国際地域学科・社会福祉学科ゼミ合同
「能登地震被災地中高生春休み保養プログラム」を実施しました。

 東洋大学では、能登半島地震復旧・復興への学生のボランティア活動を進めています。今回は、2024年3月30日・31日・4月1日の3日間にわたって、長野県にある東洋大学富士見高原セミナーハウスにて「能登地震被災地中高生春休み保養プログラム(春休み中高生富士見高原ツアー)」を行いました。この活動には、ボランティア学生として、国際学部国際地域学科の藪長ゼミ、社会学部社会福祉学科の小野ゼミから新4年生が計14名参加しました。特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンと協力し、学生が中心となって企画・運営を行いました。

 今回の活動は、能登地震の被災地で不自由な生活を余儀なくされている珠洲市の中高生及びそのきょうだいである小学生に対し、東洋大学セミナーハウスという安全で暮らしやすい環境を提供することで、本来の生活を取り戻してもらうことを目的としました。3日間、子どもたちがレクリエーションなどで体を動かし、美味しく栄養の整った食事を仲間と共に楽しみ、学生や仲間と遊びや語りを通してコミュニケーションをとり、ゆっくりとお風呂に浸かって整った環境で就寝することができるよう、事前にオンライン学習会やミーティングを行い、学生同士が協力して運営を進めました。

 初日はお迎え担当の学生二人が金沢で二次避難している子どもたちと待ち合わせ、珠洲から子どもたちを乗せてきた来たバスに合流し、セミナーハウスへ向かいました。バスの中では子どもたちの緊張を解くため、ビンゴやレクリエーション、DVD鑑賞などで和気藹々と楽しむことができました。

 セミナーハウス到着後は、顔合わせも兼ねたはじまりの会を開きました。自己紹介や今後の流れの説明の後、レクリエーションとして、小野ゼミ学生考案のカードゲームをして親睦を深めました。はじめは緊張していた子どもたちも、レクリエーションを通して段々と元気な笑顔を見せてくれるようになり、学生も安心しました。

 その後、夜ご飯を食べ、お風呂に入り、自由時間には学生と子どもたちで卓球やドッジボール、カードゲームなどをしました。22時に子どもたちが就寝した後、学生は教員と会議を開き、子どもたちの様子や反省点、翌日の流れを共有しました。想定外の出来事もありましたが、教員と学生で話し合いの時間を設けることで、臨機応変に動くことができました。

 2日目の午前中は、体育館で活動しました。学生と子どもたちが混合したチームに分かれ、お題に沿って整列するゲーム、いろいろな方法でボールを渡していくゲーム、顔の動きで数字を伝えていくゲームなどのレクリエーションを行いました。子どもたちにとって初めて行うゲームもありましたが、学生のサポートにより、円滑に進めることができました。チーム対抗だったためとても盛り上がり、子どもたちも楽しんでくれている様子でした。また、レクリエーションを通して、学生と子どもたちの仲が非常に深まったと感じました。後半は、全体でドッジボールをした後に自由時間を設け、それぞれ大縄、バレーボール、フットサルなどをする様子が見られました。

 セミナーハウスに戻り昼食をとった後は、お菓子作りグループ、カフェ巡りグループ、レクリエーショングループの3つのグループに分かれて活動しました。

 お菓子作りグループは、セミナーハウス内の食堂でホットケーキ、クレープ、チョコ、蒸しパンの中からそれぞれ作りたいものを選んで作りました。最後にホイップクリームやチョコペンなどで好きなようにデコレーションをしたり、作ったものを食べたりしている子どもたちの姿は、とても楽しそうでした。

 カフェ巡りグループは、街散策として雑貨店、和菓子店、お土産屋、パン屋を訪問しました。パン屋では、イートインスペースで各々が好きなパンと飲み物を楽しみました。様々なお店を訪問するなかで、ご家族へお土産や和菓子を買って帰る子どもたちの様子が見られました。

