海外英語実習体験談(2019年度)

海外英語実習 学生の声(2019年度参加)

国際地域学科では、必修科目「海外英語実習」を開講しており、アジア・オーストラリアでの実習を全員順調に終えました。

この実習では「国内外の地域づくり」に求められる実用的な英語力の習得を目的として、5週間・110時間超の集中学習を行います。IELTSで0.5ポイント(TOEICで約100点)のレベルアップが目標です。また机上の学習だけでなく、学んだことをすぐに実践の場で使って身につけることを重視し、海外という異文化環境での実習を実施しています。本年度の実施校はマラ工科大学(マレーシア)、マレーシア科学大学、サンカルロス大学(フィリピン)、カーティン大学(オーストラリア)の4大学です。

以下、本年度に実施した実習に参加した学生(1年生)に、現地で苦労したこと、実習を経て自分のなかで成長したと思うこと、思い出エピソードを聞きました。

マレーシア科学大学(Universiti Sains Malaysia):USMコース

塩澤 真結(実習日程:10月5日~11月10日)

1.現地で最も力を入れたこと

一番苦労したことはPBL活動でした。PBLでは現地での社会問題に対し自分たちでフィールドワークをし、英語でプレゼンにまとめなくてはいけません。私の班が与えられたテーマは「ペナン島のランドマークの今後の維持管理」について。経済効果と維持コストのつり合いはもちろん、その建物が島民に与える影響なども考え実際にその場に足を運び、インタビューをしました。課題提起においても、問題への切り口においても現地の学生とのコミュニケーションが重要で、自分のアイディアをいかに正確に伝えるか、そしてそれに対する先生や現地学生からのフィードバックをいかに正確に理解し判断するかがプレゼンテーションに大きく影響しました。英語力を試されるだけでなく、相手の文化の違いからくる意見や価値観の差を受け入れ理解しようとする姿勢も求められます。実際、日本人学生が出した意見に関して現地の学生がそれはマレーシアの人々には文化的に受け入れられないとの判断を下すなど日本の当たり前と世界の当たり前の差を突き付けられる場面も多々ありました。学生同士がフェアな関係で、なんでも素直に言い合える場を自分たちで作ることが必要とされます。

2.自分の中で成長した点

自分のペースを保ち、周りに流されないようになったのはこの実習での私の大きな成長の一つです。この研修では、一つのアパートメントで生徒が三人に一つずつ部屋を与えられ、共同生活を送ります。炊事や洗濯も各自で行い、生活面でも学びの多い研修です。集団行動に慣れていなかった私にとって、五週間もの間大勢の人と共に生活することにはじめは戸惑いも多くありました。しかし、五週間の実習のなかで、集団の輪を乱さずとも自分の日ごろの生活のリズムを保つことは可能で、友人とも良い距離感を保つことができるということを学びました。また、自己管理においても体調管理、お金の管理、時間の管理も含めて自立できるようになったと感じています。

3.思い出のエピソード

ペナンヒルというペナン島で有名な観光地にみんなで行った時の絶景が強く印象に残っています。丘の上の広場ではみんなで踊ったり、かき氷を食べたりしました。いい天気の中ゆったりとした時間を過ごすことができ、ロープウェイの中や丘の上のベンチでは普段なかなか話せないような話もできて現地学生との絆が深まった一日でした。現地の学生とはそもそも私たちが滞在する間、日本人2,3人に1人ついて生活や学習の補助をしてくれる「バディ」と呼ばれる存在がいて、各自の指定のバディとは普段からでも話しやすいのですが、ほかの生徒のバディとは仲良くなるきっかけが持ちづらいのもあり、ペナンヒルでの一日が多くのバディと話すことができた最初の日だったのではないかと思います。現地の学生に積極的に話しかけ、友好関係を築くことは英会話上達の一番の近道であると思います。

岡田 一真(実習日程:12月14日~1月19日)

1.現地で最も力を入れたこと

最も力を入れていたことは、バディとのコミュニケーションです。せっかくペナンに行くからには積極的に英語を使いたいと思い、また常にバディたちは私たちの近くにいて共に行動をすることも多かったので、たくさん話すことができました。そのおかげもありバディたちととても仲良くなり、私たちが帰国する際にはほとんどの人が別れを惜しんで泣いていたのがとても印象的でした。特に仲良くなったバディとは現在もSNSを通して交流したり、ビデオ通話で1~2時間ほど話したりしています。今思うとこの5週間でたくさんコミュニケーションをとったことはこのプログラムの中で一番の成功だったのではないかと思います。

