研究室配属について
注意事項
本ページでは、静岡理工科大学情報学部の応用認知行動科学研究室の紹介を行います。研究室への配属を希望する場合は、事前に面談を行いますので、本ページをよく読んだうえで、メールにてアポイントメントをとってください。メールアドレスは、Top pageに記載されています。
面談では、最低限、以下の点を質問しますので、回答を用意しておいてください。
ヒトに関する、どのような点に興味を持っているのか
「心」というキーワードに縛られる必要はありません。ヒトに関する興味関心を自由に聞かせてください。
卒業後の進路(就職、大学院進学、その他)
明確に決まっている必要はありません。
履修済みの科目
特に、心理学や統計、プログラミングに関連する科目
2019年度は7月16日(火)に配属先の研究室が確定する予定ですが、7月16日を含み、前期中に数回、ゼミを実施します。心理学的な研究に関する注意点や、最低限知っておいてほしいことを、教科書を用いながら教員が解説します。
また、夏季休暇中に課題を課します。各自が興味のあるテーマに関連した論文を渡しますので、夏季休暇中に精読し、レジュメを作ってきてもらいます。後期のゼミ(情報デザイン実践演習2)において、そのレジュメを用いながら、各自が読んだ論文を紹介してもらい、全員で議論を行います。
過去の研究例
非適応的な行動のメカニズム解明と対策
例:運転中の不注意
例:不適切なタイミングでの道路横断行動
例:運転支援システム/自動運転システムに対する過信
例:ギャンブル行動
例:フェイクニュース/誤情報の検出失敗
例:利他的行動(協力/援助行動)や利己的行動
認知的パフォーマンスの向上/低下の抑止
例:注意/記憶
例:Cognitive offloading(様々な情報技術を使用する際の効率性)
上記テーマに関する統計モデリング
研究領域:認知心理学、及び、その応用
ヒトの認知・行動の背後にある、情報処理の仕組みの解明
ヒトの「心のはたらき」を、「情報を処理するシステム」ととらえ、実験や調査によりそのシステムを解明しようとすることで、ヒトに関する理解を深める
ということを目指します。
別の言い方をすれば、
ヒトの~~~という「心のはたらき」や「行動」は、ヒトが・・・・・・という情報処理システムを備えていることで実現されている
といったモデル(理論)を考えることを通じて、ヒトを理解することを志向します。
たとえば、作業に集中しているときに話しかけられても、気づかないことがあると思います。ヒトが情報を処理するための資源、コンピュータに喩えればメモリのような存在を仮定することで、この現象が説明できます(情報を処理する資源は有限なので、それらの資源が目の前の作業に向けられてしまい、声という情報を処理する資源が残っていなかった)。
工夫された研究計画により、上記のようなモデル(理論)がどの程度妥当であるかを検証し、ヒトの「心のはたらき」という情報処理システムの実態を解明していくことが、本研究室における卒業研究の主な目標になります。
ヒトに関して「なぜなのだろう?」と疑問を持ったことがあるなら、ぜひ一度研究室に遊びに来てみてください。
本研究室では、主に認知心理学的なテーマを中心に、研究を遂行します。主なキーワードは以下の通りです。
知覚、注意、記憶、感性、感情・情動、認知バイアス
現実社会の問題への応用
また、これらの知見を応用して、現実社会の問題へアプローチすることも歓迎します。例としては以下のキーワードなど。
交通事故、商品の購買
その他のテーマ
上記のテーマ以外であっても、教員が指導可能なテーマであれば、極力支援したいと考えています。
これまでの卒業研究
2019年度 卒業研究(2期生)
語調による他者の感情の推測:Filippi et al. (2017)の追試
発話者の感情状態を推測する際に、発話内容と、発話の抑揚のどちらの影響が強いかを検証しました。
More than words (and faces): evidence for a Stroop effect of prosody in emotion word processing
“かわいい”刺激は注意を焦点化するか:Nittono et al. (2012)の追試
「かわいい」画像を見た後では、注意が焦点化する(視覚的な情報処理の範囲が縮小する)かどうかを検証しました。
The Power of Kawaii: Viewing Cute Images Promotes a Careful Behavior and Narrows Attentional Focus
優秀発表賞受賞
Adaptive Cruise Control使用時の会話によるヴィジランス低下
運転中の会話は、「見落とし」を増加させることが知られていますが、Adaptive Cruise Controlという運転支援システムを利用しながら走行した場合でも同様であることを示しました。
洞察に及ぼすあいづちの効果
解がただ一つ存在する洞察課題の途中で、解法に関する議論を行い、その聞き手がどのようなあいづちを打つかで、その後の課題パフォーマンスが変わることを示しました。
優秀発表賞受賞
2018年度 卒業研究(1期生)
ACCを用いた長時間運転における注意や運転行動の時系列的変化
ACC(Adaptive Cruise Control)という運転支援システムが搭載された車両を長時間運転し続けた場合に、ドライバーの交通環境に対する注意力がどのように低下していくのかを、ドライビング・シミュレータを用いた実験により検証しました
優秀発表賞受賞
色の調和評価における文脈の効果
2色が同時に存在する際に、それらが「調和しているかどうか」の評価に、文脈(幾何学的図形における色の調和評価なのか、服なのか...等)が及ぼす影響を検証しました
課題無関連な秒針音による注意の捕捉とミソフォニア感度の関係