 レクリエーショングループは、当初は午前中に活動した体育館に戻る予定でしたが、参加人数が少なかったので、セミナーハウスでの活動に変更しました。このグループでは主に卓球を楽しみ、学生と対戦したり、技を教えあったりしました。対戦では、互角の戦いとなりとても盛り上がった場面もありました。卓球で遊んだ後は、カードゲームなどで遊ぶ様子が見られました。

 2日目の夕食はバーベキューでした。お肉や焼きそば、食後には焼きマシュマロを食べました。2日目になり、学生と子どもたちの仲も深まり、会話をしながら一緒にバーベキューを楽しむことができました。また、1日目と同様、お風呂に入り子どもたちが22時に就寝した後、学生と教員で会議を開き、反省点や疑問の共有、最終日の予定の確認などを行いました。

 最終日は、朝食を食べた後、帰る準備をしてまた会いましょうの会を開きました。元気いっぱいで「楽しかった」と笑顔を見せてくれる子もいれば、帰るのを寂しがる子もいました。学生も子どもたちとのお別れを惜しみながらも、最後には「また会おう」とお別れをすることができました。

 【番外編】

 ここからは、子どもたちを能登半島の珠洲市に送り届けるべく同行した学生の体験記をお送りします。

 「また会いましょうの会」後、子どもたちは後ろ髪を引かれながら引率の学生3名とバスに乗り込み、途中サービスエリアにて適宜休憩を取りながら、金沢駅と珠洲市に向けて出発しました。

 帰りのバスの中では行き同様にDVD鑑賞をしていましたが、3日間の疲れもあってか寝ている子どもも多くいました。そして、金沢駅解散組と分かれたのち、4時間程かけて珠洲市に到着しました。その道中、子どもたちは話し声が聞こえてこない程ぐっすりと眠っていましたが解散地点に到着し、保護者の姿を確認すると元気よく駆け寄り、保護者の方に笑顔で3日間の話を楽しそうにしている姿を見ることができ、この活動に参加してよかったと心の底から思うことができました。

 今回私はピースウィンズ・ジャパンのベースキャンプに1泊させて頂きました。 皆さんが集う拠点は大きなテントになっており、臥房は仮設住宅でダンボールベッドが2つほど設置されていました。御手洗は“ソーラーバイオトイレ”が設置されており、従来の仮設トイレと比べて匂いが全く気にならず浄化された水が流れ続けているため音も気にならないよう工夫されていました。入浴は自衛隊のお風呂を体験させていただきました。自分が想像していたお風呂と反し、大きな浴槽と5〜7台のシャワー台が設置されており普通の銭湯とあまり変わらずとても驚きました。

 バスで珠洲市に近づくに連れて、道路の状態が悪く揺れが酷い場面も多数見受けられました。町の至る所で地割れや陥没、マンホールが隆起しており連日テレビで放送されていた能登半島地震の被害の状況をこの目で実際に見ることとなりました。

 また、地震の影響が強く残っている正院地区の家屋の様子や避難所になっている小学校を車から拝見させていただきました。小学校の校庭には仮設住宅が設置されており、子どもたちが日々運動もままならないまま生活を送っていることを想像するととても胸が痛み、短期間ではありましたが大学生と思いっきり身体を動かせたことは彼らにとって有意義な時間になったのではないかと改めて感じました。

 正院地区は家屋の被害が他と比べて特に酷く、全壊や半壊の家屋が多くみられ、被災から3ヶ月程経過した今でもまだ復興には届かない現実を目の当たりにしました。

 今回の活動では、被災地の中高生と小学生に3日間安全な環境で過ごしてもらうことを通して、被災地支援にかかわることができました。今後も、被災地の復旧・復興の力になりたいと考えます。被災地の皆様が、少しでも早く安心安全な生活を送ることができるようお祈りいたします。


記事作成:

国際学部国際地域学科4年 宮下奈夕

社会学部社会福祉学科4年 山本怜奈
社会学部社会福祉学科4年 河野蛍【番外編】