流通論(2022年度秋学期)

授業の概要


流通とは、生産と消費を結びつける経済部門です。事業環境の変化に対応して、流通は常に変化を続けています。例えば、新しい小売業態の登場、企業間の合併や垂直統合、電子商取引の進展、物流や情報処理のイノベーションに基づく垂直的関係の変化など、流通は興味深いトピックを次々に生み出しています。


講義の前半では、流通の中で流れる3つのフローを中心として、「企業間の取引」に焦点を合わせた講義を行います。


続く後半では議論を拡張して、流通を構成する4つのプレイヤー(消費者・小売業者・卸売業者・製造業者)に焦点を合わせた講義を行います。


幸いなことに事例には事欠かない分野ですので、各回、理論を用いて事例を読み解いていきたいと考えています。


科目の目的

流通論は商業・貿易学科の必修科目であり、2年次以降に設置された流通系科目(マーケティング・チャネル論、流通政策論、物的流通論、グローバル流通論、商業史など)の基礎となります。したがって、流通に関わるトピックスをなるべく広く紹介し、流通系科目への橋渡しをスムーズに行うことを目的としています。 

到達目標

この講義は流通関係科目の入門コースと位置づけられます。

この講義の目的は、統計データや事例を用いて流通の問題を紹介し、それらの問題を「理論」を用いて読み解くための手ほどきをすることです。流通に関する新聞記事を一通り理解できる程度の知識の獲得を到達目標とします。 

授業計画

第1回:9月22日(木)イントロダクション

第2回:9月26日(月)日本経済と流通の変化

第3回:9月29日(木)製造業者のチャネル戦略

第4回:10月3日(月)ケース・ディスカッション (1) 朝日酒造

第5回:10月6日(木)製造業者と流通業者:エージェンシー関係

第6回:10月10日(月)流通の基本概念

第7回:10月13日(木)市場メカニズム

第8回:10月17日(月)市場と組織:取引費用

第9回:10月20日(木)垂直統合:関係特定的投資

第10回:10月24日(月)垂直的関係

第11回:10月27日(木)流通と日本的雇用

第12回:10月31日(月)トヨタ生産方式と流通

第13回:11月7日(月)ゲストスピーカーの講義

第14回:11月10日(木)中間試験

第15回:11月14日(月)延期と投機

第16回:11月17日(木)物流システム

第17回:11月21日(月)消費者の買物行動

第18回:11月24日(木)ゲストスピーカーの講義

第19回:11月28日(月)日本の小売構造

第20回:12月1日(木)チェーンストア方式

第21回:12月5日(月)小売業態 (1) 商店街、百貨店、スーパーマーケット

第22回:12月8日(木)小売業態 (2) コンビニエンス・ストア、カテゴリーキラー、ショッピングセンター、SPA(IMPでオンデマンド)

第23回:12月12日(月)流通の情報化

第24回:12月15日(木)プラットフォームとネット小売業

第25回:12月19日(月)ケース・ディスカッション (2) メルカリ

第26回:12月22日(木)日本の卸売構造

第27回:1月12日(木)卸売市場と生鮮食品流通

第28回:1月16日(月)授業のまとめ

評価方法

期末試験(70%)、授業後の小テスト(25%)、発言点(5%)

実施形態

Webexを用いた同時双方向型のオンライン講義となります。 

テキスト・参考文献等

テキストは用いません。参考文献は以下の通りです。

矢作敏行 (1996)、『現代流通』、有斐閣、(ISBN):4641120145。