2023年の物性若手夏の学校の集中ゼミのために用意した講義ノート。原子の冷却やトラップ、2準位計の取り扱いなど、最低限のことをまとめた。あくまで講義のためのノートであって、これだけで学習がすべて完結するようには書かれていないので注意。下の、中島さんのノートと合わせて読むとよい。
2021年の第66回物性若手夏の学校で行われた集中ゼミのための講義ノート。
2024年3月25-26日にKEKにて行われた研究会『KEK 素核研物構研 連携研究会 2024』でのスライドです。
リンク から、富田の講演の右側"slide"をクリックしてください
QLEAP量子教育プログラムの授業動画として撮影されたもの。冷却原子実験についてコンパクトにまとめている。
2023年時点での冷却原子系の幅広い話題が解説されている。
2020年時点での冷却原子系の幅広い話題が解説されている。特に井上慎先生の「レーザー冷却ことはじめ」は、レーザー冷却を理解する入門記事として優れている。
レビュー論文をまとめたブログ記事。
冷却原子実験に向けた原子物理の入門書的位置づけ。必ず読んでおきたい一冊。超微細構造までの一通りの準位構造と、原子と光の相互作用、分光法、レーザー冷却とトラップ手法、BECまでとカバーしている範囲は広い。
参考情報:12章 Ion Trapsと13章Quantum computingは飛ばしてもよい。
原子物理・冷却原子について、和書でコンパクトにまとまっている本。原子の準位構造、原子と光の相互作用、分光法、レーザー冷却とトラップ、BECまで一通りカバーしている。
上記2冊とは違い、より物性的な方面としてBECについて学ぶための標準的な教科書。最初に冷却とトラップについて記述があり、Feshbach共鳴についても説明されている。後半には光格子中のボース粒子(ボースハバード系)や低次元系についての記述もある。日本語訳も存在するが、古い版のものを訳しており、2nd editionの内容(特に後半で追加された部分)は洋書でしか読むことができない。
やや古いが、原子の冷却とトラップについて、Foot "Atomi Physics"よりも踏み込んだ内容が記述されている。
量子力学の考え方と取り扱いの基礎を学ぶことができる教科書。公理を導入することで、見通し良く量子論を理解できる。ベルの不等式と、その破れをどう理解すればよいか詳しく記述されている。折に触れて読み返したい一冊。
参考情報:我々の研究にはあまり顔を出さないので、7章の場の量子論は飛ばしてもよい。
ブラケット形式での記述に慣れることができる。角運動量の取り扱いについて詳しい(3章)。日常的に角運動量を取り扱う原子物理屋にはありがたい。
参考情報:Clebsch-Gordon係数を理解すること。Wigner-Eckartの定理も一度はさらったほうがいい。
演習書として最適。豊富な問題に挑戦することで、計算力をつけることができる。
参考情報:研究内容との関連という点では、Iについては2~7章、IIについては8,9,11~14章が重要。
イオントラップ系のための教科書だが、中性冷却原子系との共通部分が多分にあるため我々にとっても大いに役に立つ。特に、3章の「原子と電磁波の相互作用」は量子ビットなどの2準位系の取り扱いの基礎となるため、必ず理解する必要がある。また、5章「サイドバンド相互作用」の丁寧な記述もありがたい。
一般書ではあるが、イメージを掴むためには読んでおいて損は無い。また、一般向けに量子コンピュータというものを説明するにはどうすればよいのか、という点でも参考になる。
量子コンピュータの教科書の古典にして金字塔。
参考情報:7章 Quantum computers: physicsal realizationは飛ばしてもよい。書かれた当時に比べて量子技術は飛躍的に進展しているので、各種物理系について別途勉強することをおすすめする。
コンピュータシステムとしての量子コンピュータがどのような構造になっているかを理解するために最適な良書。参考文献リストが厚く、この本を手掛かりに更に必要な文献を見つけることができる。
注)率直なコメント:古典光学について初学者にすすめられるちょうど良い教科書を知りません。
古典光学の骨太な教科書。分厚い。収差に詳しい。和訳もある。
こちらも古典光学の骨太な教科書。図が多く、視覚的にわかりやすいので初学者には上のBorn&Wolfよりこちらのほうがおすすめ。和訳もある。
実用的な教科書。ビームモード、キャビティ、偏光、電気光学効果など多様な物理が詳しく解説されている。カラー図もうれしい。
実験で使う光学部品の基本的な機能・特性・材質についてまとめられてる和書。
タイトルは量子光学だが、我々の実験で基礎となる幾何光学・波動光学から始まり、物質と光の相互作用、レーザー、非線形光学など幅広く実用的な話題を取り扱っている、実験屋にとってはありがたい一冊。もちろん後半には量子光学について記述がある。
注意:東京大学出版会から同じ著者で同じタイトルの別の本が出ている。そちらは冒頭からphotonの量子光学をゴリゴリやっていくハイペースな内容。違う本なので気を付けること。
非線形光学は、冷却原子実験において照射するレーザー光を波長変換する際の物理である。大森研究室では、この本を輪読することで非線形光学の基礎を皆で学んだ。