秒針音が気になって、目の前の作業に集中できない、寝られない...という経験からヒントを得て、秒針音により作業が阻害される程度と、音に対する不快感の個人差との関係を検証しました
ワーキングメモリにおけるピッチ情報のリハーサルシステムの検討
音の高さ(ドミソ、など)の記憶メカニズムは、言語的情報(文字、言葉)の記憶メカニズムと異なるのかどうかを、実験的に検証しました
優秀発表賞受賞
本研究室における卒業研究の進め方
本研究室では、少なくとも一つ、実験または調査を行うことが必要となります。
そして、一番最初の実験または調査は、先行研究の追試とします。
したがって、先行研究の追試を一つ行って卒業論文を執筆しても構いませんし、追試結果をもとに次の実験や調査を自分で考え、遂行しても構いません。
追試する論文の探し方
以下の雑誌に掲載された論文のうち、なるべく新しい論文(できれば、直近3年以内に出版された論文)とします。または、被引用件数が極めて多いが、再現可能性の検証が十分に行われていない論文とします。ただし左記の基準に満たない論文であっても、自身の興味と強く関連している場合は、教員に相談してください。また、以下の雑誌以外に掲載された論文であっても、教員と相談の元、追試可能な場合もあります。
Journal of Experimental Psychology: General
「View Table of Contents and Online First Publication」をクリックしてください
Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance
「View Table of Contents and Online First Publication」をクリックしてください
Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition
「View Table of Contents and Online First Publication」をクリックしてください
Journal of Experimental Psychology: Applied
「View Table of Contents and Online First Publication」をクリックしてください
「View Table of Contents and Online First Publication」をクリックしてください
卒業研究を通じて習得してほしいこと
「ヒトを対象とした調査をする際に注意しなければならないことを知り、適切な技術を身につけること」です。
したがって卒業研究の遂行においても、研究に協力してくださる方々への適切な応対(礼節など)が、最低限必要となります。
ゼミにおける活動内容
情報デザイン実践演習2(3年次後期ゼミ)
週1回実施。主に学術論文(英語)の輪読。研究遂行に必要な技術(例:実験プログラムの作成、統計)等の実習もあり。
発表者は、前日までに紹介する論文のレジュメを作成し、メンバー間で共有。
卒業研究(4年)
週1回の全体ゼミ
毎週の進捗状況の報告と、卒業研究の遂行
週1回の個人面談(就職活動終了後より)
受講済みが望ましい講義
心理学(2017年度以降の入学生は、基礎心理学)
心理統計解析
心理評価法
感覚と認識(2017年度以降の入学生) ←大学院科目なので関係なし
研究室配属後にこれらの科目を受講しても構いませんが、必ず卒業までに受講するようにしてください。
FAQ
テーマが関連する研究室は他にもあるが、違いは?
大椙 研(遺伝情報/人工生命研究室 )
応用認知行動科学研究室では、ヒト以外の動物(魚)やロボットを用いた研究は行っていません
奥村 研(神経行動学研究室)
応用認知行動科学研究室では、生理学的な指標(脳波、皮膚電位など)を用いた研究は行っていません
櫻井 研(視覚色彩工学研究室)
応用認知行動科学研究室では、「モノづくり」は行いません
本多 研(心理学研究室)
具体的な違いは、直接各教員と話し合い、ご判断ください
研究室メンバーの声
本研究室に在籍する4年生・3年生(2018年度)へ匿名でアンケートを行いました。原文のまま以下に掲載します。
本研究室の良いところ
◇4年生からの意見◇
理論的な思考を養える
認知心理学の範囲であれば、自分の好きなテーマで研究することが出来る
先生の指導が少し厳しいが、逆にそれが成長に繋がる(勿論、厳しくてもしっかりとバックアップしてくれる)
今後の人生でも高確率で役に立つ「統計学」のスキルを鍛えられる
先生が親身になって研究の練り合わせ、実験から最後の発表までをサポートしてくれるため、とてもいい環境で研究ができる
研究を強制せず、自分の時間もしっかり作れるため、気負いせずに研究ができる
学べることが多い
◇3年生からの意見◇
学生が意見を述べやすい
エアコンがある
先生が親身になってくれる
拘束があまりなく、融通が利く
本研究室に向いている学生
◇4年生からの意見◇
近場の学生
英語が得意な学生
壁が立ちはだかっても諦めずにやり遂げられる人
知識やスキルを何でも吸収していく(or いける)心持ちがある人
上辺だけの知識ではなく、しっかりと中身まで理解していける人
前向きで、実験に対して熱心な学生
認知心理学が好きな学生
真面目な人
物事を批判的な面でも見れる人
◇3年生からの意見◇
自主性がある学生
実験を行う必要があるため、行動的、社交的、意欲的な学生が向いていると思う
心理学に興味がある
英語に苦手意識がない
自主性がある程度ある人
本研究室に向いていない学生
◇4年生からの意見◇
大学から遠い学生
英語が苦手な学生
英語アレルギーの人
プログラミングが嫌いな人
講義中に、後ろでずっと喋ってたり、寝てたりする人(要は頑張らない人)
指摘に対してすぐに折れてしまう学生
さぼり癖のある学生
真面目じゃない人
◇3年生からの意見◇
流されやすい学生
人と話すことが苦手な人
英語に苦手意識がある
言われないとできない人