流通チャネル論I・II(久保研究室サブゼミ)2017年度

履修条件

学部レベルのマーケティング論、流通論、統計学の知識を前提とします。知識が不足している場合は、受講前に各自で準備をしておいてください。また、直後のコマに開設の「流通チャネル論II」とセットで履修してください。

なお、この授業は久保研究室の学部3年生のサブゼミを兼ねています。

科目の目的・到達目標

現在、流通・マーケティング研究では、非常に多くの論文が統計分析を伴う「実証分析」を行っています。したがって実証分析を理解できなければ、文献レビューすらままならなくなる事態が生じます。

このような問題意識の下、この講義では流通・マーケティング研究で多用されている実証分析の手法の獲得を目的とします。受講生が手法の使い方を理解するだけでなく、自分でリサーチ・デザインを設計できるようになることを目標とします。

授業の概要

授業内容は大きく前半と後半に分かれます。前半では回帰分析を中心に、後半は分散分析を中心に進めます。ソフトウェアはStataを用います。

実証分析の習得には、座学・実習・レポートのサイクルを短期集中で繰り返すことが効果的です。したがって、この授業は2コマ続けて行います。火曜2限開講の「流通チャネル論II」と同時に履修してください。

1回の授業は、教員による講義、論文の輪読、PC実習、レポート作成から構成されます。

授業計画

第1週 (4/11):相関係数

実証分析の見取り図、相関係数

レポート:エクセルで相関係数(4/17〆切)

リーディング:Galinsky, Adam D., Geoffrey J. Leonardelli, Gerardo A. Okhuysen, and Thomas Mussweiler (2005), “Regulatory Focus at the Bargaining Table: Promoting Distributive and Integrative Success,” Personality and Social Psychology Bulletin, Vol. 31, No. 8 (August), pp. 1087-1098.

第2週 (4/18):回帰分析 (1): OLS

リーディング:柴田健一・立本博文 (2017)、「カニバリゼーションを原因とした同質化の遅れ:日本のビール業界における新製品発売の実証分析」、『組織科学』、第50巻第3号、45-56頁。

レポート:Excelによる回帰分析(4/24〆切)

第3週 (4/25):回帰分析 (2): Stata入門

レポート:松浦 (2015)、第2章練習問題(5/8〆切)

第4週 (5/9):回帰分析 (3): Stataによる回帰分析

レポート:松浦 (2015)、第3章練習問題(5/15〆切)

第5週 (5/16):回帰分析 (4):モデルの定式化(欠落変数バイアスなど)

レポート:Stataによる回帰分析(5/22〆切)

第6週 (5/23):質的従属変数:ロジスティック回帰分析、ロジットモデル

リーディング:勝又壮太郎・西本章宏 (2016)、「市場創造と成熟過程における社会的関心の推移-新聞記事から読み解く市場の変質-」、『消費者行動研究』、第22巻第1・2号、27-48頁。

レポート:ロジスティック回帰分析とロジットモデル(5/29〆切)

第7週 (5/30):パネルデータ分析:固定効果モデル

第8週 (6/6):日経NEEDS Financial Quest

第9週 (6/13):多属性モデル、合成尺度と質問票の作成:主成分分析/因子分析/信頼性係数           

レポート:主成分分析/因子分析/信頼性係数(6/19〆切)

第10週 (6/20):知覚マップと選好分析:MDS/コンジョイント分析/クラスター分析

レポート:知覚マップと選好分析(6/26〆切)

第11週 (6/27):t検定とカイ自乗検定                                      

第12週 (7/4):分散分析 (ANOVA) 

リーディング:Ganesan, Shankar, Steven P. Brown, Babu John Mariadoss, & Hillbun (Dixon) Ho, (2010), “Buffering and Amplifying Effects of Relationship Commitment in Business-to-Business Relationships,” Journal of Marketing Research, Vol. 47, No. 2 (April), pp. 361-373.

レポート:(7/10〆切)

第13週 (7/11):内生性と操作変数法 (IV)

レポート:(7/17〆切)

第14週 (7/18):共分散構造分析 (SAS)

レポート:(7/24〆切)

第15週 (7/25):プレゼンテーション

評価方法

提出されたレポート(70%)、ディスカッションへの貢献度(30%)によって評価します。

テキスト・参考文献等

松浦寿幸 (2015)、『Stataによるデータ分析入門:経済分析の基礎からパネル・データ分析まで(第2版)』、東京図書。