冷却原子実験では、扱うレーザーを目的の周波数に適切に安定化することが不可欠である。この本では、レーザーノイズ、周波数安定化技術、周波数参照などの基礎を理解することができる。特に2章は必読。系統的に基礎を学んでおくと、周波数安定化について場当たり的な対応にならずに済む。
周波数安定化の標準的手法の一つであるPound-Drever-Hall法についての解説論文。PDH法をやることになった学生は必読。数式を追いかけるだけではなく、後半に登場するベクトル表示の図法をRiehle"Frequency Standards"も参照しながら理解し、PDH法が物理的に何をしようとしているのか納得すること。
コロナ禍に開かれていたオンラインセミナーシリーズ。
再生速度を変える、字幕を付けるなどの機能を活用して、リスニング教材として使うのもよい。目標は、スピーカーが話す内容が聞き取れること。
「科学者は、理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書かなければならない」
ーby マクレランドー 木下是雄『理科系の作文技術』中公新書より
卒論・修論のために、正しい日本語が書けるようになろう!!!!!
絶対に読もう。できれば、M1の時に読もう。初めて日本語の学会アブストを書くときに読もう。日本語が壊滅的だと、修論をまともに読んでもらえません。
編集中。とりあえずこちら。
英語が聞き取れない要因にはいくつかの種類がある。単語を知らない。文法が分からない。単語も文法もわかるが、発音を知らないため何を言っているかわからない(書いてあれば理解できる)。ゆっくり話されると分かるが、スピードが速いと分からない。自分のリスニング力向上に対して、何を鍛えればよいか見定めることが重要である。
教材については、興味のあるコンテンツの動画を見ることをお勧めする。英語話者による科学系youtubeチャンネルや、研究者によるセミナーを見るのが良い。
--> AMO physicsについての動画 を参照。
英単語の発音が分からないのであれば、英単語を発音と合わせて学習することが必要である。大学受験を含めこれまでに発音に重点をおいて勉強してこなかった方は、単語を発音とセットで頭に入れることに注力すること。「英単語」欄で推薦している『TOEFLテスト英単語3800』も含め、音声コンテンツがある単語帳は世の中にたくさんある。
分野に限らず学術的な英語全般で頻出する単語を頻度別に分類した、570個の英単語リスト。単語を見て意味が分かるだけでなく、聞き取れる、書ける、話せることが望ましい。
“There is a downloadable copy of this list, with study guidance, in the vocabulary resources section."と書いてあるところのリンクからアカウント登録をしてresourcesページに行くと、pdfやword形式のリストをダウンロードできるようになる。また"Academic Word List 日本語"などと検索すると、心優しい日本人による和訳付きのリストも見つけることができる。
まずは集中して暗記し(2週間もあれば十分)、その後教科書や論文等でAWLにある単語が出てくるたびにチェックをつけて反芻すると定着につながる。発音が分からない場合は適宜調べること。
TOEFLを受ける/受けないにかかわらず、基礎的な単語力を上げるために良い単語帳。必ずしも研究をやるうえで必要不可欠なものではないが、研究室で英語話者と雑談をする際など、自分の英単語力の低さに起因して稚拙な会話しかできないという事態を回避するためにも、幅広く英単語を知っておくに越したことはない。
ミラーやレンズ、ファイバーなどの光学機器を取り扱うときに必要な細かなノウハウがまとめられている。
Youtube, "Coupling a LASER into a single mode fiber" by Manoj Peiris
ファイバーカップリングを初めてやる人は、まずはこれを見ること。
この動画も参考になる。
0. Python環境を整え(例えばAnaconda)、対話型シェルIPythonを使えるようにする。こちらのページからオンラインでIPythonを使ってもよい(がアクセスするまでに10秒程度のロスが発生する)。
IPythonを開く。パスを通しておけば*コマンドプロンプトからipython -> Enterで開くことができる。コマンドプロンプトはWindowsキー -> cmd -> Enter (Windowsの場合)。3秒で
from scipy.constants import * -> Enter で物理定数をインポートする
c -> Enter や k -> Enterで光速やボルツマン定数が出てくるか試してみよう。
定数一覧: scipy.constants
よく使う定数: c (光速), k (ボルツマン定数), h (プランク定数), hbar (h/2π), pi (円周率), u (atomic mass unit, 87*uでRbの質量[kg]), ...
