東洋大学-ストラスブール大学交流40周年記念シンポジウムとして、2025年10月2日および3日にストラスブール大学にて特別シンポジウムが開催されました。
シンポジウムは「フランスと日本における仕事の変容/Work in Transition in France and Japan」をテーマに、人口構造の変化、環境問題、デジタル化の進展が職場の変化にどのように影響しているかを切り口として開催され、6つの分科会と、ノーベル化学賞受賞者であるJean-Pierre Sauvage教授による特別講演が行われました。
東洋大学からは、矢口悦子学長を団長とする代表団が参加しました。メンバーは、荒巻俊也国際担当副学長、今村肇名誉教授(国際学部グローバルイノベーション学科)、矢代武嗣教授(情報連携学部情報連携学科)、合田達郎教授(生命科学部生体医工学科)、竹下和貴准教授(生命科学部生命科学科)、南野奈津子教授(福祉社会デザイン学部子ども支援学科)、René Carraz准教授(国際学部グローバルイノベーション学科)および国際課職員1名で構成される計9名のチームです。
初日の開会セレモニーでは、Frédérique Berrodストラスブール大学長、矢口悦子東洋大学長、内田浩行在ストラスブール日本国総領事、高木敏行JSPSセンター長、Michèle Forté日仏大学会館長、Sandra Schaalストラスブール大学日本語学科教授が挨拶を行い、本シンポジウムが両大学の交流をさらに深化・発展させる契機となることへの期待が述べられました。
Session 1「AI, Innovation and Transitions」では、Patrick Lierena教授を座長に、本学から今村肇名誉教授と矢代武嗣教授、ストラスブール大学からThomas Lampert主任教授(データサイエンス・人工知能講座)が登壇しました。教育・人材育成の観点、職場でのAI活用、INIADを事例としたAIを活用した教育実践など、3つの異なる側面から発表が行われました。
Session 2「Nanosciences and Health in Transitions」では、Marie-Claire Lett氏を座長に、ストラスブール大学よりAlberto Bianco教授(CNRS特別研究長)、本学から合田達郎教授、竹下和貴准教授が登壇しました。それぞれ次世代医療に向けた多機能ナノマテリアル、バイオミメティック・バイオインターフェースの設計と生体医療応用、現地調査データに基づく化学物質の生態学的リスク評価について発表を行いました。
午後には、Session 3として、ストラスブール大学やストラスブール市が関わっている医療革新・医療技術(MedTech)、デジタルヘルス、研究・教育・起業を一体化させる大規模なキャンパスプロジェクトであるNEXTMEDを訪問しました。NEXTMEDの研究機関であるストラスブール大学附属の消化器系がん研究所で、ロボット手術の研究・教育を中心に国際的に活動しているIRCAD、およびバイオメディスン研究センターCRBS(Centre de Recherche en Biomédecine de Strasbourg)を訪問しました。
夜には、ストラスブール総領事公邸にて夕食会が開催され、総領事をはじめ領事館関係者、ストラスブール大学関係者、日仏大学会館関係者、JSPS関係者などが一堂に会し、関係者の交流・友好を深める貴重な機会となりました。
Session 4「Gender, Work and public policies」では、René Carraz准教授を座長に、ストラスブール大学よりMichèle Forté教授とSandra Schaal教授、本学より南野奈津子教授(福祉社会デザイン学部子ども支援学科)が登壇し、フランスにおける労働市場におけるジェンダー課題、日本におけるジェンダー、労働市場及び関連する政策、日本の公務員におけるジェンダー課題等が発表されました。
Session 5は「Entrepreneurship」をテーマに、Herrade Igersheim教授を座長に、Véronique Schaeffer教授(経営学)とRené Carraz准教授(国際学部グローバルイノベーション学科)が登壇し、トップグローバル大学プロジェクトからの実証を事例とした日本の高等教育における国際化、社会的・環境的起業プロジェクトのリーダーとしての学生起業家について発表が行われました。
Session 6は、「Privacy and Democracy in digital and environmental transitions」をテーマに、Sandra Schaal教授を座長に、Emmanuel Droit教授、荒巻俊也教授(国際学部国際地域学科)が登壇し、デジタル革命の時代における秘密とプライバシー、デジタル革命はどのように環境転換をもたらすかというテーマで発表が行われました。
2日目の特別講演ではノーベル化学賞受賞者のJean-Pierre Sauvage名誉教授が登壇し、2016年にノーベル化学賞を受賞した分子機械と分子モーターについて講演し、会場の参加者から大きな関心が寄せられました。
2日目の各セッションでも活発な質疑応答が行われ、参加者同士の意見交換や議論が一層深まりました。新たな視点や気づきが共有され、セッション全体の理解がさらに広がる場となりました。
シンポジウムの最後には、Rémi Barillonストラスブール大学副学長と荒巻俊也・東洋大学副学長の両氏が閉会の辞を述べ、今回のシンポジウムの成功を称えるとともに、11月で東洋大学で開催されるシンポジウムに向けて更に協力していくことを確認し合いました。