安田 万里江さん、カタリ ビシャルさん(国際学部 国際地域学科 2021年卒業)

卒業生の活動@福島県いわき市


国際地域学科の学生は、2012年から継続して福島県いわき市を訪問しています

(コロナ禍の間は、FOOD PROJECT FUKUSHIMAを実施)。

今回、二人の卒業生にいわきでのボランティアについて聞きました。


安田万里江さん(2021年度卒業)は、2017年に初めていわきを訪問し、その後も個人でボランティアを続けています。


1)いわきに通うようになったきっかけについて、教えてください。

2017年、子島先生の紹介で、いわきへのスタディツアーに参加しました。東日本大震災からすでに6年が経っていましたが、いわきの様子を見て、震災を風化させてはいけないと思いました。

震災をきっかけに、農業の形を見直した福島裕さんのお話を聞いて心をうたれました。次の世代に震災の経験を伝えるとともに、環境について深く考え、有機農業に切り替えたその姿勢に共感しています。福島さんと個人的にコンタクトを取って、在学中からいわきへボランティアに行くようになりました。

震災が起きた当時、私は小学6年生でした。住んでいた葛西では、地盤沈下の被害を経験しました。それは「目に見える被害」でしたが、いわきでは原発事故の影響という「目に見えない被害」があることを、改めて感じました。当時、周りの人々に助けてもらった分、自分のできる範囲でボランティア活動をしたいと思いました。


2)卒業した今、どんな形で関わっていますか?

今、東京で仕事をしています。月1、2回のペースでいわきに通って、畑のお手伝いをしています。定番の仕事は、水やりと雑草抜きです。時期によって、種を発芽させるための苗床を作ったり、収穫作業をしたりします。干し芋加工を行ったこともあります。

昨年、スイカの苗植えやスイカを守るために防鳥ネット張りをしました。収穫をしてみんなに配ったスイカが大好評だったことをきっかけに、今年は「スイカ係」を任命されました。自分の畑を持つことができて嬉しかったんですが、反面遠方から通うため責任を持つことができるのか不安でした。

しかし、福島さんや里山のメンバーが支えてくれるので、そんな心配は必要がないことに改めて気付かされました。

現在は、畑のお手伝いの他に里山のメンバー同士での新たなイベントや交流を楽しんでいます。里山は私にとって第二の故郷となりました。帰る場所があると思える、そんなあたたかいコミュニティです。いずれはいわきに住んで、自分にとって出来ることを増やしていきたいと思っています。

安田さんが在学中に作成した調理動画。福島さんの畑やボランティアの様子も登場します。得意の中国語で作成しています。

続いて、Bishal Khattri(カタリ・ビシャル)さんの文章です。


僕は2018年に「ボランティア実習」の授業で「天空の里山」を訪れ、代表である福島裕さんと出会いました。初めて訪れた里山では様々な可能性を感じる環境が広がっていました。福島さんや里山を訪れるボランティアの人柄の良さにも感動しました。何より福島さんの目標に共感しました。「自分が後世に残せる唯一のものは綺麗な環境であり、そのための第一歩が完全無農薬農業だ」という言葉には強く心が動かされました。

里山には全国から色んな方々が訪れます。みなさんと一緒に作業をしながらお話をすることで、いつも多くの刺激をもらっています。

僕は2021年の大学卒業後、実家のある福島県郡山市に戻りました。そして正式に天空の里山の会員になり、郡山から車でいわきに通うようになりました。だいたい1時間くらいの距離です。現在、「里山ピカピカプロジェクト」に参加して、荒地の開墾や里山全体を綺麗に保つための作業を行なっています。

畑を借りて、さまざまな野菜を一人で栽培しています。今年の3月にはじゃがいもを植えて、7月中旬に300キロを超えるじゃがいもを収穫することができました。その他にも、キャベツやカリフラワー、ネパールの野菜など幅広く様々な野菜を栽培しています。栽培した野菜は、すべて僕の親が経営する飲食店で使う予定です(ネパールカレーのお店です)。

これからも僕は天空の里山と関わり続けていきたいと考えています。その形はまだ決まっていませんが、栽培はもちろん、多くの人々に里山を知ってもらえるように頑張っていきたいです。

2017年のボランティア。オーガニックコットンの収穫の手伝いをする学生たち。

キャベツの収穫に取り組む安田さんとビシャルさん。