私は大学を卒業してから4年くらい日本語教育に携わっていました。そのため、日本語教育能力検定試験には合格していたのですが、初めて日本語教育コースの過去問を見た時は、歯が立たない、、、と受験を諦めてしまいたい気持ちになりました。しかし、将来日本語教師生活が10年20年、、、となった時、大学院進学にチャレンジしなかったことをきっと後悔するんだろうなと思い、少しずつでしたが、働きながら受験の準備をしていました。
しかし、当時は国外の日本語教育機関で働いていたこともありますが、院試に関する情報収集に苦戦していました。オープンキャンパスに参加もできなければ資料請求もできない、院試を経験した知り合いもいない、、、と、また受験を諦めかけていた(諦めようとしすぎでしょうか(笑))時、お茶大・日本語教育コースのHPを見つけました。日本語教育コースのHPの内容は本当に充実していて、大変参考になったのはもちろんですが、何よりも、外部受験生も歓迎している印象を受け、やる気が出たことを覚えています。
HPは隅々まで読み、まずは、先輩方も勧めていらっしゃった概説書*で日本語教育学分野の復習をしました。それから、関心があった社会言語学分野の専門書を読み、自分の言葉でまとめ、受験対策ノートのようなものを作って勉強していました。
帰国してからは、国立国会図書館に通い、文献を収集しながら、研究テーマを探しました。オープンキャンパスにも参加し、先生方や先輩方に直接相談ができる機会があったのですが、私は先生と一対一で話して、勉強不足がばれて、悪印象を与えたらどうしよう、、、と先生ではなく、先輩方に相談ができるコーナーに行きました(笑)受験希望者の方々には、オープンキャンパスで希望する指導教官と話せる機会があるかもしれないことを想定して、参加されることをおすすめしたいです(笑)また、事前に過去問や研究計画書についての具体的な疑問点をまとめておかれると、より有益な情報を得られると思います。そして、もし遠方からオープンキャンパスに参加される場合は、過去問の外国語試験が著作権の関係で入試課でしか閲覧できないはずなので、オープンキャンパスの前後に入試課にも立ち寄れるスケジュールを立てられるといいかもしれません。
過去問についてですが、これまでどんな問題が出題されたのかを把握してから専門書を読み進めれば、ノートのまとめ方なども受験対策仕様になり効率的だと思います。しかし、試験ではどのくらいの文量、構成を期待されているのか、どんな論述が評価されるのか、など院試は、大学受験などとは質が異なるためわからないことが多く、試験間近になって、そういえば先輩がオープンキャンパスで受験希望者同士で連絡先を交換して、情報共有することを勧めるって言ってたな、、、と後悔していました。
1日目の記述試験は、私以外全員私服でした(笑)私は服についてはあまり考えておらず、スーツで受験するものだろうと決めてかかっていました。しかもなぜか靴下を履いてパンプスを履いていたことを家に帰ってから気がつきました。よほど緊張していたんだろうなと思います。それから、教室に入ると、大半の人が同じ表紙の概説書*を読み返していて、私もそれは読んでいたのですが焦ってしまいました。受験希望者の方々は、試験前はあまり周りを見ないほうが心を乱されずに、試験に集中できるかもしれません(笑)試験中は、とにかく手を動かし続けたので、終盤は手に力が入らなくなるほど疲れていました。あらかじめ長時間書き続ける練習をしたり、手が疲れにくいシャープペンシルなどを準備したりしておくことが望ましいと思います。また、漢字の復習も必要です(笑)最後に、教室には時計がなかったはずなので、時計を忘れないように気を付けてください。
2日目の個人面接では教官2人と10分程度話しました。私は研究計画書について「もっとこうやって書けばよかったのにね、、、」と言われたり、なぜこのゼミなのかといった想定内の質問に、緊張していたせいか上手く答えられなかったりして、落ちた、、、と目の前が真っ暗になる感覚だったのですが、新しい質問の度に一生懸命気持ちを切り替えて、流れを立て直す努力をしました。面接は手応えなく終わりましたが、面接前後、職員の方々がずっと暖かく応援してくださっていたのにはほっこりして、いい学校だったなと思いながら門をくぐりました、、、
最後に、最も重要であろう研究計画書についてですが、事前に、希望する指導教官とコンタクトを取って、研究の方向性について理解し合った上で出願するのが、お互いにとって理想的なようです。そして、明らかにしたいことがはっきりしていることや、自発的に学ぶ姿勢があることなどをしっかり伝えられると、修論を書き上げられる学生だろう、と考えてもらえる判断材料にもなり得ます。また、希望する指導教官のもとで、そして日本語教育コースで修論を書く意義、それから、どのように自身の研究が日本語教育に貢献できるのか、も研究計画書にわかりやすく盛り込めることが望ましいと思います。希望する教官に連絡をするのは勇気がいることだと思いますが、きっといい研究計画書を書けるヒントがいただけると思いますので頑張ってください。
注 大関浩美 (2010)『日本語を教えるための第二言語習得論入門』くろしお出版
佐々木泰子編 (2007)『ベーシック日本語教育』ひつじ書房
ヒューマンアカデミー (2018)『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 分野別用語集』翔泳社