研究費の採択とその感想
自分が代表者として申請したもの/分担として採択されたものについて、感想などを書いています。また、自分を代表者とするものについては、過去の研究費申請状況を公開しています。採否決定の5年後あたりを目安に、差し支えない範囲で申請書もなるべく公開していきたいと思っています。すべて個人的な感想です、細部に間違いなどあるかもしれませんのでご注意下さい。
【2023年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 日本学術振興会 科学研究費 挑戦的研究(萌芽) (2023/6-2025/3)
- ◎採択(分担、配分直接経費20万円)(総額637万円:直接経費490万円、間接経費147万円)
海洋プラごみ分解に関する課題に誘って頂き、分担として入りました。深海堆積物のメタゲノム解析を推進し、新規な分解酵素の探索を担当します。
【2022年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(ACT-X) 「環境とバイオテクノロジー」 (2022/10-2025/3)
◎採択(代表、総額XXX万円:直接経費580万円、間接経費XXX万円)
申請書(後日公開予定)
メタエピゲノム解析の内容で申請しました。ACT-XはJSTが主催する受託研究型のプログラムです。研究費の支給のみならず、領域アドバイザーの設定やサイトビジット、領域会議などの各種イベントがあり、科研費などとは少し性格が異なるプログラムです。他に採択されている研究者は皆レベルが高く、すこし分野が異なる人が多いものの同年代で、領域会議への参加は大変刺激的でした。予算はシーケンス解析の委託解析費や実験試薬等の購入、PCの購入、学会参加やサンプリングの旅費等に充当する予定です。
- 日本学術振興会 科学研究費 基盤研究(C) (2022/4-2025/3)
◎採択(分担、配分直接経費30万円)(総額416万円:直接経費320万円、間接経費96万円)
初めての分担研究者としての採択課題となりました。内容的には、分子生物学実験を課題代表者が、バイオインフォマティクス解析を分担研究者(自分)が担当する、という役割分担になっています。解析を進める上では特に大きな予算は必要ではなかったため、毎年10万円という少額を使わせてもらう形になりました。
【2020年度】 --------------------------------------------------------------------------------
- 日本学術振興会 科学研究費 若手研究 (2020/4-2023/3)
◎採択(代表、総額429万円:直接経費330万円、間接経費99万円)
申請書(後日公開予定)
スタート支援の続きとして、メタエピゲノム解析の内容で申請しました。この年の1、2年前ごろから科研費でも若手枠が拡充される政治的傾向があり、その風を受けて採択してもらえたのかなと思っています。実際に、この年の科研費若手の採択率は結構高かったようです。下記の発酵研助成と併せて受給することになり、存外に個人研究費が潤沢になったのですが、これは自分のようにシーケンスデータが増えれば増えるほど嬉しいタイプの研究をする上では大変ありがたいことでした。一方で、残念なことに新型コロナウイルスの影響で学会等の出張が軒並み無くなってしまい、支出計画を当初よりもかなり修正することになってしまいました。ゲノムシーケンス費やノートPC購入費、海外学会出張費などに充当しました。
- 公益財団法人発酵研究所 若手研究者助成 (2020/4-2022/3)
◎採択(代表、直接経費300万円)
35歳以下かつ微生物分野の課題限定ということで、かなり応募しやすかった研究助成です。額も大きく、科研費とは異なり使途の制限も少ないなど大変魅力的です。ただ、今までの採択例を見ると分類・培養・分子生物学といった課題が多く、自分の研究テーマはすこし分野がズレているため難しいかなという気もしていました。幸いなことに、この年から若手助成の枠が従来の1名から一気に5名に拡充されたこともあり、チャンスが一気に広がりました。結果としてメタエピゲノム解析の話題で採択してもらえました。ゲノムシーケンスの費用に大部分を充当し、残りをサンプリング出張費や実験消耗品費などに充当しました。
- 稲盛研究助成
×不採択
40歳以下という年齢制限かつ自然科学全分野での募集のため、それなりの職位や実績を持つ人が応募する激戦の公募だったのだろうと思っています(二回目)。
- 三菱財団自然科学研究 若手助成
×不採択
40歳未満という年齢制限かつ自然科学全分野での募集のため、それなりの職位や実績を持つ人が応募する激戦の公募だったのだろうと思っています。またこの年度はこの財団がはじめて若手助成の募集を開始した年であったため、事前にどんな分野が採用されやすいのかといった情報が得られず、少し準備が難しかったです。
- 加藤記念バイオサイエンス振興財団 第31回加藤記念学会等開催助成
◎採択(代表、20万円)
生命情報科学若手の会の開催のために出した助成。申請を出した後に新型コロナウイルスが流行してしまい、止む無く若手の会もオンライン開催となってしまったため、なかなか当初の予定通りに物事が進まなかった年でした。要旨集は当初の予定通りに印刷物を制作したため、その印刷費に充当しました。
【2019年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 特定非営利活動法人日本バイオインフォマティクス学会 JSBi公募研究会・地域部会
○採択(代表、条件付き)
