1. 研究内容

この研究グループは、ヒトを含む動物を対象に進化・行動生態学を研究しています。動物を観察していると「動物はどんな暮らしをしているのだろうか?」「動物は何を考えているのだろうか?」などの多くの疑問が生じます。私は、(ヒト以外の)動物の行動や生態を分析することに よって、動物の「生き様」を進化生物学的に理解することを目指しています。これまでおもに調べてきたのは哺乳類の社会です。野生動物が生息するフィールドに滞在し、それぞれの個体に名前をつけて、彼らの行動を日々記録してきました。このように地道な作業から、動物の社会がどのように成り立っていて、それぞれの個体の行動にはどのような意味があるのかを理解することができます。長野のニホンザル、タンザニアのチンパンジー、カラハリのミーアキャット。研究してきた動物一頭一頭の姿や振る舞いは、今でも鮮明に思い出すことができます。研究対象が夢に出てくるほど研究対象をじっくりと観察することが、動物を理解する王道であるという信念を持っています。その一方で、自分の研究対象にとらわれる事なく、多くの動物に共通して当てはまる理論を考える事が、動物を理解するうえで効率的な戦略だと考えています。現在の進化行動生態学は、自然誌(ナチュラルヒストリー)や古典的動物行動学の成果に、一般的理論からの予測と検証が加わって美しく発展してきました。この分野の発展に貢献するような一般的理論を発見できればと考えています。