反芻動物を科学して、サステナブルな生産が可能な、肉用牛・乳牛・緬羊の飼養テクノロジー創出を目指す
ようこそ! 動物生理科学(Animal Physiology = AP)研究室です!
AP研は、1948年設立の東北(帝国)大学農学部家畜生理学講座を祖とし、今年、遂に三四半世紀を越え77年目に突入しました。時代が大きく変化しても設立当時から一貫して、反芻動物の消化・栄養の生理学を究めることを使命とし、時代のニーズに応えられるシーズを見出し、多様な視点や手法を模索・駆使して、ルミノロジー&ルミナントロジー研究を展開し続けてきました。
今年度は教員2名、事務職員1名、学術研究員2名、社会人博士課程1名、博士課程2名、修士課程5名そして学部生3名、合わせて16名の体制で教育研究活動を行っています。また、海外から研究員や研究生を受け入れ、研究交流も積極的に行っています。生産物をよく知るための食肉試食会や、東北「仙台」の地ならではの芋煮会など、研究室を活性化する行事も数多く、「よく学び、よく実験し、よく議論し、よく遊べ」を実践しています。
我々は畜産学に根差した研究室ではありますが、家畜を持続的・効率的かつ健全に飼養するために必要な研究や技術開発には、今後益々、獣医領域×畜産領域のコラボレーションが不可欠だと認識しています。畜産業および畜産学の発展のために、皆様ともっと連携・協奏・共創を強めたく、お気軽にAP研にお声掛けください。
進むべき研究分野で迷っていたり、大学院進学を検討している学部生の皆さん、特に畜産学に興味のある他大の学生の皆さんや、社会人の皆さんは是非、AP研にご相談下さい。NEWS・研究成果概要ページやスタッフページに、具体的に取り組んでいる成果や研究ミッション、学生の研究テーマを記載しています。興味があれば、是非、分野教員までお問合せください。
「反芻動物を、科学する!」
現在、非常に多くの関係者各位および機関からご協力を頂き、科研費、農水省委託プロ、JRA事業はじめ国内外の様々な共同研究を推進し、多くの研究テーマにチャレンジしています。AP研が使命をもって取り組んでいる研究方針の一部を紹介します。
🔳肉牛の生理生体情報を紐解いて活用する~高品質かつ持続的な和牛肉生産への挑戦~
和牛を代表する黒毛和種牛肉は世界的にも評価が高く、輸出量も年々増加しています。しかし現在、黒毛和種を出荷するには、生後8~10カ月まで子牛を哺育・育成した後、さらに約18~20カ月の肥育期間を要しています。この長期に渡る飼育期間に加え、多量の濃厚飼料を投入するため、その生産コストや牛の健全性、牛ゲップ由来メタンおよび排せつ物由来N2Oによる環境負荷は、国産和牛を持続的に生産していく上での大きな課題です。
そこで、我々は「生理生体情報」に着目しています。生理生体情報とは、血中成分、ルーメン液成分・マイクロバイオーム、筋肉や肝臓の組織トランスクリプトームから、発育記録やセンサーデバイス等を用いた反芻や活動量のデータそして最終的な出荷成績に至るまで、あらゆるデータを組み込んだ統合情報のことです。これらを解析して紐解き、例えば、子牛期にどのような発育や行動、体質を示す牛が早期に肥育が仕上がるのか、子牛期のルーメン細菌叢の違いが将来的なメタン排出量にどのように影響するのか、などを明らかにすることで、課題解決に必要な飼養テクノロジーの創出を目指しています。
🔳移行期の乳用牛における疾病リスク低減技術の開発~「長命連産」実現への挑戦~
従来の乳量偏重型から長命連産型の酪農への転換は、生涯利益率向上や飼料コスト・環境負荷の低減に資する次世代酪農へのパラダイムシフトです。しかし現在、乳牛償却費は年々高まっていて、低産次で除籍される乳牛が増えています。その主たる除籍要因の一つが、分娩移行期に多発する疾病や繁殖障害です。我々は、これまでの視点や解析では見い出せなかった、分娩移行期の乳牛の体調を増悪させる複雑な現象(要因)を明らかにしたいと考えています。
例えば、乳牛から低侵襲的に肝組織を微量採取するバイオプシー技術とオミクス解析等を駆使しながら、周産期の乳牛のカラダの中で起きている著しい代謝変化や炎症応答、細胞の小胞体ストレスなど、疾病リスクに関連する現象の要因と機序の解明に取り組んでいます。最近は、免疫と代謝のクロストークに着目した「イムノメタボリズム」に注目した研究にも着手しています。生乳はとりわけ輸入に依存できない重要な畜産物であり、その生産基盤である国内酪農を持続的に発展させていくために、長命連産を実現できる飼養テクノロジーの創出に貢献したいと考えています。
「反芻動物で、教育する!」
畜産学そして中大型の反芻動物を研究対象にすることは決して容易ではありません。多くのカベやハードルが我々の前に立ちはだかります。だからこそ、あえて、AP研は反芻動物研究に矜持をもって全力で取り組みます。その中で、研究指導を通して社会的教育を行い、多くの人と共創しながら社会的貢献を果たせる人財を育成して、社会に送り出していきたいと考えています。学生一人一人、困難の中から、主体的に多くの共創経験と学び、気付きを得て、己が人間力の基盤として練り上げ、そして、変化の激しいミライで、人・動物・環境にとってより良い世界に資するソリューションを創成するためのチカラを培っていけると確信しています。大きくは、以下の3つのチカラです。
①失敗しても粘り強く取り組むチカラ
②疑問を持ち、考え抜くチカラ
③多様な人々と目標に向けて協力するチカラ
AP研の人間として「共創」していくための心得の一部を挙げます。
①家畜の飼養管理、サンプリングは、動物生理の
醍醐味ですが、一人では決してできません。
チームとして、みんなで役割分担をして
一人一人が責任を果たしましょう。
②我々は研究目的で反芻動物を供試します。
だからこそ、動物に対する「リスペクト」を
常に持ちましょう。
③様々な共同研究先で、たくさんの人と
関わります。礼儀やコミュニケーション、
担う責任を重視していきましょう。
④学生であっても、企業や研究機関のプロと、
同じ土俵で、研究打ち合わせや様々な
ディスカッションができるよう研究に
コミットしましょう。
⑤ラボも一つのチーム、一つの生活共同体、
そして一つの社会。基本の「キ」として、
ラボメンバーのコミュニケーションを重視し、
ラボメンバーで互いに協力し、リスペクトし、
ディスカッションを通して研究を進め、
成長していきましょう。