)