海外英語実習体験談(2023年度)

Short-Intensive Program (ShIP) 学生の声 

(2023年度参加)


 2023年度は前年度に引き続き海外でShIP (Short Intensive Program) を実施し、マレーシアサインズ大学、サンカルロス大学(フィリピン)、トンプソンリバーズ大学(カナダ)での5週間のプログラムに計85名が参加しました。以下、各コースの参加学生に現地で苦労したこと、実習を経て自分のなかで成長したと思うこと、思い出エピソードを聞きました。

トンプソンリバーズ大学(TRU)コース 

1年 金子詩音

 

1. プログラムの中で最も力を入れたこと

私はプログラムの中で自分の力で相手に伝えたいことを正確に伝える努力をしました。具体的には翻訳アプリは単語を調べるだけのために使うように意識すること、たとえ一度で相手に自分の言いたいことが伝わらなかったり、少し違ったニュアンスでとらえられていたりしても諦めずに正しい内容を自分の力で伝えようとすることなどです。はじめは思うように文が組み立てられず、うまく理解してもらえないこともありましたが、私がカナダで話した人はどの人も一生懸命分かろうとしてくれていました。「少し言いたかったことと違うけれどそう言うことにしよう」と諦めてしまうのは楽ですが、それでは自分の英語力は伸びないし、せっかくカナダで一か月間生活している意味がないと思い、文法的に正確ではないかもしれませんが、話したい内容が正確に伝わるまで何度も言い方を変えてみたり、ジェスチャーをしてみたりして、なるべく自分の力だけでコミュニケーションを図ることを意識していました。

 

2. 自分の中で成長した点

私の中で成長できたと思う点は、自分が思っていることや考えていることを相手に伝えられるようになったことです。このプログラム以前は、授業中に分からないことがあっても質問するのを躊躇してしまったり、周りに合わせ空気を読んでしまったりしてしまいがちでした。しかし、カナダでの生活の中で自分の意見をはっきり言ってもいいと、むしろ伝えるべきだと思えるようになりました。例えば、ホストファミリーとの食事の時にいつも「嫌いなものは教えてね」と気遣ってくれて、ホストマザー自身も「私はこれが嫌いなの」と教えてくれたおかげで私も好きなもの、嫌いなものをはっきり言いやすくなりました。はっきり自分の意思を伝えることは悪いことでも迷惑なことでもなく、それを知ったうえでお互いに歩み寄り過ごしやすい環境を作れるのだと気づきました。

 

3. 印象深いエピソード

カナダでの生活は楽しくて刺激的でわくわくするような毎日でした。特にホストファミリーとの生活は私にとって特別な経験でした。例えば、私はよくホストファミリーと一緒にテレビショーを見ていました。そのテレビショーの出演者の人がつけていたピアスがかわいくて、「あのピアスかわいいね」とホストマザーと話していた。ハロウィンの日にホストマザーがプレゼントをくれて、その中にかわいいピアスが入っていました。それが以前話していたものによく似ていたので、驚きました。私が何気なくかわいいといったのを覚えていてくれて、選んでくれていたのがとても嬉しかったです。ホストファミリーは同じホームステイ先だった友達と私の話をいつもきいてくれて、本当の家族のように接してくれました。カナダに出発する前は海外で生活することにとても不安でしたが、帰国直前には帰りたくなくなるほどとても充実していました。それはホストファミリーやバディーやTRUの先生方などが私たちを暖かく迎えてくれて、その優しさに触れ、英語力や文化、それ以上のことを学ぶことができました。

サンカルロス大学(USC)コース

1年 太田聖士

 

1.プログラムで最も力をいれたこと

私がプログラムを通して最も力をいれたことは、目的意識を持ち、細かい目標設定をして行動することです。ShIPのプログラムの期間は約5週間であるため、留学経験や海外体験がない人でも参加しやすいコースではあります。5週間という期間は想像よりも短くあっという間で、気づいた頃にはプログラム終盤になっていた、というような話を先輩方からもお聞きしました。自分にとって初めての海外だったので、多くの面で自分の学びや成長にしっかり生かしたいという気持ちが強くありました。例えば、英語に関しては、流暢に喋る能力や発音を身に付けられるよう、日常会話から区別をつけてより正確な発音で会話に臨むなど、英語の学習やPBL(貧困問題についての課題解決型学習)、日常生活のそれぞれで細かに目標や計画を立てて行動することを心がけていました。

 

2.自分のなかで成長した点

自分のなかで成長した点は主に2つあります。1つ目は、様々な環境に適応する能力です。今回は自分にとって初の海外だったので、不慣れな環境で1ヶ月超を過ごす必要がありました。フィリピンに到着してからの数日は言語の壁や、日本とかけ離れた環境に悩まされました。言語に関しては、会話のなかで自分の伝えたいことや緊急の質問なども全て英語でやり取りをする必要があったり、現地の言葉を喋る(英語が通じない)店員やタクシードライバーと意志疎通を図る必要があったりと、課題ばかりでした。生活環境に関しても衛生環境や習慣、食生活などほとんどのものが日本とは大きく異なり、ストレスに感じることも多々ありました。ですが、2週目には自信を持って話すことができるよう、必要になるフレーズなどを覚えて頻繁に使用することを心がけたり、様々な工夫を経て、段階的に適応させることができました。2つ目は、様々な場面において自分に自信を持つことができたことです。1つ目で言及していた不慣れな環境での生活や数々のプレゼンテーションなどを通して、様々なことに臆せず挑戦をしたり人前で話したり発表したりすることへの耐性をつけることができました。

