群馬県前橋赤城スローシティの自転車フィールドワーク

国際学部 国際地域学科の鈴木ゼミ(地域社会学)では、スローシティ運動(イタリア発祥の持続可能なまちづくり)を研究テーマとしています。私たちはスローシティの魅力を実際に肌で感じてもらうスローシティツアーを企画しています。

2022年11月12日、鈴木ゼミのメンバー6人でツアー企画の下見のため、群馬県前橋市の赤城エリアに足を運びました。群馬県前橋市の赤城エリアは、日本で2番目に国際スローシティ連盟の認証を受けた地区です。

私たちは、前橋市の交通政策課が市内各所に設置する電動回生アシスト電車「あかぎcogbe」を大胡駅でレンタルしました。GoProで風景を撮影しながら県道16号を通り、「三夜沢赤城神社」に向かいました。三夜沢赤城神社は、このエリアの守り神であると同時に、西暦1556年の建立記録が残る「惣門」、神明造の「本殿」、極彩色に彩られた「本殿 内宮殿」といった県指定重要文化財に加えて、境内の「たわらスギ」と呼ばれる樹齢1000年を超える県指定天然記念物があるなど、歴史的にも貴重な神社です。

道中には、県内でも最古の民家の一つであり、国の重要文化財に指定されている「阿久澤家住宅」がありました。阿久沢家住宅は、茅葺寄棟造りで、建造年代は17世紀末と推定されています。中に入ることもできましたが、17世紀末に建築されたとは思えないほど状態が良かったです。柱が屋内、屋外に多くあり、昔の建築様式を実際に見ることが出来ました。

阿久沢家住宅を後にし、私たちは再び三夜沢赤城神社に向かいました。坂道が続き、電動自転車といえども足に疲労がたまりましたが、なんとかたどり着くことができました。緑豊かな三夜沢赤城神社はマイナスイオンが満ち溢れ、疲れた身体を癒してくれましたが、境内は神々しさがあり、メンバー一同、心が静まり、背筋が伸びる思いがしました。 

次に向かった先は大胡地区の道の駅「ぐりーんふらわー牧場・大胡」です。まずは下り坂なので容易に辿り着けると思っていましたが、アップダウンを繰り返す道で、転倒するメンバーもいるなど、山道は簡単ではないなと実感しました。「からっ風街道」を華麗に横切ると、高さ22メートルのオランダ型風車が見えました。ぐりーんふらわー牧場・大胡は赤城山麓南面に位置し、背後にそびえる雄大な赤城山の景色を楽しむことができました。 

陽が落ち始めてきたので、急いで向かった先は最後のスポットであるスローシティ国際連盟のシンボルであるカタツムリをモチーフにしたシンボルモニュメント、そしてひときわ目を引く朱色の鳥居である「赤城山大鳥居」です。モニュメントはスローシティを周知するため設置されています。

赤城山大鳥居は県道34号に突然現れます。この鳥居の発祥は天明4年、全国的な飢饉や浅間山大噴火などの不安から赤城山の鎮魂加護を祈念して現在の地に「一之鳥居」と称し建設したことだそうです。モニュメントはスローシティを研究している私たちにとって我が家のような温かさ、鳥居はその大きな存在から安心感を与えてくれました。こうしてなんとか計画通りに周ることができ、大胡駅に戻ってくることができました。

私は東京に住んでいて、移動のほとんどで公共交通機関を使っています。そのため時間をかけて電動自転車で周るのはとても新鮮な経験になりました。これまで移動は目的地までの手段であり、はやく到着すればそれだけでよいと考えていましたが、今回の電動自転車フィールドワークを通して、自転車を使って自然を味わうことで、移動自体に付加価値を作ることができることが分かりました。今回のようなハードな移動ルートをどのようにツアー企画に結びつけられるかを考えつつ、実際に自分たちで体験することで多くのことを学ぶことができました。

今回案内をしてくれた共愛学園前橋国際大学の鈴木伶さん、電動自転車「あかぎcogbe」を貸してくださった前橋市役所 未来創造部 交通政策課 交通安全・サイクルプロモーション係の方々、本当にありがとうございました。

 

(執筆者:東洋大学国際学部国際地域学科3年谷内拓未、鈴木鉄忠准教授)