物理量の大きさを見積もるための計算は、実験系の研究では日常的に行われる。物理定数を覚え、ノートやホワイトボードで指数を間違わずに正しく計算を行うスキルはもちろん大切だが、速く議論を進めるために手元のPC に頼って手早く計算できることも大切である。私のいる研究室では、python を用いてこのような計算を行っている。適宜numpy等もインポートすれば、複雑な関数形でも問題なく計算ができる。
*パスについて (Windows) : Anacondaをインストールした場合、ipythonのアプリケーションファイルはC:\Users\***\Anaconda3\Scriptsにある。このパスを新たに加える必要がある。パスの加え方は各自調べること。
おいおい、見やすい形でまとめたいと思います。
Iguana Texを使えば、PowerPointのスライドに自由にTeX形式の数式を埋め込むことができる。挿入後に式の編集・サイズ変更も可能。背景は透明・不透明選択可能。PowerPointの数式機能は入力にも手間がかかるしフォントが微妙なので、Iguana Texを強くお勧めする。
数式を使いたいからというだけの理由でPowerPointからBeamerへ宗派替えする、ということも避けることができる。
PowerPointには、アドオンという形でIguanaTexを導入することができる。導入方法については、各自IguanaTexで検索して調べること。
かならずリハーサルを繰り返そう。発表を時間通りに終わらせること。
絶対に前を向いて発表をすること。
基本的な考え方:みぞおちから出た体前面に対する法線ベクトルを、聴衆に目掛けてまんべんなく狙い撃ちすること。
(コロナでのオンラインプレゼンが一定期間続いてしまったせいか、実空間での口頭発表であっても、PC画面を見て発表をする人が見受けられる。)
本当に絶対に死んでもやってはいけないこと:ノールックでレーザーポインターをなんとなくスクリーンのほうに向けてぐるぐるする。聴衆のほうにレーザーが飛び、危険である。意味が分からない。これをやっている人は、自分が何をやっているのか論理的な説明ができるのだろうか。
やっても意味ないのでやるべきではないこと:スクリーンから離れた位置に立っているのに、手や指でスクリーンを指す。話者の目線からは何かを指しているのかもしれないが、聴衆はどこを指しているかわからない。
MacのHDMI接続うまくいかない問題多すぎ、傍から見ててやばい。
Memo: HDMIケーブルには、映像信号を調整するためにイコライザーというのが入っているもの(アクティブタイプ)があり、壁配線があるような大教室・長距離配線の系ではこのイコライザーが使われていることがあるらしい。イコライザーがあるHDMIでは、PC側からの十分な電源供給(←要勉強。これが何を意味しているのか具体的に理解していません)が必要で、MacのいくつかのPCではそれが足りていないらしく、接続不良が多発しているように見受けられる。
解決策は、以下の通り:
100人規模の聴衆を前にして接続トラブルでもたもたするのは、聴衆にも良くないし、なにより本人の心臓に悪い。
特に実験屋さんであれば、同じトラブルを2回も3回も繰り返したことがあるにもかかわらず何も解決策を取らないという姿勢は、あってはならない。
(解決策を教えてくださった、大森研技術チームの鈴井光一さんに、この場を借りて感謝申し上げます。)
マイクがある環境であれば、声の音量が小さい場合は、マイクとの距離である程度音量は補うことができる。適切な距離でマイクを持つこと(ピンマイクだったとしても、胸に固定せず手で持って話してOK)。
むしろ問題なのは、文の最後だけ急に音量が小さくなる話し方である。最後まではっきりと言い切ること。
聴衆に合わせて、発表内容の粒度や導入の仕方を調整しよう。発表資料を作る前に、聴衆が誰なのか(どういったコミュニティの人たちか?親しい同業者?別分野の研究者?学部生?一般の人?高校生?...)を明らかにして、それ相応の発表をしよう。細かすぎて誰にも伝わらないことが明らかなことについて、説明を省略・割愛することは全く問題ない。