 

3.印象深いエピソード

私たちは、バライサマリターノ(Balay Samaritano)という貧困問題に面している子供や老人のために月曜日から土曜日の間開かれている施設と、バンカル(Bankal)という不法居住地域から引っ越してきた人々が暮らす地域の2つを貧困問題の学習の一環で訪れました。そもそも、私は貧困問題に関心があり、それもフィリピンのコースを選んだ1つの理由でした。ですが、自分が持ち合わせていた一般的な貧困の認識と違っていた部分が多々あり、自分がその分野についての見識が狭いことを自覚しました。まず1つ目は、子供達やご老人の方々の多くが英語を話すことができるという点でした。フィリピンは英語圏の国ではあるものの、町でも英語を話せない人を見たことがありました。このことから、貧困問題を抱えている層は、充分な教育を受けられず、英語教育も遅れていると考えてしまっていたため、そのときのことをとても印象深く覚えています。2つ目は、貧困問題や課題は残っているものの、最低限のライフラインが整っていたことです。数種類の草や野菜、魚、米などが手に入る環境下にあることや、電気や綺麗な水へのアクセスがあり、ガスを使うことができるなど、自分がイメージしていた生活様式よりも充実した環境が整っていることをインタビューで知りました。ですが、道の状況や虫の多さなど衛生環境の問題、食べ物のバリエーションの少なさ、満足のいく食習慣を送ることができていないなど、多くの問題が残っているのも事実です。実際に貧困を目の当たりにすることで、自分の認識を改めると同時に、何が実際の課題なのか、それを解決することの困難さ、そして、興味を持った分野に直接アプローチすることの重要性に気付くよいきっかけになったと思います。

マレーシアサインズ大学(USM)コース

1年 松戸奈月

 

1.プログラムで最も力をいれたこと

留学で最も力を注いだのは、積極的にたくさんの人とコミュニケーションをとる事でした。英語だけでなく、現地の言語も積極的に学び、異なる文化や人々と深いつながりを築くことを目指しました。言葉の壁を越えることで、友情や協力関係が生まれ、留学生活がより意味あるものになりました。現地の学生のバディさんに、毎日自分から声をかけ、会話での様々な表現方法を教えてもらいました。教えてもらったことをすぐに自分で文章にして、実践し、伝えるということを繰り返しました。一つずつ自分のものにすることができ、表現の幅を広げることができました。また、バディさんだけでなく、現地の大学の海外留学生とも自分から積極的に交流し、コミュニティを広げることができました。言語を学ぶことは、柔軟性や自己成長にもつながり、留学経験全体を豊かにしました。

 

2.自分の中で成長点

私はこのプログラムで、挑戦力と自主性を大きく成長させることが出来たと感じます。今まで海外に行った経験はなく、今回初めて海外で生活しました。言語や異文化の壁を感じることも多く、苦労したこともありました。しかし、バディさんから「失敗してもいいから挑戦してみな」と励まされ、自主的に行動することを心掛けて生活しました。特に、授業では、プレゼンテーションをする機会が多くありました。私は人前で話すことが苦手で、自信を持つことが出来ませんでした。しかし、克服するため、自分から何度も挙手し、取り組みました。段々と自信を持て、表情やジェスチャーにも工夫できるようになり、先生に褒められるまでに成長しました。失敗を恐れず挑戦してみることの大切さを痛感しました。この経験は私にとって、将来の挑戦に対する自信を養う重要な一歩となりました。

 

3.印象深いエピソード

村に訪問し、子供たちと交流したことが印象に残っています。村の子供たちは英語が通じず、私たちとの共通言語はありませんでした。英語が通じないことに最初は戸惑いましたが、ジェスチャーなどを通じ、コミュニケーションを取り合いました。私は、言語だけがコミュニケーションの手段ではないことを学びました。言葉の壁を越えた時、言語以外のコミュニケーションの大切さに気付きました。この5週間は人生で一番濃い時間を過ごすことが出来ました。バディさんや先生、現地の方々は私たちを温かく迎え入れ、生活面・勉強面など何から何までサポートをしてくれました。放課後や休日には、色々な所に連れて行ってくれ、彼らがいたからこそ私は安心して楽しく過ごすことが出来ました。感謝してもしきれないほどたくさんの経験をさせてくれました。たった5週間でしたが、深い絆が生まれ、空港でのお別れはとてもつらかったです。素晴らしい体験をさせてくれた、USMコースを選んで心から良かったと思います。