2.自分の中で成長した点

成長した点としてまずは、英語力です。中でもwritingは自分の中で一番伸びたのではないかと思います。その日の出来事などをダイアリーとして書いたり、毎週末にはエッセイの課題が出され、それを書いたりとほぼ毎日英文を書いていたので、英語で書くスピードや文章作成能力がとても向上しました。また他に成長した点としては、PBLを通じて協調性を身に付けたことです。自分の意見を主張しつつ相手の意見を否定するのではなく、まずは受け入れることが大事だと気付くことができました。

3.思い出のエピソード

ペナンでの印象深いことはホテルでの生活です。ホテルにいる間のほとんどの時間をルームメイトまたはPBLのメンバーと過ごしていて、毎日がとても充実していて楽しかったです。そして、私の部屋はバディたちがたくさん来ることが多く、そこでバディたちとたくさん会話し遊んだりして楽しい時を過ごしたのも良い思い出です。また、English Modules授業で5週間同じクラスメイト、先生と一緒に勉強したこともとても印象深いです。授業はそこまで堅苦しいものではなく、けれどしっかりと英語を学ぶことができたので毎回の授業がとても楽しかったです。他にもペナンの色々なところに行ったことも良い思い出ですが、どこに行ったかよりもこの5週間を、一緒に出発した4Qのメンバーと過ごせたことが何よりも楽しく一番の思い出になりました。

〈海外英語実習同コース参加学生@ジョージタウン ストリートアート作品の前〉

出典:筆者撮影

マラ工科大学( Universiti Teknologi MARA):UiTMコース

森田 菜美(実習日程:10月5日~11月10日)

1.現地で最も力を入れたこと

私はこの研修が初めての海外での滞在であったため、特に体調の管理と異文化の体験に力を入れました。病気になることなく無事に帰国できたのは、睡眠時間の確保や身の回りを清潔に保つことなどの日々の自己管理がしっかりとできていたからだと思います。現地の生活や文化は現地に行って体験しないと絶対にわからないのでとても貴重な経験となりました。

2.自分の中で成長した点

英語と日本語のどちらの場合でも、自分の言葉で自分の意見を伝える力が付きました。今までは文法が間違っていないか、言いたい言葉が英語で出てこない、などとつまずいてばかりでなかなか発言ができないでいましたが、この研修で積極的にバディとコミュニケーションをとっているクラスメイトに刺激を受け、最後までこちらの話していることを聞いて丁寧に教えてくれるバディたちに支えられ、間違ってもいいから話そうと思えるようになりました。

3.思い出エピソード

~日常編~
ルームメイトと近所のコインランドリ―に洗濯物を出しに行き、ベンチで待っていると、そこのオーナーと一人のお客さんに話しかけられて、お互いに日本語とマレー語を教えあったことが思い出です。マレーシアの人が日本に興味を持ってくれているということが嬉しかったですし、大学以外の場所で現地の人と交流できたことが印象に残っています。
~大学編~
マレーシアでのPBL発表前日、私たちのグループは原稿の内容を覚えることと、英語の発音に苦労していました。その日の夜にPBLバディが私たちの宿泊していた部屋に来て、原稿を覚えるコツや発音指導をしてくれました。その日だけではありません。マレーシアで過ごした5週間は本当にたくさんの場面でバディに助けてもらいました。いつも優しくて私たちのことを気にかけてくれるバディたちに本当に感謝しています。

これはマレーシアの伝統的な服を私たちが着て行ったファッションショーの時の写真です。デザインも色も様々で選ぶのも、ほかの人の衣装を見るのも楽しかったです。ショーではポージングをしてモデル気分。大盛り上がりでした。 

須谷拓海(実習日程:12月14日~1月19日)

1.最も力を入れたこと

今回の実習は普通の留学に比べて日本人が多く、期間も5週間と短いものでした。私は元々英語がとても得意というわけではなく、TOEICのスコアも400点台とあまり高くはありません。周りには自分より英語を得意とする人が多かったです。そのため、今回の実習では、自分から声をたくさんかけて、会話の機会を増やすことに力を入れました。最初の一週間は周りに圧倒されて、あまり話しかけにいくことが出来ませんでした。しかし徐々に自分で声をかけていくうちに、最初は勇気が必要だったことが当たり前になりました。自分から英語を使う機会を作ることがとても重要だと実感しました。

