科目の目的・到達目標

マーケティングとは、企業を顧客につなげる活動のことです。ターゲット顧客のニーズを捉えて、製品が自然に売れていくような仕組みを作ることがその目的です。

この講義の目的は、経済学や経営学を学んだことのない全くの初学者に対して、マーケティングの「大まかな全体像」を知ってもらうことです。全体像を知ることによって、履修生は2年次以降に設置されたマーケティング・流通系科目である「流通論」、「広告論」、「消費者行動論」、「マーケティング・チャネル論」、「商業史」、「マーケティング・リサーチ」等にスムーズに接続できるでしょう。

講義の最低限の達成目標は、受講生がマーケティングの世界で定番とされているツール（4P、STP、3C、5 Forcesなど）を適切に用いて、企業のマーケティング戦略を評価したり、自分なりに戦略立案ができるようになることです。これらのツールはビジネスプランを立案する際にいわば思考の出発点として用いられるものばかりであり、それらの有用性や限界を知っておくことは、学術的に興味深いだけでなく、実務志向の学生にも大いに役に立ちます。

授業の概要

企業は経営資源（ヒト・モノ・カネ）を用いて製品・サービスを作りだし、それらを顧客に販売することで本業の利益を得ます。商学部の他の基礎科目（経営学、会計学、ファイナンス）に対して、マーケティングの特徴は買い手である顧客との関係を扱うことにあります。

この講義では、専門的なトピックスを網羅的に学ぶことは避けて、厳選されたマーケティングのツールを体系的に紹介し、その使い方を学ぶことに重点を置きます。

授業計画

1. 9月21日（月）イントロダクション

2. 9月24日（木）顧客価値

3. 9月28日（月）企業のドメインと事業の定義

4. 10月1日（木）ケース・ディスカッション (1) ジェイアイエヌ

5. 10月5日（月）ターゲット市場の選定 (1) セグメンテーション

6. 10月8日（木）ターゲット市場の選定 (2) ターゲティング

7. 10月12日（月）ターゲット市場の選定 (3) ポジショニング

8. 10月15日（木）ケース・ディスカッション (2) ドトール／スターバックス

9. 10月19日（月）マーケティング・ミックス (1) 製品

10. 10月22日（木）マーケティング・ミックス (2) 価格

11. 10月26日（月）マーケティング・ミックス (3) 様々な価格戦略

    • 10月29日 （木）白門祭

12. 11月2日（月）マーケティング・ミックス (4) プロモーション

13. 11月5日（木）マーケティング・ミックス (5) チャネル

14. 11月9日（月）ケース・ディスカッション (3) G-SHOCK

15. 11月12日（木）マーケティングの歴史

16. 11月16日（月）ゲスト・スピーカーの講義 (1) 太田一馬氏（ヤッホーブルーイング）

17. 11月19日（木）需要曲線

18. 11月26日（木）消費者の意思決定プロセス

19. 11月30日（月）多属性モデル

20. 12月3日（木）インフルエンスとクチコミ

21. 12月7日（月）ゲスト・スピーカーの講義 (2) 吉埜朝洋氏（ヤフー株式会社）

22. 12月10日（木）費用のダイナミクス

23. 12月14日（月）市場構造とマーケティング戦略

24. 12月17日（木）製品ライフサイクル 

25. 12月21日（月）競争地位類型 

26. 1月14日（木）産業構造分析

27. 1月18日（月）ケース・ディスカッション (4) ライフネット生命

28. 1月21日（木）授業内オンライン試験 

評価方法

今期はオンライン授業となるため、当初のシラバスから評価方式を変更します。

まず、下記の3つの要素で100点とします。3つの要素の配点の内訳は、授業内オンライン試験（選択式）で58％、各回の授業後の小テスト26%、ケース・ディスカッションの予習レポートで16%とします。

さらに、ケース・ディスカッションでの発言を1点として、上記の100点に追加します（1日に何度発言しても1点とします）。発言点を得るためには、Webexで行われる双方向型授業にリアルタイムで参加する必要があります。

テキスト・参考文献等

テキストは使いません。毎回の講義では、教員が作成したレジュメを使います。

初学者にお薦めできるきちんとしたテキストとして、以下の2冊を参考文献に挙げます。講義の副読本として読むと大いに効果的です。

沼上幹 (2009)、『わかりやすいマーケティング戦略（新版）』、有斐閣。

久保田進彦・澁谷覚・須永努 (2013)、『はじめのマーケティング』、有斐閣。