ハードウエア編

このページでは、ステッピングモーターを使って波長板用の回転マウントを回転させるところまでを解説していきます。

ステッピングモーターを組み込むために必要なパーツは、3Dプリンターを使って製作しました。

ステッピングモーターをどのように制御するか、どのようなプログラムを書くか、といったことは後半の『ソフトウエア編』に回そうと思います。

1. パーツの設計

順次書き足します!

今回は、私のいる研究室でよく使っているThorlabs社製の1インチ光学素子用回転マウント CRM1/M(以下、回転マウント)をベースに、自作パーツを追加して自動回転システムを作ってみます。

通常は波長板をマウントする円筒の部分を手でぐるぐる回して使いますが、今回はこの円筒部分に歯車を取り付けて、ステッピングモーターの回転を伝達することにしましょう。

まずは、回転する機構の構造を大まかに考えていきます。

回転マウントの回転部には4つのネジ穴(インチネジなんやけどな!!!)があります。ここを使って歯車を固定することにしましょう。

ステッピングモーターで良さそうな寸法のものを見てみると、正面から見て40mm四方のものが見つかりました(※1)。今回はこれを回転マウントの上に積むような形にしてみようと思います。

これで回転マウントの軸(回転中心)からステッピングモーターの軸までの距離が決まるので、ギア比を決めて、ギアの寸法を出します。

--画像--

こんな感じですね。

必要なトルクを見積もっておきます。

回転マウントのネジ穴に適当な棒を固定して、おもりを乗せて評価してみます。

~~~計算~~~

よさそうですね。

ステッピングモーターは、1ステップ当たりの回転角が決まっています。

今回使用するモーターでは、1.8°/stepです。

ギア比1:2にすると、回転マウントの回転角は0.9°/stepで、まあまあ手動での回転と似たような精度が出そうです。

波長板は45°回すと偏光が90°変わりますので、1.8°刻みで偏光を変えることができるということになります。

主な目的として、波長板の後に偏光ビームスプリッタを置いてレーザーのパワーを変えたいのですが、この目的に対しては十分だと思います。

もしより細かい制御が必要な場合は、ステップ角が小さいモーターを使うか、ギア比を大きくして調整してみてください。

というわけで、こんな感じになりました。

ギア比:1(モーター):2(波長板マウント)

ギアの固定: #4-40ネジ4箇所

モーター:ステッピングモーター 40mm x 40mm

トルク:要検討

材料:3Dプリンター

Thorlabs 購入物品

CP33/M - SM1ネジ付き30 mmケージプレート、厚さ8.9 mm、固定リング2個付属、M4タップ穴(ミリ規格)

1個 2,196 円 (2020/07/01現在)

https://www.thorlabs.co.jp/thorproduct.cfm?partnumber=CP33/M

CRM1/M - ケージ回転マウント、Ø25 mm~Ø25.4 mm(Ø1インチ)光学素子用、SM1ネジ&M4タップ穴付き(ミリ規格)

1個 11,361 円 (2020/07/01現在)

https://www.thorlabs.co.jp/thorproduct.cfm?partnumber=CRM1/M#ad-image-0

2. 3Dプリンターでパーツを製作する

3. ステッピングモーターを動かしてみる

※1 これを書いている時点(2020/07/01)で、RSコンポーネンツに在庫がないことが判明しました。一般的には42x42mmや42.3x42.3mmが一般的なようです。