2.自分の中で成長した点

行く前は自分の英語に自信を持つことができず、英語に対しての意欲も低い状態でした。しかし今回の実習を通して、自分の英語に少なくとも行く前よりは自信を持つことができ、英語に対しての意欲も高くなりました。行く前は英語が話せたらかっこいい、でも勉強するのは少し面倒くさい、と思う自分でしたが、実習を終えて、英語をもっと話せるようになりたい、英語で日本語と同じくらいコミュニケーションをとりたい、と思うようになりました。

3.思い出エピソード

この留学で過ごした1日1日がどれも同じくらい大切な思い出です。大学でのイベントや授業、個人的にバディと遊びに行ったことや部屋でのちょっとした時間など、1番を選ぶにはどれも楽しすぎる思い出ばかりです。時には自分がバディに話しかける前に他の学生が話しかけてしまった苦い思い出もありますが、終わってみるとそれもいい思い出であり経験だな、と感じます。学生、バディ、先生の全員を含めて楽しかった思い出は、ファッションショーです。マレーシアの伝統衣装をまとってショーを行ないました。先生も参加していて、先生とも仲を深めることができました。

サンカルロス大学(University of San Carlos ):USCコース

三上 遥(実習日程:10月5日~11月9日)

1.現地で最も力を入れたこと

現地で最も力を入れたことはPBLの活動です。私たちのグループはゴミ問題について調査をしたのですが、現地の学生さんや先生方、バディさんなどに聞き込みをしていくなかで、解決策は1つだけではないということを学ぶことができました。私たちがその問題についてどうしたいのか・私たちにできることは何なのかを、しっかりと話し合って考えることがより大切だと感じました。またホテルに帰った後の時間を使って、みんなでプレゼンの練習をしたりと、良い時間を過ごすこともできたと思います。グループの中で話し合ってもわからないことだったり、難しいと感じたことが少しでもあった時は、恥ずかしがらずにバディさんなどにコミュニケーションをとりながら質問し調べていくことが大事だと感じました。

2.自分の中で成長した点

私が1番実感したことは、積極性がついたということです。授業の中で自分の意見を書いたり、話す機会が多くあったのですが、最初はうまく自分の言葉にすることができず悩んだ時期もありました。ですが、バディさんや先生方の毎日の明るさと「恥ずかしがらないで!」という言葉のおかげで、自ら積極的に発言できる機会が多くなりました。わからないまま黙っていても、現地にいる人々には私たちがどう思っているのかも伝わらないまま終わってしまうので、もったいないなと感じるようになりました。自信がなく拙い英語でも、頑張って伝えようとすることで人に伝えられることができるということを実感し、コミュニケーションをとることの大切さと楽しさに気づくことができました。自分の意見を伝えることは難しいことですが、間違えても恥ずかしがらずに周りの人々に共有していけば、多くの考えを吸収することもできると思います。

3.思い出エピソード

フィリピンでの生活は毎日が濃くとても充実して過ごすことができました。
特に休日の日にバディさんに連れて行ってもらったセブの夜景がとても綺麗で忘れられません。写真では伝わらないほど感動的で素敵な場所でした。また、体調が悪くなる仲間がいたときは、みんなで協力し動画を作ってメッセージを送ったり、誕生日の仲間たちにはサプライズパーティーをしたりと、素敵な思い出がたくさんあります。現地の生活では、みんなの優しさやどんな時でも明るく元気な姿に、何度も助けられる場面が多く、この実習がなければ出会うことができなかった人たちと仲良くなれたことが私の一番の思い出です。この実習に参加できて本当に良かったと思います!

奈良康靖(実習日程:10月5日~11月9日)

1.現地で最も力を入れたこと

出発前は、現地の生活に早く慣れることやフィリピンという国を深く知りたいということが、英語力向上にも繋がると考えました。現地に着いてみると、気候や日本と全く違う環境に感銘を受けるとともに、体調管理が重要だなとも思いました。初めての経験で不安もいっぱいでしたが、いざスタートしてみると2、3日目には慣れ、不安よりも楽しさや様々なことへの好奇心が生まれるようになりました。現地の大学での授業は授業形態など分からないことだらけでしたが、優しい先生方や参加型の授業により、楽しくそして英語力が少しずつですが身についていることが実感できました。事前に健康管理、現地に早く慣れる、英語力向上を目標にしていたため、5週間という期間があっという間に過ぎてしまいました。何事にもこれは頑張ろう!という目標を持つことが大切だと思いました。

