2024.07.15MON

活動報告

2024年7月13日(土)東洋大学サマースクール2024 Dコース「キャンパスの森」で夜の生きもの観察

東洋大学川越キャンパスでは社会貢献事業の一環として、主にキャンパス近隣の小学生を対象にした「サマースクール」を実施しています。

東洋大学川越キャンパスこもれびの森・里山支援隊の活動とは直接関係がありませんが、代表の小瀬博之は、所属する総合情報学部の企画として、毎年キャンパスの森での生きもの観察を実施しています。

2024年度は、7月13日(土)18:00-20:00に『「キャンパスの森」で夜の生きもの観察というテーマで、初めて夜の観察会を実施しました。

13組18名の小学生とその保護者とともに、昆虫等を観察、捕獲しながらこもれびの森の散策路などを周回しました。

この日は幸いにして観察中に雨は降りませんでしたが、実施時間の気温は26℃台(さいたまの気象庁アメダスデータ)と比較的低かったことなどもあり、仕掛けたライトトラップやバナナトラップにはあまり昆虫が現れませんでした。それでも日暮れ前の草地などでの昆虫などを観察、採集して多くの生きものを見つけることができ、キャンパスの森の自然の豊かさを実感していただけたのではないかと思います。

なお、イベント終了後のライトトラップには、実施時よりも多くの昆虫がついていました。また、終了後にセミの翅化がよく見られる場所を案内しましたが、その際は見ることができませんでしたが、夜遅くにニイニイゼミの翅化が見られたので、その様子を写真でお伝えします。

カブトムシの死骸

残念ながら生きているカブトムシを見つけることはできませんでしたが、アリに捕食されているカブトムシを発見しました。生態系にむだなものはありません。

アオハダの実

落ちていたアオハダの枝にたくさんの実がついていました。こもれびの道には高木のコナラ林の下にアオハダがたくさん自生しています。

マンネンタケ

珍しいマンネンタケを発見しました。キノコも様々な種類を観察することができますが、夜ならではというものではありません。

シャクトリムシ

シャクガ科の幼虫(シャクトリムシ)を発見しました。タラノキの複葉の葉柄に擬態しているようにピンと体を伸ばしていました。

アカアシオオアオカミキリ

捕獲できた昆虫は昆虫観察器に入れて、教室で書画カメラを使って拡大して観察しました。今回、初めて見つけた昆虫の一つがアカアシオオアオカミキリです。この昆虫は夜のみに活動するそうなので、夜の生きもの観察ならではの発見でした。

観察結果

捕獲して昆虫観察器に入れて観察した昆虫などの結果を記しています。時間の関係で種の特定に至っていない状況ですが、日没前後に活動する昆虫などをたくさん観察することができました。なお、観察後は元の場所付近に戻しました。

バナナトラップ

バナナと砂糖、焼酎、発酵を促進するドライイーストで作ったバナナトラップ(樹液と同じようなにおいがする)を急きょこしらえてコナラに仕掛けましたが、当日仕掛けたためかカブトムシなどの昆虫は現れませんでした。もう少し様子を見て誘引状況を確認します。

ライトトラップ(観察終了後)

左はLEDのブラックライト(紫外線が主成分)、右は普通のフルカラーLEDライトで、光を白い布に当てて昆虫などを誘引しました。これも日没前後でまだ十分に暗くならないうちの観察だったので、あまり昆虫がいなかったのですが、片付ける20:30ごろにはコガネムシなどの昆虫がブラックライトの方を中心にたくさんついていました。

アオドウガネ(観察終了後)

開催前の予習で近隣の外階段で発見したアオドウガネですが、ライトトラップにも現れました。昆虫の名前で「アオ」が付く場合、緑色であることが多く、このコガネムシは鮮やかな緑色をしています。

コフキコガネ(観察終了後)

開催前の予習で近隣の外階段で発見したコフキコガネですが、ライトトラップにも現れました。このコガネムシはくすんだ茶色をしています。

カメムシの仲間(観察会終了後)

予習においてもカメムシがライトトラップに誘引されていましたが、今回も誘引されていました。

ニイニイゼミ(観察終了後)

ニイニイゼミもライトトラップに誘引されていました。ライトトラップについていた昆虫は片付けるときもなかなか離れずにいましたので、たまたま止まるというよりも長時間たたずむという感じの状況でした。もう少し長い時間仕掛けておくとたくさんの昆虫が発見できるかもしれません。

ニイニイゼミの翅化(観察会終了後)

今回巡回したこもれびの森ではないのですが、キャンパスの一角にセミの幼虫が多く翅化して成虫になる場所があります。終了後に一部の方に案内したときは、20:00過ぎでその姿は発見できませんでしたが、23:00ごろ改めて観察してみると、ニイニイゼミが翅化している様子を発見できました。ちょうど翅を広げようとしている姿はとても神秘的です。