1 鞘(さや)の材料である朴(ほう)の木を刀の反りに合わせて切る。
2 切り出した材料をノコギリで正確に中割り(写真のように鞘を半分に切る作業)をする。足を切らないよう注意
3 鑿(のみ)やナイフを使い刀の形に合わせ彫り込む。これを「掻(か)き入れ」と言う。掻き入れは接着すれば見えなくなるので
簡単に考えがちだが、実は鞘を作る上で最も重要な工程である。刀を錆させないための工夫と技術が凝縮されており、訓練を重
ねなければ絶対に出来ない。こうした目に見えないところを完璧に仕上げることは職人にとって大切な考え方である
4 続飯((そくい)お米を練って作った糊)を作り、掻き入れをした鞘を接着する。*しっかりと紐で固定し鞘を接着させる
5 鉋(かんな)で削りだす前に、鯉口を、おおよそ出来上がりの形に口取り(切り出しナイフで出来上がりの形を作る作業)をする
白鞘と拵えはここから工程が変わる 今回は白鞘工程とする
6 八角の鞘に正確に削る 最初から丸く削ると基準となるラインを見失うので正確な八角の基準を削り出す
7 基準となる八角を基に鞘に丸みを出す為、平、刃棟 側面と削る 肉置きというのは、丸みのことであり、削りながら丸みを出す
のは非常に繊細な作業である。 削りの最終作業
8 鯉口を隙間なく鉋で合わせる
9 目釘穴をあける
10 研草(トクサ)にて磨きの作業
11 丸みがあり、鎬筋をはっきり出し鞘本来の美しい光沢を出すのはトクサでなければならない これは紙ヤスリで仕上げる倍以
上の訓練と技術が必要である
*紙ヤスリでも磨けるが、木の目にヤスリの粉が入り、鎬筋がはっきりせず、独特な仕上がりとなる 紙ヤスリは金剛砂が飛び散
り刀身に細かいキズやヒケをつける原因となるのでやはり天然ヤスリのトクサが良い