マーケティング入門(2022年度春学期)
授業の概要
マーケティングとは、企業を顧客につなげる活動のことです。ターゲット顧客のニーズを捉えて、製品が自然に売れていくような仕組みを作ることがその目的です。
企業は経営資源(ヒト・モノ・カネ)を用いて製品・サービスを作りだし、それらを顧客に販売することで本業の利益を得ます。商学部の他の基礎科目(経営学、会計学、ファイナンス)に対して、マーケティングの特徴は買い手である顧客との関係を扱うことにあります。
この講義では、専門的なトピックスを網羅的に学ぶことは避けて、厳選されたマーケティングのツールを体系的に紹介し、その使い方を学ぶことに重点を置きます。
科目の目的
この講義の目的は、経済学や経営学を学んだことのない全くの初学者に対して、マーケティングの「大まかな全体像」を知ってもらうことです。全体像を知ることによって、履修生は2年次以降に設置されたマーケティング・流通系科目である「流通論」、「広告論」、「消費者行動論」、「マーケティング・チャネル論」、「商業史」、「マーケティング・リサーチ」等にスムーズに接続できるでしょう。
到達目標
講義の最低限の達成目標は、受講生がマーケティングの世界で定番とされているツール(4P、STP、3C、5 Forcesなど)を適切に用いて、企業のマーケティング戦略を評価したり、自分なりに戦略立案ができるようになることです。これらのツールはビジネスプランを立案する際にいわば思考の出発点として用いられるものばかりであり、それらの有用性や限界を知っておくことは、学術的に興味深いだけでなく、実務志向の学生にも大いに役に立ちます。
授業計画
第1回 4月11日(月)イントロダクション
第2回 4月14日(木)顧客価値
第3回 4月18日(月)企業のドメインと事業の定義
第4回 4月21日(木)ターゲット市場の選定 (1) セグメンテーション
第5回 4月25日(月)ケース・ディスカッション (1) ジェイアイエヌ※オンライン
第6回 4月28日(木)ターゲット市場の選定 (2) ターゲティングとポジショニング
第7回 5月9日(月)ケース・ディスカッション (2) ドトール/スターバックス ※オンライン
第8回 5月12日(木)マーケティング・ミックス (1) 製品
第9回 5月16日(月)マーケティング・ミックス (2) 価格
第10回 5月19日(木)マーケティング・ミックス (3) 様々な価格戦略
第11回 5月23日(月)マーケティング・ミックス (4) プロモーション
第12回 5月26日(木)マーケティング・ミックス (5) チャネル
第13回 5月30日(月)ゲスト・スピーカーの講義 (1) ※オンライン
第14回 6月2日(木)中間試験
第15回 6月6日(月)マーケティングの歴史
第16回 6月9日(木)ミクロ経済学の消費者行動モデル:無差別曲線と需要曲線
第17回 6月13日(月)消費者の意思決定プロセス
第18回 6月16日(木)インフルエンスとクチコミ
第19回 6月20日(月)多属性モデル
第20回 6月23日(木)判断と意思決定
第21回 6月27日(月)ゲスト・スピーカーの講義 (2) ※オンライン
第22回 6月30日(木)費用のダイナミクス
第23回 7月4日(月)ケース・ディスカッション (3) G-SHOCK※オンライン
第24回 7月7日(木)市場構造とマーケティング戦略
第25回 7月11日(月)製品ライフサイクル
第26回 7月14日(木)競争地位類型
第27回 7月18日(月)ケース・ディスカッション (4) 未定※オンライン
第28回 7月21日(木)授業のまとめ
評価方法
期末試験(70%)、授業後の小テスト(25%)、発言点(5%)
実施形態
Webexを用いた同時双方向型のオンライン講義となります。
テキスト・参考文献等
テキストは使いません。毎回の講義では、教員が作成したレジュメを使います。
初学者にお薦めできるきちんとしたテキストとして、以下の2冊を参考文献に挙げます。講義の副読本として読むと大いに効果的です。
沼上幹 (2009)、『わかりやすいマーケティング戦略(新版)』、有斐閣。
久保田進彦・澁谷覚・須永努 (2013)、『はじめのマーケティング』、有斐閣。
レベルは少し上がりますが、最新の手法や現象をカバーしたテキストとして以下がお勧めできます。
水野誠 (2022)、『マーケティングは進化する(改訂第2版) -クリエイティブなMarket+ingの発想』、同文舘出版。