生命情報科学若手の会の開催のために出した助成。応募時の規約では明確に規定されていなかったにも関わらず後付けで「申請者は研究会代表者であり、同時に学会会員でなければいけないので、新規入会しなければ採択しない」などと言われてしまい、泣く泣く自分も学会に入会することになったりしました(年会費は自腹)。交付額もかなり減らされたり、助成金の使用条件も会計報告の形式も非常に細かく、申請から管理から報告までとても労力の掛かる助成でした。個人的な印象はかなり悪いです。主に参加者の旅費サポート費で利用しました。
- 一般財団法人中辻創智社 学術研究や社会貢献を目的とした会議開催費の助成公募
◎採択(代表、20万円)
生命情報科学若手の会の開催のために出した助成。非常に使い勝手がよく、大変ありがたかったです。同じタイミングで受給した上述の助成と比較して、とても印象が良い助成です。主に参加者の旅費サポート費で利用しました。
【2018年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 日本学術振興会 科学研究費 研究活動スタート支援 (2018/8–2020/3)
◎採択 (代表、総額299万円:直接経費230万円、間接経費69万円)
申請書(後日公開予定)
JAMSTECに移って1年目に取った研究助成です。異動初年度に個人研究費があるのは、やはり色々な面でとても便利だと感じました。4月いっぱいで申請書を書き上げる必要があり、スケジュール的に大変ではありましたが、採択直後の秋から予算執行が可能となるスピードの速さはとても良かったです。研究環境のセットアップ(実験に利用する小物や基本的な試薬・キット類の購入費、ノートPC購入費、航海用グッズの購入費など)に大部分を充当し、学会参加費や出張費などにも充当しました。
- 日本学術振興会 特別研究員研究奨励費 PD
×不採択B (将来性: 3.83、 実績: 2.50、研究計画: 3.33、総合評価: 2.83、Tスコア: 2.901)
申請時(D3)のタイミングは業績が薄く、原著1本・レビュー1本・共著論文無し、という状況だったため、業績が辛めの点数になってしまいました。ただ、将来性がそこそこの点数でしたので、気持ち的には少し嬉しいです。
【2017年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 株式会社リバネス リバネス研究費 メタジェン・腸内デザイン賞 奨励賞
◎採択(奨励賞)(直接経費10万円)
元々、学振DCは他の民間助成との重複受給ができない規定になっていましたが、自分がDC1を持っていた最終年度に規約が変更されて(色々条件をクリアすれば)民間助成も重複受給OKとなり、そのおかげでこの助成金にも申請することができました。採択に至るまでの審査手続きは大変雑で、(平日だったとはいえ)GWど真ん中の5/2に「5/7(日曜日)に面接をするので飯田橋の会社まで来て下さい」とメールで言われて、内心仰天した記憶があります。会計上の手続きも複雑で大学の事務方と必死にやり取りをした結果、受給した助成金は一旦リバネスから自分が受け取り、自分が大学へ同額を寄付し、そのお金が所属の研究室付きの予算になり、自分が占有して使う、という、寄付金としての建て付けになりました。額に対して労力が大きくコスパが悪い助成でしたが、DC1とは異なり何にでも使える資金(研究に直接関わらない内容でもOK)ということで非常に使い勝手がよかったです。博士論文の印刷代に大部分を充てました。
【2015年度】--------------------------------------------------------------------------------
- 環境微生物系学会合同大会2014 海外発表旅費等支援
×不採択(ちゃんと審査されていない?)
微生物生態学会が海外学会へ参加する学生への渡航費支援を行う目的で実施していた助成です。申請書自体はきちんと受け付けてもらえたのですが、公表されていた採択通知の期限を過ぎても何の連絡もなく、2週間くらい開けて催促をした結果、不採択とのことでした。「協議の結果~」というお決まりの理由でしたが、メールの文面も適当で、明らかに審査そのものを忘れられていたような感じを受けました。最大15万円と額は多くないとはいえ普通の学生にとっては相当な大金で、この助成の成否次第で学会に参加できるかどうかにも大きな影響がありますし、そこそこの規模の学会が公式に募集した研究助成なのですから、流石にもう少しちゃんと運営して欲しいものだと思いました。
- 日本学術振興会 特別研究員研究奨励費 DC1 (2015/4-2018/3)
◎採択(面接採用)(代表、直接経費250万円)
初めての研究費申請書でした。M2当時はあまり研究への理解も微生物業界の知識もなかったため、こんなことできればちょっと面白い気がする、という安直な発想と謎のモチベーションだけで色々適当なことを書いていました。当時はまだ印刷物提出でカラーOKだったこともあり、図の色合いを良くしたりちょっと良い紙を買ってきて綺麗な印刷が出るようにしたりと、アナログなこともしていました。面接は12月の夜の時間帯で、飯田橋でプレゼンをしてそのまま大学に帰ってきてスーツ姿でラボの忘年会に出た記憶があります。プレゼン自体は3分ぴったりで終え、質疑応答ではパッションを持って熱く(質問されていない余計なことまで)回答した記憶があります。実績よりも将来性重視のDC面接ということもあり、研究に対する情熱とちゃんと勉強して知識があり色々と考えているんだぞということをアピールできたことが、結果的に功を奏したのかなと思っています。国内・海外での学会やサンプリングの出張費、実験消耗品の購入費、iPad購入費、論文投稿費などに充当しました。