2.自分の中で成長した点

大きく成長したと感じた点は二つあります。自分の中で海外への考え方の視野が広がったことと、積極性が成長したことです。孤児院やゴミ集積所など、フィリピンの深刻な問題を目の当たりにして、他の国の問題などをもっと沢山知り解決方法を考えたいと思えるようになりました。またすぐに現地の環境に慣れることが出来たこともあり、海外渡航への壁も低くなったように思えます。2つ目である積極性では、授業をもっと自分から濃いものにしたいと思い、予習復習をして授業にのぞみ積極的に取り組みました。PBLでは、リーダーとしてひとつの問題に対してグループ全員で協力してできるよう心がけ、また課題の締切など時間に対する意識も高まりました。

3.思い出エピソード

フィリピンにいる間は全てにおいて楽しい思い出しかなかったです。なかでも印象深い思い出としては二つあります。1つ目は、宿泊先のホテルの周りに小さな子供が道端で寝ていたり、物乞いをしてきたことです。子供が物乞いをしてきた時は、飲み物をあげていいのかダメなのかをとても考えさせられました。貧富の差が目にみてとれる途上国の実態に、とても衝撃を受けました。2つ目は海の綺麗さです。課外活動としてボホール島へ行った際、そこでの海の綺麗さに感動しました。私たちが普段泊まっていたホテルはセブの中心地で、海もゴミなどが多く事前に調べたものとは真逆のものでした。ボホール島などのリゾート地の透き通った海が本来の地球の姿なのかと驚きました。海の綺麗さの違いにより、地球環境問題の深刻さを痛感しました。

カーティン大学(Curtin University)コース

永岡 真季(実習日程:1月2日~2月16日)

1.現地でもっとも力を入れたこと

他人の意見や異なる文化を受け入れながら、自分の意見を持つことです。授業でも家でも、日本はどうなのか、あなたの意見はどうなのかとたくさん問われ、それと共に相手の意見を聞く場面が多かったからです。色々な意見があるからこそ面白いこと、また自分の意見を持つことの大切さに改めて気付くことができました。家族や留学生と話し合う中で文化の違いに気づけたことは、私にとって、英語面だけでなく、それ以上の大きな学びになりました。

2.自分の中で成長した点

自分のアイデンティティーを大切にしようと思うことができました。多文化社会に身を置くことで自分が日本人であることを感じさせられました。パースという地で日本を客観的に見たり、日本文化を伝えたりしていくうちに更に日本が好きになりました。また、家族と離れた遠くの地で、自分の判断で行動しなければならないことが多かったです。そのような中で、自分のミスをして落ち込んだり、逆に自分のいいところを発見したりすることで、自分と向き合うことができました。

3.思い出エピソード

同じ家庭にホームステイしていた中国の学生ととても仲良くなりました。とても気が合う子で、同じホストファミリーで過ごす中でお土産を交換したり、一緒に何度か出かけたり、しました。そうやって過ごしているうちに日本人の友人と同じではないかという程仲良くなることができました。帰国時に離れ離れになる時は寂しかったけれど、いい出会いに恵まれました。夏には日本に来てくれるそうで楽しみです。これからも連絡を取り合いながら関係を維持していきたいです。

山本拓未(実習日程:1月2日~2月16日)

1.現地でもっとも力を入れたこと

もっとも力を入れたことはやはり英語を使ってのコミュニケーションです。授業中はもちろんですが、ホームステイ中やクラスメートとの交流などで英語を使う機会は日本にいるときより格段に多く、苦労したことはたくさんありました。クラスにはいろいろな国から来ている人がいるため、日本人同士で会話している時のようにスムーズにはいかないこともよくありました。私が意識したことは授業中やそうでない時も、疑問点や思ったことをしっかり口にして積極的に伝えていくことです。ジェスチャーなども加え、自分の意見がより明確に伝わるように努力しました。

2.自分の中で成長した点

リスニングやスピーキングを中心に英語に関する能力も自分の中で少し向上したと感じます。しかし、それ以上に自分の中でもっとも成長したと感じた点は多民族国家の中で様々な人と関わる中でのものの見方です。文化も習慣もまったく異なる人々と話すことでいろいろな文化や考え方を知ることができました。また、他国の人から日本について尋ねられて説明することにより自分自身の日本に関する理解も深めることができました。様々な文化の共通点や相違点を知ることができそれをふまえた判断を少しできるようになったと思います。

3.思い出エピソード

思い出深いことはやはりクラスメートと過ごせた日々です。6週間いっしょに授業で英語学習を頑張ることによりたいへん深い仲を築くことができたと思います。教えてくださった先生方もとても明るく親切であり、苦しむことなく授業を楽しめたのは出会えた友人のおかげであると思っています。授業外でも休日いっしょに出かけたり放課後にサッカーをしたりするなど6週間をかけがえのないものにしてくれました。そのため帰国するのがとても悲しかったです。