About market design

私達が学んでいるマーケットデザインについて紹介します。


マーケットデザインとは経済学の新しい研究分野で、これまでにないプロセスで社会問題の解決にチャレンジしています。

「適切なルールの導入」・「工学的なアプローチ」の2つが特徴として挙げられます。


【適切なルールの導入】

これまでの経済学で考えてこなかった、望ましい結果をもたらすルール制度の導入に注目するのがマーケットデザインの特徴です。

「現実の市場で問題が起こるのは、人々を取り巻くルールや制度に欠陥があるから」と考えていることに由来します。

その際には、個々の市場には、特有の制約が存在することを忘れてはなりません。これらを考慮し導入することはマーケットデザインの専売特許。

金銭移転による取引を禁止する市場(従来の経済学では分析が難しかった代表例)においてもマーケットデザインは、その威力を発揮しているのです。


【工学的なアプローチ】

マーケットデザインでは、実験やシミュレーション等を通して、制度の有用性・妥当性を検証します。従来の経済学に見られる理論による分析だけではなく、現実に制度を作ることを目標とします。これを工学的アプローチと呼びます。

iPhoneを例に考えてみましょう。

iPhoneを作る際に使われている理論(物理学や情報科学など)は、それ以前から存在していました。

それらの理論自体は、その抽象性ゆえ、直接的に存在価値を感じさせることはできません。

ところが、この理論を組み合わせ、応用することによって、iPhoneという私達の生活を豊かにするデバイスを完成させました。

これはまさに、私達が使うものを作るという工学(デザイン学)の成果なのです。

この、「理論を組み合わせ、構築し、実際に登用する」という一貫した取り組み方が工学的アプローチなのです。

このように、現実の市場(マーケット)を適切に設計(デザイン)するのがまさに、マーケットデザインの真髄です。

マーケットデザインが他の経済学と最も違う点は、研究者が考えたアイデアがそのまま現実に応用されているということ。事実、欧米を始めとして、その知見が、様々な市場において応用されてきています。日本においても、未だ例は少ないものの、着実にマーケットデザインの考え方が浸透してきて、制度の改善が図られてきています。

実際に私たちは、このマーケットデザインの一分野であるマッチングを応用して

①iPhoneアプリの作成からリリースまで

②横浜市の待機児童問題の解決

に向けて取り組んでいます。

これらも勿論ただ考えるだけでなく、①については商品化するところ、②については当局者に提案し受け入れてもらうところまでを目標としています。