マーケティング入門 (2018)
科目の目的・到達目標
マーケティングとは、企業を顧客につなげる活動のことです。ターゲット顧客のニーズを捉えて、製品が自然に売れていくような仕組みを作ることがその目的です。
この講義の目的は、経済学や経営学を学んだことのない全くの初学者に対して、マーケティングの「大まかな全体像」を知ってもらうことです。全体像を知ることによって、履修生は2年次以降に設置されたマーケティング・流通系科目である「流通論」、「広告論」、「消費者行動論」、「マーケティング・チャネル論」、「商業史」、「マーケティング・リサーチ」等にスムーズに接続できるでしょう。
講義の最低限の達成目標は、受講生がマーケティングの世界で定番とされているツール(4P、STP、3C、5 Forcesなど)を適切に用いて、企業のマーケティング戦略を評価したり、自分なりに戦略立案ができるようになることです。これらのツールはビジネスプランを立案する際にいわば思考の出発点として用いられるものばかりであり、それらの有用性や限界を知っておくことは、学術的に興味深いだけでなく、実務志向の学生にも大いに役に立ちます。
授業の概要
企業は経営資源(ヒト・モノ・カネ)を用いて製品・サービスを作りだし、それらを顧客に販売することで本業の利益を得ます。商学部の他の基礎科目(経営学、会計学、ファイナンス)に対して、マーケティングの特徴は買い手である顧客との関係を扱うことにあります。
この講義では、専門的なトピックスを網羅的に学ぶことは避けて、厳選されたマーケティングのツールを体系的に紹介し、その使い方を学ぶことに重点を置きます。
授業計画
マーケティングとはなにか:企業システムとマーケティング (9/24)
顧客価値 (9/27)
台風のため休講(10/1)
企業のドメインと事業の定義 (10/4)
ターゲット市場の選定 (1):セグメンテーション (10/8)
ケース・ディスカッション (1):ジェイアイエヌ (10/11)
ターゲット市場の選定 (2):ターゲティング (10/15)
ゲスト・スピーカーのご講演 (1) 伊賀聡氏(博報堂)「消費者インサイト」:(10/18)
ターゲット市場の選定 (3):ポジショニング(10/22)
ケース・ディスカッション (2):ドトール/スターバックス (10/25)
マーケティング・ミックス (1):製品 (10/29)
マーケティング・ミックス (2):価格 (11/5)
マーケティング・ミックス (3):チャネル (11/8)
マーケティング・ミックス (4):プロモーション (11/12)
ケース・ディスカッション (3):カシオGショック (11/15)
費用ダイナミクス (11/19)
マーケティングの歴史 (11/22)
競争分析 (1):マーケティング戦略と市場構造 (11/26)
競争分析 (2):製品ライフサイクル (11/29)
競争分析 (3):競争地位類型 (12/3)
12/6(木)休講
競争分析 (4):産業構造分析 (5 Forces) (12/10)
ケース・ディスカッション (4):トリンプ/ワコール (12/13)
消費者行動 (1):需要曲線 (12/17)
消費者行動 (2):消費者意思決定プロセス (12/20)
消費者行動 (3):多属性モデル (1/7)
消費者行動 (4):消費者行動とマーケティング戦略 (1/10)
1/14(月)大学休校日
ゲスト・スピーカーの講演 (2) 吉田裕宣氏(HR Force )「タイトル未定」 (1/17)
消費者行動 (5):インフルエンスとクチコミ(1/21)
授業内試験 (1/24)
評価方法
選択問題、記述問題、ごく簡単な計算問題から成る期末試験(200点満点)で評価します。
紹介したツールを正しく理解していることが単位取得の要件です。その上で、具体的なマーケティング課題に対して、ツールを適切に応用して、オリジナリティのある戦略を立案した答案に対して、内容に応じて高い評価を与えます。
現実の企業の事例を用いたケース・ディスカッションを5回行います。この時の発言は試験の200点に加点されます。例えば10点分の発言をした受講生は、仮に試験が100点であれば110点を、あるいは仮に試験が50点であれば60点を得ます。
レポートを何度か課しますが、これも試験に加点します。
テキスト・参考文献等
テキストは使いません。毎回の講義では、教員が作成したレジュメを使います。
初学者にお薦めできるきちんとしたテキストとして、以下の2冊を参考文献に挙げます。講義の副読本として読むと大いに効果的です。
沼上幹 (2009)、『わかりやすいマーケティング戦略(新版)』、有斐閣。
久保田進彦・澁谷覚・須永努 (2013)、『はじめのマーケティング』、有斐閣。